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【片づけが苦手】なADHDの私が発見!人気殺到の整理師が教える方法で汚部屋もスッキリ!

小さな「できる」を積み上げる整理術

 私はADHD(注意欠如/多動性障害)の整理収納アドバイザーとして、片づけが苦手な人向けに自宅の片づけをサポートしたり、片づけセミナーを開いたりしています。

 ADHDとは、発達障害の1つで、不注意・衝動性・多動性の3つの特性があります。

 物事を計画的に実行することが難しかったり、注意を向ける対象が次々と移ってしまったりする特性があるため、注意力と集中力が必要な片づけは、ADHDタイプの人にとっては難しい作業です。

 私自身もADHDで、子どもの頃からミスや不注意、忘れ物が多く、片づけや掃除が苦手で、ずっと困っていました。

 大人になってからも片づけができず、自宅はモノが散乱して足の踏み場もない状態。子どもから「この家に住んでいること自体が恥ずかしい」と言われ、片づけられない自分を責める日々でした。

 そんなとき、『片づけられない女たち』(WAVE出版)という翻訳書を読み、初めてADHDのことを知りました。

「もしかして自分もADHDなのかも?」と思い、病院で検査を受けると、診断が下りました。

 片づけられない原因は、性格のせいではなく、脳のクセ(脳機能の発達の偏り)にあると知り、少し気がラクになりました。それが40歳のときです。

 その後、ADHDに特化した認知行動療法(考え方のクセや行動パターンのあり方を見直し、問題解決を図る療法)を受けることで、少しずつ片づけられるように変わっていったのです。

片付けが苦手だからこそサポートができる

 片づけられるようになったことで、私自身も大きく変わりました。

 モノが見つからずに遅刻をする、提出期限のある書類や公共料金の支払い用紙をなくしてトラブルになる、といった困りごとが激減。

 そして、何より心がとても元気になっていったのです。

 片づけられない自分が嫌でたまらず、生きる気力すら失われるほどでしたが、きれいな部屋が保てるようになったことで自己肯定感が得られ、自分に自信が持てるようになったのです。

 そして、私は自分の経験をもとに片づけが苦手な人のサポートをしたいと考えるようになりました。17年間務めた出版社を辞め、片づけやカウンセリングの資格を取得し、現在の仕事を始めたのです。

 クライアントさんの自宅の片づけをお手伝いすることは楽しくて大好きですが、自分の家の片づけや掃除は今も大嫌いです。

 でも、片づけ問題に苦しみ続けてきたからこそ、片づけが苦手な人の気持ちがよくわかり、片づけられない人でも無理なく片づけができ、片づいた状態を維持できる方法を提案できると思います。

おしゃれな部屋を目指す必要はない

 片づけられない人に私がいちばんお伝えしたいのは、自分を責めないことと、ハードルを下げることです。

 片づけの依頼を受けてご自宅に伺うと、ほとんどの人が「こんなに散らかった部屋で、ごめんなさい」と謝られます。片づけが苦手な人の多くは、片づけができないことに罪悪感を感じ、自尊心や自己評価が低くて、自分を責めることが当たり前になっています。

 片づけられない自分を責めてしまう背景には、「女性や主婦は片づけができて当然」という日本の女性に対する固定観念が呪縛になっている面もあると思います。

 しかし、誰にでも得意・不得意はあります。

 片づけが苦手なら苦手なりに、無理なくできる片づけや整理収納をやっていけばいいだけの話で、「努力が足りない」「私はダメだ」などと自分を責めないでください。

 SNSの影響も、片づけられない人たちを精神的に追い詰めていると感じます。

 ブログやインスタには、多くの「片づけ達人」の投稿がアップされています。おしゃれなグッズを活用したすてきな収納。モデルルームと見まがうほどのキラキラ美的インテリア。たくさんの「いいね!」と称賛のコメントに、片づけられない人たちの心はザワつき、落ち込みます。

 しかし、片づけが苦手な人にとっての理想的な部屋に「人に自慢できる」というスペックは不要です。

 目指すべきは「見栄えのいい部屋」ではなく、自分や家族にとって「不便のない」「イライラしない」「安全で快適に暮らせる」シェルターのような部屋ではないでしょうか。

 片づけが好きで得意で、きれいな部屋を自慢したい達人たちの部屋をお手本にする必要はないのです。

ストレスになるなら服は畳まなくてもいい!

 片づけが苦手な人が片づけを実践するには、まず理想を下げ、完璧を求めないことがたいせつです。

 例えば、洋服を畳んでしまうことがストレスなら、乾いた洗濯物をハンガーにかけたままクローゼットに移動したり、家族別に分けたカゴに放り込む方式にしてもいいのです。自分や家族にとって、片づけの手間が少なく、どこになにがあるかがひと目でわかり、取り出しやすく元に戻しやすい収納方法にすれば、掃除もラクになります。

 そして、いきなり家全体を片づけようとせず、テーブルの上や引き出しの中など小さな場所から手をつけることが成功のコツ。

 1日に5分でも片づけ時間を取れるようになると、部屋は少しずつ片づいていきます。

 次ページから、苦手な人も無理なくできる片づけのコツを紹介します。家が整うと気持ちがスッキリして、自分に自信がつき、自分や家族にも思いやりが持てます。

 探し物をする手間が減ったり、ムダな買い物をしなくなったりという、経済的なオトクもついてきます。自分を責めない片づけで、快適な住環境を手に入れてください。

超簡単片づけ術1 片づけたい場所のすべてのモノを床に広げ仲間分けする

最初に総量を確認して片づけスタート

 片づけの基本は、①減らす、②整理する(定位置を決める)、③維持するの3つ。モノを減らし、どこに何をしまうか定位置を決め、その状態を維持すれば部屋は片づきます。

 しかし、片づけたくてもどこから手をつけていいのかわからなくなったり、右から左へ物を動かすだけだったりして、結局片づけられないという人もいらっしゃるでしょう。

 そんなときは「仲間分け」をしましょう。床にモノを広げて、とにかく似たようなカテゴリーの「山」(服、本、文具など)にまとめてください。

 次に、それぞれの山の中身を「残すモノ」「処分するモノ」「保留」に分類し、その場ですぐに捨てられるモノは処分します。残すモノは、誰が、どこで、どんなときに使うかを考えながら、モノの定位置を決めていきます。

 疲れたら休憩を挟んでもOK。分類したモノをカゴや袋にまとめて、続きは後日行っても大丈夫です。

文房具であれば、ハサミ、ペン類など、ざっくりでいいので、仲間分けをして、何がどれくらいあるのか把握する

用途ごとにグループ化して収納

 家族全員が使うモノや、よく使うモノは取り出しやすい場所に、使用頻度の低いモノは高い場所やクローゼットの奥など部屋を圧迫しない場所にしまいます。「来客用のお茶セット」「身支度に使うアイテム」など、用途ごとにモノをグループ化し、いっしょに収納するのも便利。すぐに見つかり、すぐに使え、一度に片づけられるので、散らかりにくくなります。

 モノの定位置を決めたら、どこに何をしまうかがわかるよう、引き出しやボックスにラベルを貼っておきましょう。モノを使ったら必ず元の場所に戻すようにすれば、片づいた状態をキープできます。

ラベルを貼り、どこに何があるのか把握する。入れ物はデパートなどの紙袋を活用してもいい

超簡単片づけ術2 タイマーをかけて5分間だけ集中して小スペースを整理

5分だけ集中できるよう道具に頼る

「片づけなければ」と思いつつ、つい先延ばしにしてしまう。掃除や片づけに着手しても、ほかのことに気を取られ、集中力が続かない……。 そんな人にとって強い味方になってくれるのが、タイマーです。

 私もスマートフォンのタイマーアプリを愛用しています。

 決められた時間、集中して1つの作業ができるよう、タイマーを設定しましょう。

 タイマーは、音声でカウントダウンするタイマーがお勧めです。

 まずは、自分が耐えられそうな短い時間を設定しましょう。取りかかりやすいのは、5分間。

 5分あれば、小さなスペース1カ所を片づけられます。

 たとえば、ダイニングテーブルの上に散らかったモノを元の場所に戻す、床に落ちているモノを片づける、玄関の靴を並べ直すなど。

 この5分間の掃除ができるようになってきたら、10分、15分と時間を延ばしていきます。

片付けのしやすい環境作りも大切

 お子さんがなかなか行動してくれず、切り替えが苦手な場合にも、タイマーは有効です。

 スマホや携帯電話のタイマー機能のほか、キッチンタイマーや市販のタイマーなど、自分が使いやすいものを片づけのおともにするとよいでしょう。

 また、ほかのことに気を取られないよう、集中できる環境を作ることもたいせつです。

 気がそれやすい人は、テレビを消したり、スマホやパソコン、読みかけの本なども作業スペースから遠ざけましょう。

 耳から入る音で気がそれる場合は、耳栓をしたり、イヤホンで好きな音楽を聴いたりしながら作業をするとはかどります。

 集中力が続かない人は、大きな場所や一気に片づける、ということは苦手です。

 できないことがあると自信を失ってしまいますから、まず、できることから始めてみるのがたいせつなのです。

超簡単片づけ術3 使わなくても捨てられないモノは「保留箱」で保管する

捨てるか悩んだら保留してもいい

 不要なモノを処分することは、片づけの鉄則。使っていないモノは捨てたほうが片づけがはかどりますし、そのあとの整理や維持もラクになります。

 しかし、使っていなくても捨てる決心がつかないモノもたくさんあるはずです。片づけが苦手な人は、モノへの執着やこだわりを持っている人が多く、無理にモノを減らそうとするとフリーズしてしまったり、片づけの気力が失われてしまったりすることもあるので、私は「無理に捨てない片づけ」を実践しています。

「とりあげず保管箱」を作り、手に取ったとき、すぐに「要・不要」の判断ができないモノは、この中に入れていきます。

 この箱があることで、モノを処分する決断への躊躇や恐怖が和らぎ、作業スピードも上がります。

 ただし、中身はきちんと分類しておきましょう。

 箱の表には、中身がわかるようにラベリングし、入れた日付を大きく書いて、押し入れなどの奥に保管します。私はさらに、箱の存在を忘れないように、スマホのリマインダーにもメモしておきます。

捨てるかどうか悩むものでも、どれくらい使っていないのか、どれくらい着ていないのかきちんと表記することで、捨てる決心がつくことも

使用頻度で分けてモノをしまう

 もし1年以上、箱に入れたままだとしたら、この先も使う可能性はほぼないので、処分を検討しましょう。無理に捨てなくても、使用頻度が低いモノを奥へしまい、使用頻度が高いモノを取り出しやすい場所に配置することで、部屋が片づき、ストレスも軽減します。

 また、使わないけど思い出や思い入れがあり、どうしても捨てられない品や、「思い出ボックス」を作り、その中に納まる分だけを厳選して保管しましょう。

分類し、ラベリングして保管箱に入れてしまう

超簡単片づけ術4 「私、がんばっている」の自分褒めで脳をやる気にさせる

褒めて片づけ意欲を維持!

片づけが苦手な人にとっては、片づけに取りかかるのも、片づけを習慣化するのも、相当大変なこと。

 片づけを継続するのは難しいことですが、モチベーションを維持していくには、「自分を褒めること」が有効です。片づけ作業中から、自分をどんどん褒めてあげてください。

「私、がんばっているな」「苦手なことに取り組んでいてえらい!」「スッキリ片付いて気持ちがいい」など、自分を励まし勇気づけるような声がけを自分に行いましょう。

 そうすると「家族が手伝ってくれない」「どうせまた乱れる」といった、掃除や片づけ中に起こりやすいネガティブ発想に引っ張られることが少なくなります。

 そして片づけが終わったら、自分に「ご褒美」をあげましょう。

 お気に入りのおやつを食べる、DVDを見るなど、小さなことでかまいません。

 片づけを「気が乗らない日常動作」ではなく、「やったらいいことがある目的行動」に変えることで、脳をやる気にさせるのです。

SNSで誰かに褒めてもらうのはモチベーション維持に効果的

どうしても難しいときは専門業者の力を借りる

 ほかの人に褒めてもらうことも、やる気アップにつながります。

 あるクライアントさんは、モチベーションアップもためにSNSを利用しているます。「みんチャレ」アプリなどで「今から片づけます」と公開宣言したら、片づけ前後の画像をアップ。コメントや「いいね!」の数が励みとなって、片づけを習慣化できました。

 ただ、どんなにがんばっても一人で片づけ問題を解決するのが困難な場合があります。どうしてもモチベーションが下がってしまうときもあるでしょう。

 掃除や片づけが苦手な人は、がんばろうと思っても何度も何度も失敗し、闇の中をさまよってきたのではないでしょうか。

 しかし、モノを減らし、少しずつ片づけの習慣を身につけていけば、今より快適な暮らしを手に入れることができるはずです。

 片づけを継続するのは難しいことですが、片づけられた環境はとても快適であることを想像し、コツコツ継続していきましょう。

 どうしても無理だ、と思ったときは、専門の業者など他人の力を借りるのも、問題解決の第一歩として大きな効果があります。