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【海苔】の効能ーしつこい疲れ憂うつな気分を解消!貧血大国日本を救う食べ物

2021/02/11

健康な女性でも4人に1人は貧血状態

「最近疲れやすいし、倦怠感がなかなか取れない」

「イライラしたり、憂うつな気分になったりする」

「なんとなく体調がすぐれない」

 このような不調に悩んでいる人は少なくないと思います。しかも、病院で診てもらうほどの不調ではないため、「歳のせい」「ストレスのせい」と考えてしまい、そうした不調のある状態が普通ととらえているかたも多いのではないでしょうか。

 女性によく見られる不定愁訴には、ストレスや睡眠不足などの不定愁訴要因も確かにありますが、この機会に知っていただきたいことがあります。それは「あなたの不調は貧血が原因かも」ということです。

 実は日本は、貧血大国です。50歳未満の健康な日本人女性1万 3000人以上を対象にした調査で、22・3%の人が貧血に相当し、そのうち25・2%は重度の貧血という結果が出ているほどなのです。

 最初にお話ししたような不調が、貧血の症状として現れているケースもかなりあると考えられます。

鉄不足の貧血で起こる代表的な症状

鉄の摂取を続けたら倦怠感が改善した

 貧血にはいくつかの種類がありますが、私たち日本人女性に最も多いのは、貧血の約3分の2を占めると言われる「鉄欠乏性貧血」です。

 これは文字どおり、体内の鉄が不足して起こる貧血です。

 では、鉄が不足すると、なぜ貧血になるのでしょうか。

 血液の中で約40%を占めるのが「赤血球」という成分です。赤血球には、肺から全身の細胞に酸素を運ぶ「ヘモグロビン」というたんぱく質が含まれています。

 鉄は、このヘモグロビンの原材料です。そのため、鉄が不足すると体じゅうの組織にじゅうぶんな酸素を運べなくなるので、細胞が酸欠状態になって、貧血症状が引き起こされるわけです。

 また、40代以降の女性では、次の4つの要因にも注意が必要です。

①子宮筋腫などによる月経過多

 出血する量が増えることで、より多くの鉄が必然的に失われます。

②鎮痛薬の常用による副作用

 鎮痛薬を長期服用すると、そうでない場合と比べ、消化管の潰瘍などでの出血リスクが3倍程度あると言われていて、やはり鉄が失われることになります。

③血液の抗凝固薬による影響

「血液をサラサラにする薬」と呼ばれるワルファリンなどを服用している場合です。なんらかの理由で消化管が傷つくと出血しやすく、貧血につながることがあります。

④趣味のスポーツの影響

 発汗によって鉄が体外に排出されるうえ、血液が筋肉へ優先的にいくメカニズムが働くため、消化管の細胞に元気がなくなり、微小な出血を起こす可能性があります。

 このような点に気を配りつつ、不足している鉄をうまく摂取しながら、貧血による不調を予防・改善していきましょう。

 ある研究では、鉄剤を12週間摂取した人たちの82%で、倦怠感が改善したという結果が出ています。

 また、私の患者さんでも、鉄を積極的に摂取するようにした人たちからは、不定愁訴のさまざまな症状が改善されたという報告がよく寄せられます。

手軽かつ効率的に鉄を摂取できる海苔

 鉄の摂取というと、レバーやひじきを思い浮かべる人は多いと思います。

 ただし、レバーを毎日の食事で継続的に取るのはかなり困難。ひじきも、昔ながらの鉄釜で調理しなくなった現在、鉄の含有量はそれほど多くないことがわかっています。

 そこで私がお勧めしたいのが、「海苔」です。あまり知られていませんが、海苔類には豊富に鉄が含まれていて、手軽かつ効率的に鉄を補給できます。

こまめな鉄補給には海苔がおすすめ

 私の知人の男性は、奥さんの妊娠をきっかけに、鉄を含む食材に興味を持ちました。妊娠中の奥さんが貧血に苦しんでいたからです。

 海苔に多くの鉄が含まれていることを知った男性が、あらゆる料理にアオノリをかけるようにしたところ、奥さんの貧血はみるみる改善したそうです。

 私自身も、「パンとおにぎりとで迷ったら、海苔のついているおにぎりを食べる」「冷蔵庫に海苔の佃煮を常備しておく」「お好み焼きやたこ焼きにはアオサを多めに振る」「ふりかけは海苔入りを選ぶ」「お味噌汁にもときどきアオノリを振る」など、こまめに鉄を取るようにしています。

 また、海苔のほかにも、鉄の含有量が多い食品が簡単にわかるポイントがあります。例えば、肉や魚を選ぶときには、白い肉よりも赤い肉のほうを選ぶこと。鶏よりも豚、豚よりも牛、タラよりもマグロやカツオといったぐあいです。

 加えて、果物や緑黄色野菜も取りたいところです。これらにも意外と鉄が含まれており、鉄の吸収を助けるビタミンCなども補えます。

 こうした鉄を含む食品を、毎日できる範囲で取り入れていけば、鉄不足の体も変わっていくでしょう。