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【安房国一の宮めぐり】電車・バスだけで1日まわってみた~(1)洲崎神社編

洲崎神社

 すっかりご無沙汰になってしまった、中の人<マ>こと、松風五郎です。2020年末の「お伊勢参り」、2021年4月の「東国三社めぐり」以来になります。

 新型コロナウイルスが落ち着いてきたこともあり、房総(千葉県)の一の宮を巡ろうと思い立ちました。2021年11月の土曜日に鉄道と路線バスでお参りしましたので、その様子をレポートします。

(※)2020年12月のお伊勢まいりの様子はこちら(全5回です)

(※)2021年4月の東国三社めぐりの様子はこちら(全3回です)

千葉県の一の宮は全部で4ヶ所

 現在の千葉県は、その昔「下総(しもうさ)国」「上総(かずさ)国」「安房(あわ)国」でした。おなじみ千葉県のマスコット「チーバくん」を使って言えば、顔が下総、お腹まわりが上総、足元が安房の位置関係です。春に訪れた香取神宮は下総国の一の宮ですので、今回は上総国と安房国にお参りです。上総国は一宮町にある「玉前(たまさき)神社」、安房国は館山市にある「安房神社」と「洲崎(すのさき)神社」の2ヶ所の一の宮があります。

 今回は、館山市の安房神社、洲崎神社を参拝した後、一宮町の玉前神社へめぐる計画を立てました。例年秋に、千葉県内のJR線や一部の私鉄、指定の路線バスが連続する2日間乗り降り自由となる「サンキュー♡ちばフリーパス」が発売され、2021年も発売されましたので、これを使うことにしました。3,970円で、千葉県内のJR駅の指定席券売機で購入できます(2021年の場合)。前年までは2~3ヶ月の利用期間が設定されていましたが、今年は利用期間が11月の1ヶ月間だけなので、早々に出発を意気込みます!

サンキュー♡ちばフリーパス

よもやの寝坊! 安房国めぐりに変更

 しかし思い通りに事は運ばず。当日の朝、目覚ましアラームの設定を間違え、まさかの寝坊です。鬼滅の刃の煉獄さんばりに「よもや、よもやだ」と一叫びし、慌てて家を出ますが時すでに遅し。予定していた内房線の特急「新宿さざなみ1号」に乗ることができず、後続の特急「新宿さざなみ3号」で館山へ向かいます。海が見える美しい車窓もそこそこに、車内でこの後のバスのダイヤとにらめっこしたものの、この時点で玉前神社へ向かうことは絶望的に。よって今回は安房国の一の宮めぐりとすることにしました。

 ちなみに、この特急「新宿さざなみ」号は主に土曜・休日に設定される臨時列車ですので、利用される際は運転日に注意が必要です。またフリーパスや乗車券のほかに特急料金が別途かかりますが、JR東日本のインターネットサイト「えきねっと」からチケットレス予約(トクだ値)をすると、通常料金より安く指定席が利用できます。

・JR総武線・内房線 特急「新宿さざなみ3号」 新宿 9:08発 → 館山 11:18着

 (※実際は「サンキュー♡ちばフリーパス」を購入する都合で船橋から乗車しました)

洲崎神社の長く続く石段

 特急「新宿さざなみ3号」で館山駅に到着したのは11時18分。計画していた「新宿さざなみ1号」の到着(10時06分)から1時間超の差があります。路線バスの本数が少ないため、この1時間の差がプランに大きく影響します。安房神社から洲崎神社へ向かうとかなりの待ち時間が発生してしまうので、逆回りで先に洲崎神社へ向かうことにしました。

・JRバス関東・洲の崎線 館山駅 11:40発 → 洲の崎神社前 12:15着

 館山駅東口の3番乗り場からバスに乗車します。ここから発車するJRバス関東の路線バスは、安房神社を通って野島埼や安房白浜方面に向かう「南房州本線」と、洲崎方面へ向かう「洲の崎線」の2つ路線があり、いずれも「サンキュー♡ちばフリーパス」の指定区間に含まれているので乗り放題です。なおパスを使わず普通に利用する場合、Suica等の交通系ICカードは使えないので注意が必要です。

 「洲の崎線」相の浜行きでおよそ40分、「洲の崎神社前」に到着です(通常は運賃490円)。そのままバス通りを少し進むと左手に洲崎神社があります。

バス通り沿いには大きな石碑が

 到着してすぐ、鳥居越しに見える長い石段に面食らうほどですが、徐々に近づくとその高さに圧倒されます。御朱印は、普段は石段手前の「随身門」に書置きが頂けるようになっているようですが、この日は社務所が開いていたので、直接浄書いただけました。参拝前に御朱印帳を渡しておくよう貼り紙があったので預けて、いざ気合を入れて石段を上り始めます。

鳥居の先が随身門。そこから上へ延びる石段の先に本殿がかすかに見える

 なかなかな角度の急な石段で、石段の真ん中に手すりが1本通っているのみ、また踏み面も広くはないので、天気の良い日にスニーカーで行くことを勧めます。段数を数えながら上り始めたものの、休み休み、だんだん息も上がります。石段の真ん中に通った手すりを伝い、やっとのこと辿り着いた頃にはすっかり数える余裕もなくグッタリしてしまいました。後で調べると147段(148段とする資料もあり)の石段で、敬虔な気持ちで上ると厄を落とせる「厄祓坂」という名前もあるそうです。普段の不摂生がたたってか、太ももはパンパンに張り、息を整えるのも時間がかかります。

霊峰富士遥拝所

 正面の本殿やお稲荷様へお参りし、その脇の細い道を進むと「霊峰富士遥拝所」と書かれた場所に出ます。鳥居の先は一面の海。タイミングが合えばその向こうに富士山が見えるスポットです。ここからの眺めは、上ってきた疲れを(一瞬ですが)忘れさせてくれるような気がしました。

厄祓坂上から。眺めは良いが足元は怖い

 本殿を後にして、厄祓坂の石段を今度は下っていきます。しかし一歩目を踏み出そうと足元に目をやると、その高さに急に怖くなってきました。上るときには振り返らなかったので意識していませんでしたが、私のような高所恐怖症の方にはお勧めしません。へっぴり腰で手すりを両手で掴みながら、おそるおそる一段ずつ、ゆっくり足を進めます。この手すりがグラグラするのが、さらに怖さを増します。ちょうど他に石段を上り下りする参拝者がいなかったのが救いでした。ようやく下り終えたときには太ももに加えて力のこもった腕もパンパン。この原稿を書いている2日後にも腕に筋肉痛が残ります。

 預けていた御朱印帳を受け取ると、力強い書体の洲崎神社の文字が目に入ります。向かいのベンチで息を整えていると、随身門で石段を見上げては上らず引き返す人もしばしば見かけました。ちなみに後で調べてみると、夏の例大祭ではこの石段を神輿が駆け下りるのだそう。にわかに信じられませんが、写真を見ると石段の手すりが外されているので、手すりのグラつきはこのためだったのでしょう。

 バスまではまだ時間がありましたので、バス通りを渡ってそのまま海の方へ向かいます。海に出るとそこにも鳥居(一の鳥居)があり、御神石があります。ベンチで潮風に吹かれながらのんびりしていると、まるで時間がゆったり流れているような、気持ち良いひとときを過ごせました。それでもまだ次のバスまで時間があったので、近くの洲崎灯台を目指して歩きましたが、灯台の手前のバス停ですっかり疲れ切り、灯台は諦めて「洲の崎灯台」バス停13時29分発の相の浜行きバスに大人しく乗車し、次の安房神社へと向かいます。

一の鳥居の先は岩場。海面まで下りていけます

(2)へつづく

※参拝時間や交通機関の時刻や価格は2021年11月時点のものです。

※電車やバスは新型コロナウイルス感染症対策で特別ダイヤの運行になっていることがあります。時刻表や各交通機関のホームページなどで最新の情報をお確かめください。

※参拝や御朱印授与については、新型コロナウイルス感染症対策で状況が変わることがありますので、お出かけ前には最新の情報をご確認ください。