コロナに戦争で心が落ち着かない人が増加中
コロナ禍がようやくひと段落したと思ったら、今度は外国で戦争が起こって避難する人の苦境に心を痛めたり、気分転換しようとSNSをのぞけば、今度は他人の充実した日々に焦燥感を抱いたり……。
ここのところずっと、心がフワフワと落ち着かないという人が増えているようです。
そんな今だからこそ、取り組んでほしいことがあります。
それは、お経をそのまま書き写す「写経」です。
こう話すのは、曹洞宗徳雄山建功寺の枡野俊明ご住職。
座って、お経を一文字一文字書き写す静謐なひととき。
それはせわしない日常から離れて、自分と向き合う、ぜいたくな時間となります。
心を込めて書くうちに、怒りや不安、迷いがスーッと消えていき、気がつくと心が楽になっている。写経にはそんな効果もあります。
目の前の一文字一文字に神経を集中させる
実際にやるとわかりますが、写経中にほかに注意が向いたり、考えごとをしたりすれば、その迷いは文字にすぐに表れます。線がゆがんだり太さが変わったりするのです。
そうならないように、と意識すると、自然に目の前の一文字に全神経を集中させることになります。これが結果的に集中力を養うよい訓練になります。
そうして集中する間は、普段、頭の中を占めている考え事や不安などからも解放されます。その結果、心が落ち着き、自分を見つめなおすこともできます。
皆さんは日々、どんな毎日を過ごされているでしょうか?
すべきことに追われ、気がついたら1日が過ぎていた。
とり立てて何をしているわけでもないのに、何かに追われているかのように、慌ただしく日々を過ごしている。
もしそうなら、ちょっと立ち止まって、自分を取り戻す「写経」の時間をつくってみてはどうでしょう。
1日5分でいいのです。心の変化を感じてみてくださいね。
『ゆほびか』2022年6月号には、「般若心経」の写経見本が付録についています。
「般若心経」は長いなと躊躇する人には、付録裏面にある「延命十句観音経」がお勧めです。
四十二文字の短いお経なので、取り掛かりやすいです。
そのほか、写経をする際の準備や心得、般若心経全文の意味なども詳しく解説していますので、ご興味のある方はぜひお手に取ってご覧ください。