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【糖尿病】食後1分のゆるジャンプがスゴイ!有酸素運動×筋肉強化の相乗効果で血糖値が下がる

糖尿病になりやすい人のサインがある!

皆さんは「予防医学」という言葉を聞いたことがありますか?

一見難しく感じるかもしれませんが「病気にかかってから治すのではなく、病気になりにくい体を作る」という考え方を指します。

私も力を入れて取り組んでいることで、中でも糖尿病は対策を要する病気の一つです。

糖尿病というと、のどの渇きやすさ・手足の痺れなどの症状が現れたり、健康診断で医師から告知を受けたりして気づくことが多い病気です。でも実は、糖尿病にもカゼの引き始めのように、なりかけもしくはなりやすい人のサインがあります。

それは体の冷えや首・肩のこり、肌のくすみやシミ・シワなど、意外と身近な不調の症状です。

特に、日頃から血糖値が高めの人、エストロゲンという女性ホルモンが減少し始める更年期以降の女性は注意が必要です。

該当する人が、先に述べたサインを見落としていると本格的な糖尿病に進行し、視力や肝機能の低下を招きます。そして、薬なくしては生きられない体になってしまうのです。

ですから、糖尿病になる前に、対策をすることが重要……その対策の一つとして私がお勧めしているのが「ゆるジャンプ」です。

高血糖と糖化が不調の原因

まずは、糖尿病のサインが出る理由をご説明いたします。

そもそも糖尿病とは、すい臓から出るインスリンというホルモンが十分に働かず、血液中を流れるブドウ糖(血糖)が増えてしまう病気です。

血液中のブドウ糖が多い「高血糖」の状態が続くと、血管の内側にある細胞が傷つけられます。

また、血液中にブドウ糖が多くなりすぎると、ドロドロの状態になるので、血流が悪化します。

細胞が傷つけられて、血流が悪くなった結果が、体の冷えや首や肩のこり、シミ・シワといった不調です。

さらに、高血糖で引き起こされるのが「糖化」という現象です。

糖化は、ブドウ糖などの糖質が体の中のたんぱく質に結びついて変性し「AGEs(糖化最終生成物)」という老化物質を作り出すことです。皮膚で糖化が起きればたるみやシワ、体内で起きれば血流が悪化し、冷えなどの症状を招くのです。

食後軽く飛ぶだけ!
1回1分!基本のゆるジャンプ

①両手足の力を抜いて、背筋をまっすぐに伸ばして立つ。手は自然に下ろし、目線は前を向く

②垂直に飛ぶ。かかとが床から少し離れる程度でよく、高く飛ぶ必要はない。ジャンプを1、2、3……と数えながら小刻みに行う。呼吸は自然にし、止めないようにする

③ひざを軽く曲げ、着地する。1回1分①~③を1セットとして、毎食後に行う。1日の目安は3回。なお、ゆるジャンプを行って体に痛みや不調が出た場合は中止する

ゆるジャンプを行う前の準備運動も大事!

①手首・足首を両方向にゆっくり回す(20回程度)
10回ほど屈伸をする。まず、大腿と下腿の角度を90度にする。90度以上曲げることができる人は、途中で止めず、②-3のように大腿が下腿につくくらいしゃがむ。②-3が難しい人は②-2の動作まででOK!②-2もしくは②-3までが終わったら、ゆっくり②-1の体勢に戻り、屈伸を繰り返す

シンプルながらも効果大!

私が診察している糖尿病患者さんにゆるジャンプを行ってもらったところ、うれしい報告がありました。

70代の男性は、ヘモグロビンA1c(過去1~2カ月の血糖値が分かる数値で、正常値は6・2%未満)が7・4%から6・5%まで下がりました。同年代の女性でも、同様の効果が確認されています。

ゆるジャンプが糖尿病の予防と改善に効果を発揮する理由は2つ考えられます。

まず、ゆるジャンプで大腿四頭筋とふくらはぎの筋肉を刺激し、鍛えることができるということです。

ゆるジャンプでここの筋肉が鍛えられる!

糖尿病の予防には、筋肉の存在が不可欠です。

筋肉は、動くときのエネルギーとして、血中にあふれる糖を消費します。中でも、体の中で多くの割合を占めている大腿四頭筋が鍛えられると、消費される糖の量も増え、血糖値が下がりやすくなるのです。ふくらはぎの筋肉は、血液を心臓に送り返す働きがあります。鍛えられるほど、その機能は高まり、血液の循環がよくなりますから、高血糖が改善されるというわけです。

また、ゆるジャンプは、息を整えながら飛ぶため、有酸素運動にもなります。有酸素運動をすると、筋肉への血流が増え、体内の糖が細胞の中に取り込まれやすくなり、結果として血糖値が下がります。

大腿四頭筋やふくらはぎの筋肉を鍛えながら行う有酸素運動……この相乗効果で、シンプルな運動ながら効果が得られると考えています。

そして、ゆるジャンプの強みは、いつでもできるということ。回数や時間もできる範囲でOKです。自分のペースで行ってください。1日3回の食事の後、例えば歯磨きを終えたタイミングで、ゆるジャンプを習慣化してもらえればと思います。

アレンジができる点もゆるジャンプの特徴です。より高く飛んでもよいですし、上の写真のように、万歳などをしながらジャンプするとより効果的です。

ゆるジャンプのアレンジ方法

「基本のゆるジャンプ」②を行うとき、手を万歳の状態にしたりクロスしたりして飛ぶと、難易度は上がるが全身を動かせるので、より効果的!

反対にジャンプが難しい人は、かかと上げ下げでも同様の効果が得られます。

「かかと上げ下げ」のやり方

ゆるジャンプは、かかと上げ下げを全身運動に発展させたものです。
ジャンプが難しい人は、こちらの運動がお勧め!

①イスの背を持ち、足を肩幅ほどに開いて立つ。このとき、頭が天から引っ張られるようなイメージで、背筋をまっすぐに伸ばして立つ
②両足のかかとを上げ、つま先立ちになる。その後、かかとに体重をかけ、ゆっくり下ろす。1、2と数えながら行うとよい。なお、つま先立ちになった状態で、1、2、3と数えて数秒キープすると効力がアップ! ①~②を食後に1分間を目安に行う

ゆるジャンプは、蓄積された内臓脂肪の消費にも役立ちます。内臓脂肪が消費されると、まずはやせます。そして、糖尿病・高血圧・脂質異常症を促進する物質の分泌が低下しますから動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞の予防にもつながります。また、糖尿病のサインとして挙げた体のこりやシミ、シワ、冷えなども改善できます。

日常の「予防医学ルーティン」として、取り入れてみてください。

この記事は『ゆほびか10月号に掲載されています