カニアレルギーの症状が梅ですっかり収まった
御殿場高原「ありがとう寺」住職 広島大学名誉教授 町田宗鳳
「梅干しは、日本の食文化を代表する宝である」
というのは私の持論ですが、このように申し上げても過言ではないほど、梅干しにはさまざまな健康効果があります。
例えば、とても強力な解毒・殺菌作用もその一つ。
私はカニアレルギーがあり、食べると鼻が詰まったり、全身にじんましんが出たりすることがあります。それだけならまだしも、ひどいときには心臓がバクバクしはじめ、命の危険を感じて救急車を呼ぶことも。
ところが、あるときアレルギー症状が出たときに梅肉エキス(薬局などで購入できるペースト状の健康補助食品)をなめてみたところ、これが効果てきめん。1時間ほどで、すっかり症状が治まってしまいました。
以来、アレルギー発作が起きても、梅肉エキスがあれば大事に至ることはなくなりました。こうした経験を通じ、私は30年ほど前から習慣的に梅を食べるようになったのです。
いっぽう、梅は胃腸をリセットする作用にもすぐれています。
11年前から、私は2カ月に1回、週末を利用した2泊3日の断食セミナー「ありがとう断食」を行っています。
この断食明けに、参加者の皆さんに大量の「梅湯(白湯に梅干しを入れてかき混ぜたもの)」を飲んでいただくのですが、そうすると溜まっていた宿便が排泄され、腸内がすっきりときれいになるのです。
宿便というのは、腸内にこびりついた老廃物や細胞のカスなどのこと。梅に含まれる「クエン酸」には洗剤のような働きがあるため、断食で胃腸を空っぽにして梅湯を飲むと、宿便を洗い流してくれるのです。
2ヶ月ごとに宿便を洗い流し67歳の今も髪も肌も若々しい
梅湯を飲んだ後には、数回~十数回トイレに通って宿便を出します。宿便はもともと固形ですが、大量の白湯を飲むことで、あえて下痢状にして排泄します。
こうすることによって、わずか3日間の断食でも、ほぼ確実に宿便を出し切ることができるのです。
汚い話で恐縮ですが、宿便は、ふだんの便とはまったく異なります。色はコールタールのように真っ黒で、ドブ掃除をしているときのような強烈なにおいがします。
ですから、宿便が出ると、皆さん一様に「宿便ってほんとうにあるんですね!」と驚かれるのです。
それが何度もトイレに行くうちに水下痢のようになり、だんだん透明でにおいのない便に変わってきます。これが、腸内がきれいになってきたサインです。
もちろん、私自身も皆さんといいっしょに断食を行うのですが、定期的に断食をしていても、断食明けには4~5回トイレに行きます。まさに、私たちがものを食べているかぎり、宿便はたまり続けるということを意味しているわけですね。
宿便を放っておくと、腸内で腐敗し、そこから発生した毒素が血液に乗って全身を巡ることになります。それによって、私たちの体にはあらゆる不調が引き起こされます。
反対に、宿便を排出すると、きれいな血液が循環するようになるため、本来私たちが持っている自然治癒力や免疫力(ウイルスや細菌などから体を守る力)が高まります。
すると、不調が改善したり、病気にかかりにくくなったりするだけでなく、見た目も若々しくなるのです。
実際、私は過去に大きな病気も、入院もしたことがありません。
現在67歳になりますが、白髪はほとんど見当たらず、髪の毛もふさふさ。手前みそではありますが、肌もきれいなため、年齢よりずっと若く見られます。
特に、肌は健康度を表す、もっともわかりやすいバロメーターです。断食セミナーでは、2日目の段階で肌ツヤがよくなるかたもいらっしゃいますが、断食でほんの少し胃腸を休ませるだけでも、内臓にかかる負担はうんと軽減するのでしょう。
こうした健康効果もさることながら、私がそれ以上に注目しているのは、無意識の中にある「否定的記憶」が、宿便とともに流れていくのではないかということです。
断食後は、人相が変わるほど表情が明るくなる
人は、無意識のうちに他者と自分を比較し、「才能がない」「収入が少ない」などと自分を否定する気持ちを抱きます。それが行きすぎると、鬱病やパニック障害といった心の病にかかってしまうんですね。
ところが、そのような病気のかたでも、断食後には、人相が変わるほど表情が明るくなるのです。
私はこれまで70回以上の断食を行い、のべ3000人以上のかたが目の前で激変する姿を見てきました。それだけに、宿便の排泄は、心の健康にも非常によい影響をもたらすものであると確信しています。
不思議なことに、宿便を出すと運気もアップするようです。
例えば、私が住職を務めている無宗派の「ありがとう寺」は、断食セミナーを行っているホテルの、オーナーに建てていただいたものです。費用は約10億円かかっていますが、その全額をご負担くださいました。
宿願だった宗教色のないお寺を、いわば「タダ」で手に入れたのですから、これ以上の幸運はありません。
夕飯を抜いた翌朝に梅湯を飲むだけででも効果はある
もちろん、断食に参加されたかたがたも、それぞれすばらしい開運体験をお持ちです。そのため、初めはダイエット目的などで来られても、その後は運気アップを期待されるリピーターさんが多いほどです。
とはいえ、断食に参加するのは難しいかたもいらっしゃると思います。その場合は、ご自宅で梅湯を飲まれてもいいでしょう。
私のお勧めは、夕食を抜く「半日断食」を行い、空腹の状態で迎えた翌朝に梅湯を飲む方法です。日常生活のなかでも、ちょっと食べることをやめて梅湯を飲めば、お通じの状態は格段に変わってきます。
いつまでも元気で「食べる道楽」を堪能するには、ときどき意識的に「食べない道楽」を味わうことも必要です。皆さんにも是非、プチ断食と梅湯の効果を、ご自身の心と体で体感いただきたいと思います。
病中病後の人も参加する座禅断食の仕上げは「梅湯」
響きの杜クリニック院長 西谷雅史
私はこれまで40回にわたり、医師の立場から「座禅断食」の指導を行ってきました。座禅断食というのは、禅の修行である座禅と、断食を組み合わせたものです。
座禅は瞑想と似ていますが、大きく異なるのは、目を開けて行う点。思考が散漫にならないよう、視覚をその場に固定して、精神をクリーニングするのが特徴です。
断食中に座禅を組むと、両者の相乗効果によって、心と身体を同時にリセットすることができます。
人間は3日食べなくても死なない むしろ調子がよくなる
このような断食法に興味を持ったきっかけは、私がまだ勤務医だった頃、座禅断食の考案者である野口法蔵先生の断食に参加したことです。
十数回にわたって断食に参加する中で、「心身ともに元気になる」という効果を確信した私は、10年前にクリニックを開院する際、ぜひ定期的に座禅断食を行いたいと、野口先生から伝授いただいたのです。
座禅断食に参加されるかたには、ガンの治療を終えた患者さんのほか、高血圧や糖尿病など、病中・病後の人も少なくありません。
病気をされているかたは、当初、食べないことに不安を感じられるかたもいらっしゃいます。ですが、それは子どもの頃から「食べなきゃダメだ」と言われ続けたことで、食べなかったら死ぬんじゃないかと心に刷り込まれているだけなのです。
人間は、3日間くらい食べなくても死ぬことはありません。そもそも、3日間といっても7食しか抜かないのですから。
断食を経験すると、「3日くらい食べなくてもだいじょうぶ」「むしろ体も軽くなり、かえって調子がいいぞ」ということに気づけます。これは、大きな収穫と言えましょう。
体の代謝系や意識が変わり病気の治療にも期待される
人間はふだん、ブドウ糖を燃料にして活動しています。
ところが、断食を行うとブドウ糖が不足するため、脂肪を砕いて燃料にする「ケトン代謝」に変わります。
実はこの現象、クマなどのほ乳動物が冬眠状態に入るときと同じなんですね。人間もほ乳動物ですから、食べることをやめると、3日目あたりで代謝系が切り替わります。
すると、意識がある状態でぼーっと過ごすようになります。その結果、最初はキツく感じられる空腹感も、苦しくなくなるわけです。
断食中の座禅は、30分組んだら1時間休むというスケジュールで、合計11回行います。座禅では「無」になるわけですが、自然と自分の内側に目を向けることにもつながって、多くの気づきが得られます。
このように、体の代謝系や意識が変わることで、さまざまな病気治療にも効果が期待できるのです。
そして、座禅断食の仕上げとしていただく「明けの食事」では、大量の梅湯を飲みながら、何種類もの野菜をいただきます。すると、だいたい1時間以内に便意をもよおし、腸内に残っていた便が排泄されます。
その後、新陳代謝ではがれた腸壁の皮や、死滅した腸内細菌などの宿便が、まるでお湯で洗浄するようにジャーッと出て、完全に腸内がきれいになります。その爽快感で参加者の皆さんも晴れやかな顔になり、ニコニコしながら帰られるのです。
なお、近年では、塩分が高血圧に直結するという説は否定されています。精製塩で漬けた梅干しやハチミツ入り梅干し、調理梅干しは避け、天然塩を使った梅干しを選べば、マグネシウムなどのミネラルが豊富ですから、それほど塩分を気にしなくてもだいじょうぶでしょう。