ゆほびか ゆほびか
  • 文字サイズの変更
  • 大
  • 中
  • 小
  • SNS
  • twitter
  • facebook
  • instagram

【ゆっくり肩回し】肩こり・首こりを撃退、老眼・近視も改善!医大病院でも実践する手法

2020/11/06

首を前に傾けた姿勢が肩こりの要因

 私が最近、特に多く診ているのが「首下がり症」の患者さんです。極端なネコ背で、首だけ下がっている人を見かけませんか。高齢のかたに多いあの症状が、首下がり症です。

 パソコンやスマホの普及で、首を前に傾ける姿勢や動作をする頻度も時間も爆発的に増えました。こうした日常生活での悪い姿勢が、年齢を重ねた後、首下がり症につながるのです。

 首下がり症は、少しずつネコ背になって、結果、この症状になるというパターンは、実は少ないものです。多くの人は、ある日突然、頭部が前に垂れ下がり、戻せなくなるのです。

 最初、患者さんは「寝違えたかな」などと思い、いずれ治ると思って数カ月間、放置します。しかし、なかなか首が戻りません。そこで初めて「おかしい」と感じて、病院を受診されるかたが多いのです。

 首下がり症が悪化すると、たれ下がった頭をほぼ動かせなくなります。こうなると、食事がのどに詰まったり、信号を見ることが困難になり外出できなくなったりするなど、QOL(生活の質)が著しく下がります。

 悪化した首下がり症は手術で治すことになりますが、予防する方法はあります。首下がり症と関連性が深い、その前兆ともいえるのが「肩こり」です。

 肩こりは、首を前に傾ける姿勢が続き、首や肩の筋肉に過度な負担がかかることで起こります。

 背筋の整った状態では、頭の重さは4~5㎏前後です。ところが、首を前に傾けた状態では、頭の重さは最大で約27㎏相当、5倍以上の負荷になります。

 首や肩だけでそれほどの重さを支えようとすれば、当然こりや痛みが出てくるわけです。

 首下がり症を防ぎ、肩こりを改善するためには、姿勢に気をつけることが重要になります。また、すでに肩こりや首に痛みのある人は、ふだんから首や肩の筋肉をほぐして、柔軟にしておく必要があるのです。

肩こりはもむと悪化する!

 首や肩の筋肉をほぐすと言うと、肩をもんだり、首を回したりする人がいます。これはほとんど効果がありません。

 首や肩を支える僧帽筋などの筋肉群は、首や肩だけにあるわけではなく、肩甲骨を包んで、背中の下の方まで広がっています。首、肩だけをもんでも、ごく一部しかほぐれず、根本的な解決には至りません。

 首や肩をもんでもなかなかこりが改善しないため、より強くもんだり、たたいたりします。強く圧迫すると、筋肉は傷つきます。それが修復されると、傷が治った後の皮膚のように、筋肉は以前よりさらに固くなります。こ

 れがいわゆる「もみ返し」と呼ばれるものです。これを繰り返すうちに痛みやこりは慢性化していきます。肩こりを治すためにマッサージに行く人は、肩こりを悪化させに行っているようなものなのです。

 では、効果的に筋肉をほぐすにはどうすればよいのでしょうか。それは、筋肉を取り巻く「ファシア」にアプローチするのが近道です。

 ファシアとは、筋肉や骨、神経、血管、臓器など、全身の器官をくまなく覆っている繊維状の組織です。

 近年、筋膜が注目されましたが、ファシアはそれを含めた全身の組織を覆う膜です。私たちの体にとって、ファシアが重要な役割を担っていることが最近わかってきました。 

 ファシアの特徴は、動かさないと硬くなることが挙げられます。首を傾けたまま長時間スマホの画面を見たり、イスに座ったまま長時間作業したりするような、筋肉を動かさない生活を続けていると、ファシアは硬くなり、筋肉の動きを妨げます。

 ミカンを思い浮かべてください。古くなったミカンは、皮と房の間にある白いモサモサしたところが硬くなり、皮が剥きにくくなります。

 この白いモサモサしたところがファシアに当たります。ファシアもこれと同様に、硬くなると筋肉に貼りついてしまうのです。その結果、ファシアに包まれた筋肉の動きが損なわれてしまいます。

 逆にファシアをゆるませて、柔軟性を高めれば、ファシアに包まれている筋肉もゆるみます。ファシアをゆるめる効果的な方法として、私が患者さんたちにお勧めしているのが「ゆっくり肩回し」というストレッチです。

ポッコリ下腹も解消した

 ゆっくり肩回しを行う前に、まずは自分の肩甲骨がどのくらい動くのかを確認してみましょう。

 壁に背中をつけて立ち、手のひらを下に向けて、両腕を体の真横に伸ばします。その状態で、痛みを感じる直前まで少しずつ上げていきます。水平線と腕の角度が60度以下なら、肩甲骨の動きが悪い証拠です。

 肩こりのある人は、僧帽筋や菱形筋、肩甲挙筋など、肩甲骨周囲の筋肉がこり、肩甲骨が胸郭にくっついたように動きが悪くなっています。これらの筋肉を動かすためには、肩甲骨から動かすのが効果的です。

 ゆっくり肩回しで、肩甲骨を胸郭からはがすように肩をゆっくり大きく後ろに動かすと、菱形筋のファシアが動き、連動して僧帽筋や肩甲挙筋とそのファシアも動きます。

 肩甲骨についている筋肉は、体の深いところに存在する筋肉なので、その筋肉をしっかり動かすとファシアが連鎖を起こし、それが上下に広がっていきます。その結果、首や肩のこりが解消し、姿勢もよくなっていくのです。

 NHK・BSプレミアムの『美と若さの新常識 カラダのヒミツ』というテレビ番組内で実験した際には、ゆっくり肩回しを30秒行っただけで、ネコ背ぎみだった人の姿勢がその場で変わりました。

 前かがみだった背骨上部がしっかり起き上がり、ゆるやかなS字カーブを描くようになった結果、身長も5㎜伸び、バストは1㎝アップ、ヒップも1㎝アップし、ポッコリ下腹も解消しました。

 肩甲骨を動かすことで、菱形筋のファシアの力が背骨のファシアに伝わり、背骨を構成する椎骨の一つひとつに柔軟性が出て、その結果として、背骨が本来あるべき湾曲に近づいたと考えられます。

 肩こりや首こりが慢性化すると、頭痛、眼精疲労、冷え症、めまい、不眠、慢性疲労などの原因になります。先述のように首下がり症につながることもあり、首下がり症になった人の中にはうつ病などを引き起こしているケースも多々あります。

 肩こりを感じたら、肩をもまずにゆっくり肩回しを行ってください。パソコンやスマホを長時間見る生活習慣を改め、同じ姿勢を続けないようにすることもたいせつです。

肩こりを根本から治す!医師考案ゆっくり肩回しのやり方

準備運動】

①ひじと肩を水平にする

②5秒かけてゆっくりひじを後ろへ。肩甲骨を左右から寄せるイメージで

ゆっくり肩回し】

①ひじと肩を水平にする

②ひじを肩より上に上げることを意識しながら、5秒かけてゆっくり両肩を後ろに回す

③ひじはできるだけ後ろに引く。これを5回繰り返す