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医師推奨【食前ツナ缶】おいしくラクに糖質制限!血糖値スパイクを防ぎ糖尿病の原因となる脂肪肝・脂肪筋も撃退

血糖値上昇の原因は肝臓と筋肉の機能不全!

 私は、生活習慣病専門の専門医として、糖尿病やその予備軍の患者さんを診察してきました。長年の診察から、糖尿病の患者さんが持つ、ある共通点に気づきました。

 それは、霜降り肉のように筋肉に脂肪がたまる「脂肪」、肝臓に脂肪がたまりフォアグラのようになった「脂肪」の両方があることです。

 めん類やご飯、パンなどの主食、菓子類などの甘い食べ物には、糖質が多く含まれています。糖質は本来、人のエネルギーとして活用されています。

 活用できない分は、膵臓から出るインスリンというホルモンの働きによって、肝臓で「グリコーゲン」に変容し、筋肉にエネルギー源として貯蓄されます。

 しかし、偏った食生活や運動不足が続くと、糖質の摂取量が増えるのに、運動量が減り、糖質がエネルギーとして消費されにくくなります。筋肉も使わなければ減少します。

 すると、増加するのが「中性脂肪」です。恐ろしいことに、インスリンは、消費されない糖質を脂肪として蓄える機能も持っているのです。

 中性脂肪はまず、皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられ、徐々に肝臓や筋肉が減ったところにもつき始めます。そうなると、いくらインスリンが出ても、肝臓はグリコーゲンを生成せず、筋肉にも糖質をためる余裕がありません。

 その結果、血液に糖(血糖)があふれ、全身を巡り出します。つまり、脂肪筋と脂肪肝が、糖尿病や高血糖の原因なのです。

ツナ缶で無理なく糖質制限!

 脂肪肝と脂肪筋を予防するため、お勧めの食材が、身近にあることをご存じですか?それは「ツナ缶」です。おなじみのツナ缶は、マグロ、もしくはカツオの缶詰のこと。100g当たり16~18gのたんぱく質を含む一方で、糖質はわずか0・1gと、ほぼないことが特徴です(※1)。

※1文部科学省『日本食品標準成分表2015版』および『食品成分データベース』

 ですから、ツナ缶を食べる分、主食の量を減らす「糖質のちょいオフ」をお勧めしています。ツナ缶は腹持ちがよく、糖質制限で悩む、空腹感もありません。

 また、たんぱく質は、筋肉量の維持・増加に欠かせない栄養素ですから、摂取量が増えれば、筋肉量の維持・増加ができます。すると、筋肉で消費される糖質の量も増えるので、血糖値が上がりにくくなります。

 さらに、ツナや調味液の油には、血糖値を改善し、中性脂肪を減らし、血液をサラサラに保つEPAやDHAなどの必須脂肪酸(※2)が豊富に含まれていることも、血糖値コントロールを後押しします。

※2 生体の維持、活動に必要な脂肪酸。体内では生成できず食事から補う

血糖値スパイクで突然死のリスクも!

 ツナ缶を食事に取り入れる際、食べ方もポイントです。私は、主食やほかのおかずの前に、ツナ缶を食べる「食前ツナ缶」をお勧めしています。

 主食を先に食べた場合と、主食を食べる15分前に魚を食べた場合、食後血糖値がどの程度変化するのか、比較した研究があります。主食を先に食べた場合、血糖値は急激に上昇し、食後90分をピークに120分後から降下しました。

 一方、魚を先に食べた場合、食後30分後から緩やかに上昇し、120分でピークを迎え、なだらかに下降しました。

 主食を先に食べた場合と比べると、血糖値の変動率は約30%も抑制されました。つまり、「血糖値スパイク」を抑制することが明らかになったのです。

 血糖値スパイクは、食後1~2時間で血糖値が急上昇した後、また急降下して、血管を傷つけてしまう現象です。

食後に現れる症状なので、健康診断でも見落とされがちですが、放置すると、脳梗塞(※1)や心筋梗塞(※2)などにより、突然死のリスクが高まるばかりか、ガンを引き起こしたり、脳にまでダメージを与えて認知症を招いたりもします。

※1脳の血管が詰まって起こる病気

※2心臓の血管が詰まって起こる病気

 先の研究と同様に、ツナ缶は、血糖値スパイクも抑えることができる食材です。肉や野菜など、バランスのよい食事を心がけながら、1日1缶はツナ缶を摂取しましょう。油漬けのツナ缶を食べるときは、油もいっしょにとってください。

 胃の粘膜が油で覆われて、糖質がゆっくりと吸収されるので、血糖値の上昇をより防いでくれます。しかし、「あの油が苦手」という人は、ノンオイルのツナ缶にオリーブオイルをかけて食べてください。同じ効果が得られます。

 サラダに乗せて食べてもいいでしょう。不足しがちな食物繊維もいっしょにとることができます。

 血糖値をコントロールするには、日頃の運動や規則正しい生活をすることはもちろん、食事内容を見直すことがとてもたいせつです。ぜひツナ缶を取り入れて、血糖値コントロールに役立ててください。