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おなかをゆっくりもみほぐす【腸もみ】で体内の炎症を抑え万病を改善!

たった4回で母の黄斑変性が治った!

 今、「腸もみ」を健康に役立てている人が増えています。

 腸もみとは、おへそを中心としたおなかをゆっくりもみほぐす健康法です(やり方は下記参照)。おなかの上からとはいえ、腹部深部、腸に直接アプローチするので、腸のぜん動運動を促し、即効性があります。

 腸もみをした人からは、「便秘やガス腹、全身のむくみが解消した」「お肌の調子がよくなった」「出っ張ったおなかがへこんだ」「体力がついた」「朝起きられるようになった」という声が多く聞かれます。

 芸能界でも、「腸活」ブームに乗って、人気女優の広瀬すずさんが肌の悩みを克服するために腸もみエステに通っていることを公言するなど、たくさんのかたが実践する健康法となっています。

 そんな話題の腸もみですが、私のサロンでは、実はもう20年以上も前から腸もみの施術を行い、セルフケアとしても勧めています。

 そもそも私が腸もみに注目するようになったのは、母の目が見えなくなったことがきっかけでした。

 心理学者の母は、多忙な毎日を過ごすうちに、神経性の胃炎を起こし、加えて、ひどい便秘と頭痛に悩まされていました。

 さらに、ある日突然、左目が黄斑変性(※1)になり見えなくなってしまったのです。本人はもちろん、私も母が失明するのではないかと不安な毎日を送っていました。

※1 ものを見るときに重要な働きをする黄斑という組織が、加齢とともにダメージを受けて変化し、視力の低下を引き起こす病気

 そんなとき、たまたま母の講演会の日に腸もみをする海外の先生がいらして、「腸もみでその目がよくなるかもしれない」と、1日おきに施術をしました。すると、なんとわずか4回の施術で、母の目はもと通り見えるようになったのです。

 施術を受けている期間中、母は「トイレに住んでいるのでは」というくらいトイレに通い続けました。まるで大量の毒を排出するかのように、ガスと水分を排泄し続け、体重は4㎏も落ちました。

 腸もみで視力が回復してからも黄斑変性の再発はなく、現在、母は80歳ですが、白内障にもならずしっかり視力がある状態です。

体内の炎症を抑制し、糖尿病を改善する

※写真はイメージです

 腸もみの威力を目の当たりにした私は、自分でも腸もみをしました。

 開始当時、72㎏あった体重がしだいに減ってきて、3カ月でなんと57㎏になったのです(身長は158㎝)。腸もみだけで15㎏もやせたことになります。

 さらに、腸もみをサロンの施術に取り入れると、やせた人だけでなく、頭痛や肩こり、不眠、冷え性、疲労感、倦怠感などが軽快したり、婦人科系の病気やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状、糖尿病などの生活習慣病が劇的に改善したりする人が続出しました。

 私自身、自分でできる腸もみで、ここまでの効果が出たことにとても驚きました。腸もみについて、もっと学術的に調べる必要があると考えた私は、40歳で大学に再入学し、栄養学および自律神経系を介した免疫系の働きについて学びました。

 大学院を卒業した現在も、サロンでの臨床研究は続け、詳細なデータを基本に栄養カウンセリングや腸もみの指導を行っています。

 大学での研究や膨大な臨床データを収集した結果、さまざまなことがわかりました。なかでも、日本の国民病ともいわれる糖尿病の予防と改善に、腸もみが大いに役立つ可能性があると確信しています。

 現在、日本に糖尿病患者は890万人いて、その9割以上が2型糖尿病だと言われています。

 2型糖尿病では、代謝組織における「炎症」が、インスリン抵抗性(※2)と深くかかわっています。

※2 すい臓からインスリンが血中に分泌されているにもかかわらず、標的臓器のインスリンに対する感受性が低下し、その作用が鈍くなっている状態

 この炎症の特徴は、

食べすぎや飲みすぎによって、肝臓などの代謝組織で起こる

免疫細胞が関わっている

慢性的に続く(慢性炎症)

です。私は、この慢性炎症に着目しました。

 糖尿病のお客様に腸もみをした後、血糖値の低下が見られました。そこで、私は大学の研究室で実験を繰り返し行いました。

 私たちの体内では、軽微な炎症が絶えず起きては治まる、ということが繰り返されています。

 ごく軽いレベルの炎症は、免疫に関わる細胞を刺激して活性化するので、体にとって必要なことです。しかし、何かのきっかけで炎症が強まることがあります。そのときに弊害が出てくるのです。

 例えば、糖尿病ではインスリンを分泌するすい臓の炎症により、インスリンの分泌が低下したり、効きが悪くなったりします。

 ほかにも体のむくみや頭痛、肩こり、腰痛などの不快症状のほか、肝臓病、リウマチ、アレルギー疾患など、ほとんどの病気は、体内の炎症の影響を強く受けて起こることが、近年の研究でわかってきています。

ヘモグロビンA1cが3カ月で正常値まで回復

 慢性炎症をターゲットとした2型糖尿病の治療法は数多くあります。しかし、自分で手軽に行えて、効果の高い方法は、腸もみしかないと私は思っています。

 では、腸をもむとなぜ、血糖値が低下するのでしょう。

 それを確かめるために、私は「ラットのおなかをマッサージ刺激する」という動物実験と、サロンでは、お客様に無理のない食の変化を促し、腸内細菌のバランスをとるという方法を行いました。

 ここで、腸内細菌について、少しお話しします。腸管にはたくさんの腸内細菌が存在し、私たちの体重増加やインスリン抵抗性に影響を与えています。

 太ったマウスの腸内細菌と、やせたマウスの腸内細菌を交換するという実験を行うと、体形が入れ替わったというデータがあります。それほど腸内細菌は、私たちの体に影響を与えているのです。太ったマウスの腸内細菌は、インスリン抵抗性が増大しているという報告もあります。

 腸もみによって腸のぜん動運動が促進されることで、以下の効果があります。

便の排泄のほかに、腸内細菌の排泄も促される

腹部に存在する腸の神経(迷走神経)を刺激し、体の情報を脳へと伝達し、炎症を抑制する

 実際の症例をご紹介します。ヘモグロビンA1c(※3)が11%だった50代男性は、腸もみを始めた直後から数値が下がり始め、3カ月後には5・2%と正常値まで下がりました(下のグラフ参照)。

※3 赤血球中のヘモグロビンがどれぐらいの割合で糖と結合しているかを示す数値。過去1~2ヵ月前の血糖値を反映する。ヘモグロビンA1cの正常値は、4.6~6.2%

 このかたは営業職で、おつき合いで酒を飲む機会や外食が多く、なかなか食事指導ができない状態でした。それでも腸もみのみでここまで改善するケースもあるのです。

 糖尿病以外にも、慢性炎症が原因で起こる病気はあります。肝臓がんのかたの肝機能の数値が劇的に改善したケースや、重いリウマチで歩けなかったかたが歩けるほど回復したケース、重度のアトピー性皮膚炎のかゆみの軽減や、花粉症が短期間で治まったケースなどもあります。

 健康を維持するためには、腸の働きを衰えさせないことが重要です。腸もみは誰でも簡単にできますので、ぜひ習慣化してください。

腸の機能を活性化して万病を防ぐ「腸もみ」のやり方

①あお向けに寝て、軽くひざを立て、リラックスする。両手はへその少し上に置く

※ひざを立てて行うと、筋肉が緩み、力が抜けるので強く押さなくて済む

    へその周囲は小腸と重なる。もむポイントは、へそから指3本分離れた
円周写真の6点のポイントを、真上から時計回りにもんでいく

②両手の人さし指、中指、薬指の3本の指先をそろえて重ねる。指の腹でポイントを押さえて、息をゆっくり吸いながらおなかをふくらませる

③息をゆっくり吐き、おなかの力を抜きながら、小さな円を描くようにおなかを押し回す。4回ほど時計回りにおなかの中に指を入れていく

④息を吸いながら、③と反対回りに小さな円を描くようにおなかを押し回す

※1周終わって、指が入りにくいところ、おなかにしこりや痛みを感じるポイントをもう一度やさしく押しもみする

注意点

※食後30分は空ける

※高血圧の人は強く押しすぎないようにする

※薬を服用している人は、服用後、時間を空けて行う

※インスリンの薬や注射をしている人は2時間経過してから行う。低血糖にならないよう注意