日本の変遷から見る時代のエネルギーの変化
西洋占星術の世界では、これまで約220年間続いた「土の時代」が終わり、新たな「風の時代」に入ったとされています。
「土の時代」は物質主義的な、目に見える豊かさを追求した時代。「風の時代」は、情報や知識、人とのコミュニケーションなど形のないもの、目に見えないものに価値を置く時代。それに対して、モノやお金といった物質的な豊かさよりも、心の豊かさを追求していく時代です。
こうした時代の変化は、明治・昭和・平成・令和と続く日本の歴史や、私たちの生活の変化からも見て取ることができます。明治維新以降、日本は工業化を推し進め、経済大国を目指す道を歩んできました。
そのピークが、昭和の末期から平成の初めまで続いたバブル経済です。日本はアメリカに次ぐ世界第2位の経済大国になり、多くの富と物質的な豊かさを手に入れました。
しかし、その直後にバブル経済は崩壊。2000年代に入ると世界の産業や私たちの生活をも一変させるような変化が訪れます。それがIT革命です。
インターネットや携帯電話、スマホの普及によって世界中のどこでも誰とでもネットでつながれるようになり、ビジネスの世界でも、目に見えない情報が富を生む時代に変わりました。目に見える豊かさや便利さを追い求める時代は、すでに平成で終わりを迎えていたのです。
「令和」の元号に隠された新時代を生きるヒント
そして2019年5月、日本の元号は令和に改められました。実は、「令和」という元号には、「風の時代」をどう生きていけばよいかというヒントが隠されているのです。
令和の「令」に雨かんむりをつけると「零」。ゼロとは「原点に立ち返ること」を意味します。
何かに迷ったり悩んだりしたときは、自分の原点に立ち返る。初心に戻って考えてみることが、大切になります。表面の変化に惑わされるのではなく、原点に立ち返ることがポイントです。
また、令和の「令」は「零という見えない世界」、「和」は「つながり」という意味します。つまり、「見えない世界でのつながり」が重要な意味を持つ時代になるのです。
ネットなど情報空間におけるつながりや、目に見えない神様とのつながり、実際に会ったことのない人も含めた人とのご縁やつながりなど、いろんな「つながり」を大事にする。
人が最も幸せを感じるのは、人とのつながりを感じて、「温かみ」に触れたときです。これは、どんな時代でも変わることのない真実といえるでしょう。
自分の中にある「温かみ」を大事にすること、つまり、人への思いやりと人の幸せを祈る気持ちをたいせつにし、ぬくもりにあふれた人間関係を築いていく人が、神様から愛され、応援されるのです。
自分の中の温かみを大事にすることは、人との絆を育む上でも欠かせません。「原点回帰」「見えない世界でのつながり」「温かみ」の3つが、「風の時代」を豊かで幸せに生きるためのキーワードなのです。
お金も原点回帰! 感謝の心がより重要に
時代の変化を受けて、お金に対するとらえ方も変わりつつあります。これまでは、資本主義経済が行きつくところまで行き、「お金持ちは勝者」という考えが支配的でした。
他人を蹴落としてでも自分さえお金持ちになればいい、どんな手段でもお金儲けができればいい、という考えです。しかし、行き過ぎた拝金主義は貧富の差や環境破壊をもたらし、お金に対する人々の不安を増大させるなど、多くの弊害を生み出しました。
これからの時代は、お金に対しても原点回帰が必要です。お金はもともと、物々交換をスムーズに行うための手段として生まれました。自分が必要なもの、欲しいものを手に入れるためにお金を相手に渡す行為の根底には必ず、相手に対する「私に必要なものを提供してくれてありがとう」という感謝と温かい心があったのです。
風の時代には、お金が本来持つ温かみや、人と人との幸せなつながりを生む働きが重要視されるようになります。自分だけが豊かになるのではなく、自分も含めた周囲の人たちも豊かで幸せになるためにお金を稼ぎ、お金を使う人が真の意味で成功する時代に入ったのです。
では、そんな「風の時代」を豊かで幸せに生きていくには、どうすればよいのでしょうか。(後編に続く)