ゆほびか ゆほびか
  • 文字サイズの変更
  • 大
  • 中
  • 小
  • SNS
  • twitter
  • facebook
  • instagram

「寝不足脳」の解消~脳を使い込んで疲れさせるのがコツ

「若い頃にもっと寝ておけばよかった」という後悔

脳の専門医・加藤俊徳先生はこう言います。

「自分がもし、30代、40代に戻れるなら真っ先にやりたいこと。それは『もっと寝ておくこと』でした」(加藤医師)

近年、脳と睡眠に関する研究が進んで、私たちが思っている以上に、睡眠は脳や体にとって極めてたいせつであることがわかってきました。

例えば、米国ジョンズホプキンス大学の研究では、睡眠時間が6時間の以下の人は、睡眠時間が7時間以上の人に比べ、アルツハイマー型認知症の原因と言われる「アミロイドβ(ベータ)」の脳内への沈着量が顕著に多いことがわかりました。睡眠不足がアルツハイマー型認知症の直接的な原因になることがわかったのです。

そのほか、糖尿病やがん、高血圧にも睡眠不足が深く関わっていることが研究で次々証明されています。まさに「寝不足は万病の元」というわけです。

加藤医師はこう続けます。

「慢性的に寝不足が続く人は、脳が”寝不足脳”になっている可能性が高いです。しかし、寝不足脳といっても、脳全体の眠りが浅いということは少ないものです。脳の一部分が眠れていないことで、寝不足になっているパターンもあります」(加藤医師)

脳は8つの「脳番地」というエリアに分かれる

加藤先生は、脳を機能別に大きく8つのエリアに分けています。これらを「脳番地」と呼びます。

1 思考系脳番地
 物事を考えるエリア
2 視覚系脳番地
 目からの情報を受け取るエリア
3 運動系脳番地
 手足や口など、全身を動かすエリア
4 感情系脳番地
 感情をつかさどるエリア
5 理解系脳番地
 情報を理解・整理するエリア
6 聴覚系脳番地
 耳からの情報を受け取るエリア
7 記憶系脳番地
 情報を覚え、思い出すエリア
8 伝達系脳番地
 コミュニケーションをとるエリア

これらの脳番地のうち、昼間の働きが悪いエリアは、その部分が疲れていないため、眠りが浅くなります。逆に、昼間のうちにその脳番地を使い込んで疲れさせれば、そのエリアはぐっすり眠れるようになり、結果として、脳全体の睡眠の質が上がるというわけです。

例えば「運動系脳番地」がじゅうぶん疲れていない人(手足や口の運動が足りない人)は、「利き手と反対の手で歯を磨く」「足指じゃんけんをする」。

例えば「思考系脳番地」がじゅうぶん疲れていない人(思考が足りない人)は、「自分の意見と反対の意見を考えてみる」「外を散歩する」――といった解決法があるわけです。

『ゆほびか』2021年9月号の誌面では、あなたの脳のどの脳番地が寝不足かがすぐにわかるチェックリストを掲載しています。

「睡眠の質を高めるには、まず脳から」(加藤医師)です。 脳専門医の指南を、ぜひご活用くださいね。