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【横向き寝】で睡眠の質が上がる!怖い睡眠時無呼吸やイビキも解消

自律神経を休ませて活性酸素を減らす「横向き寝」

 国民の5人に1人が「満足な睡眠を得られていない」と思っている現代では、睡眠は国民的な関心事と言っていいでしょう。

 睡眠の質を下げる1つの原因に、イビキがあります。女性の中には、「イビキは男性がかくもの」と思っている人も多いですが、実は女性も注意が必要です。特に、女性ホルモンの低下で、後頭部の筋肉が弛緩しやすくなる40代後半から寝息がイビキに変わることが多いようです。

 女性の場合、イビキの音は肺活量が小さいために大きくはありません。しかし、吸い込む酸素量が少ないことや、もともと貧血や低血圧で低酸素になりやすいことから、男性より重篤なケースもみられます。

 イビキをかく人は、睡眠時の無呼吸にも注意が必要です。喉頭部の筋肉がゆるみ、空気の通り道である気道が狭まり、イビキの音が発生します。気道が完全に閉塞した状態が無呼吸です。

 睡眠時無呼吸症候群の場合、本人に無呼吸の自覚がないことも珍しくありません。睡眠時間はしっかり取っているし、寝つきもよいはずなのに、朝起きるのがつらい、日中眠たくなる、疲れが残っている、という人は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。特に、脳は朝起きて4時間後あたりに最もよく働きます。その時間帯に眠くなるようだと、睡眠時無呼吸症候群を疑ったほうがよいでしょう。

「横向き寝」睡眠の質が格段に上がる

イビキをかきやすく、睡眠時無呼吸症候群が疑われる人に勧めたいのが「横向き寝」です。横向きで寝ることで、イビキや睡眠時無呼吸が軽減し、睡眠の質が格段に上がります。

 仰向けで寝ると、のどの筋肉が垂れ下がり、気道をふさぎやすくなります。また、うつぶせ寝では、イビキ自体は減少しますが、胸を圧迫するため、眠っている間に呼吸が苦しくなる傾向があります。

 いびきをかく人は横向き寝、特に胃下垂のある女性は胃の出口である幽門部が下になる、体の右側を下にする横向き寝がベストです。

質のよい睡眠が血管の老化も防ぐ

 イビキをかく人は、枕を選ぶときも、仰向け寝を想定するのではなく、横向きで寝ることを想定して選ぶようにしてください。

 横向きで寝る場合は、仰向けを想定した枕の高さよりも、肩幅の分だけ高いほうがよいでしょう。横に寝たとき、頸椎が真っ直ぐ(床と水平)になる高さの枕を選ぶのが理想です。

 なかなか横向き寝になれないという人は、テニスボールやタオルを入れたウエストポーチを体に装着したまま布団に入る方法をお勧めします。こうすると、寝返りで仰向けになろうとしたときに、ふくらみの違和感で横向きに戻るため、自然と横向き寝のまま朝を迎えられます。

 また、抱き枕に両手両足を絡めて寝るのも効果的です。これらの方法は、私のクリニックやテレビ番組で何度か実験しており、有用であることがわかっています。

疲れを取れるのは「質のよい睡眠」だけ

 人は起きている間、必ず「疲れ」が生じます。そして、疲れはどんどん蓄積していきます。今の医学では「質のよい睡眠」を取る以外に、疲れを回復させる術はありません。

 しかし、睡眠時無呼吸症候群であったり、イビキをかいたりする人は、寝ても疲れが取れません。寝ている間、気道が狭くなっているために、肺にじゅうぶんな酸素を供給できず、その結果、酸素の供給量を上げようと自律神経がフル回転してしまうからです。この状態では、自律神経は疲弊したままです。

 自律神経が疲労した状態が続くと、中枢の神経細胞はサビつき、傷つきます。このような状態を「酸化」といいます。酸化の原因となるのが「活性酸素」という物質です。過労で細胞を酷使すると活性酸素の量が増えて、酸化が始まります。酸化が進行すると血管が老化し、動脈硬化などが起こりやすくなることがわかっています。

 活性酸素を極力発生させないようにするためには、夜、寝るための快適な環境をしっかり整え、自律神経が休まるような、質のよい睡眠をとることが必須です。そのためにも横向き寝はとてもお勧めです。