花見は「予祝」の原点の習慣
願いを叶える最大のコツは、喜ぶことです。
そのことを古来、日本人はよく知っていました。
例えば、なぜ日本人はお花見をするのか?
実は、お花見こそ、古代日本人が実践していた、夢(願い)を叶えるための引き寄せの法則だったのです。
古代日本人のいちばんの願いは、稲がたわわに実り、お米がしっかりとれることでした。
そのいちばんの願いの実現を引き寄せるためにやっていたのが、実は、お花見だったのです。
春に満開に咲く「桜」を、秋の「稲」の実りに見立てて、仲間とワイワイお酒を飲みながら先に喜び、お祝いすることで願いを引き寄せようとしていたのです。
これを「予祝(よしゅく)」と言い、ちゃんと辞書にも載っています。
古代日本人がやっていた、夢の引き寄せの法則、それが「お花見」だったのです。
祝福を予め予定するのです。いわば、「前祝い」です。
先に喜び、先に祝うことで、その現実を引き寄せるというのが、日本人がやっていた夢の叶え方なんです。
盆踊りも予祝です。秋の豊作を喜ぶ前祝いダンスが由来です。
実は、奇跡はとてもシンプルな法則(原理)で起きています。
風船を思い浮かべてみてください。その風船に小さく「♡」を描き加えたら、その風船に空気を入れるたびに、「♡」は大きくなっていきますよね。
そう、「未来」=「今の心の状態」。未来とは、「今の心の状態」が大きくなっていくだけなのです。
つまり、あれがダメ、あれが足りない、これができないと、今に×を出せば出すほど、バツの未来しか来なくなるわけです。
日本のことわざ、「始めよければ終わりよし」というのは、現在の心の状態(始め)がよければ、未来(終わり)もよいって意味です。
21世紀までは、いいことがあったら喜ぶという時代でした。
しかし、22世紀は「順番」が違う。
いいことなんか何もなくても先に喜んでしまう時代です。
先に前祝いして、いいことを引き寄せる「予祝」の時代です。
「一芝居打ってお祝いするんだ」
武田鉄矢さんも、この「予祝」でブレイクしています。
フォークシンガーだった若い頃の武田鉄矢さん。歌が売れなくて、東京から故郷の博多に帰り、お母さんに「もう、歌をやめる」と言ったのだそう。
すると、お母さんは「やめるな!」と。そして黙って冷酒をついでくれ、コップを高々とかかげて、こう言った。
「鉄矢さん、成功おめでとうございます。かんぱ~い!!」
鉄矢さんが、「めでたかことは、なーんもなかばい」と伝えると、お母さんは「とにかく先に祝おう」と。いったいなんのことかわからず、ポカーンとしていると、お母さんはこう言ったそうです。
「おまえには貧乏神が取り憑いている。でも、乾杯すればその貧乏神は『ここまで苦しめているのに、まだおめでとうとか言ってるよ』と拍子抜けして離れて行く。だから一芝居打ってお祝いするんだ」と。
この日、親子で一芝居打ち、祝杯をあげたわけです。
すると、このあと一気にブレイクしていくのです。
鉄矢さんは、これが日本古来の「予祝」だったということをあとで知るわけですが、「あの夜は忘れられない」と語っています。
次回に続きます。
イラスト/はやしひろ