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【老いない体づくり】強力な味方「卵」の食べ方を紹介!1日何個?おすすめの調理法は?

卵で不健康になる」は都市伝説!

別記事で説明した「老いない人になるための習慣」ですが、実はもう1点、意識して取り入れていただきたいことがあります。

それは、1日1個以上の卵を食べることです。
「卵はコレステロール値を上げる」「動脈硬化のリスクを高める」「1日1個までにとどめなければならない」という説が、数十年前に広まりました。

当院の患者さんたちにも、この情報を信じ込んでいる人は多く、1日1個以上の卵を食べることに、抵抗感を抱いているケースも珍しくありません。

しかし、「卵を食べると健康を害する」という話は、科学的な根拠のない、いわば都市伝説です。

こうした都市伝説で卵を敬遠するのは、実に残念なことです。卵は、健康維持のためには欠かせない貴重な食材の一つだからです。

体を整える栄養がいっぱい!

卵は、完全栄養食品と言われるように、栄養素を豊富に含んでいることが特徴です。

例えば、体を整えるために必要なビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB5、ビタミンB12、葉酸、リン、セレニウムなどがありますが、中でも注目すべきは、たんぱく質です。

たんぱく質を構成する「アミノ酸」は20種類あります。その中には、人間の体内で合成できないため、食事から取らなければならない9種類のアミノ酸があり、「必須アミノ酸」と呼ばれています。この必須アミノ酸が、卵にはバランスよく含まれています。

たんぱく質の不足は、「体の現実チェックテスト」で挙げた気力の低下、枝毛や白髪、皮膚の老化だけでなく、睡眠障害や貧血などを招く一因にもなります。

また、黄身に含まれている「コリン」は、脳内で情報伝達を行っているアセチルコリンの原料となるため、認知症の予防効果が期待されていますし、肝臓で行われる脂質の代謝に必要な成分でもあります。

コリンのおかげで、肝臓での脂質の蓄積が抑制されるので、脂肪肝などの予防にもつながるのです。

黄身だけではなく卵白にも、しっかりとありがたい成分が含まれています。
「リゾチーム」という抗菌作用のある酵素です。リゾチームは、感染症の予防に役立ってくれます。

さらに、日本ではニワトリの飼料にこだわった鶏卵業者も増えていて、骨の健康や脳・神経機能の維持、うつ病などの精神疾患の予防に役立つビタミンD、それから血液サラサラ効果のあるEPA・DHAなどを含む卵も出回っています。自分の望む健康効果に合わせて卵を選んでもよいかもしれません。

なお、先に述べたコレステロールについてですが、卵1個には200㎎程度が含まれています。

これは、1日摂取量の60%程度です。また、卵を食べたことで、血液中のコレステロール値が上昇したというデータは、現在発表されている研究には、一切ありません。

卵は栄養的に優れているだけでなく、比較的価格が安定していて、手に入れやすい食材の一つです。食習慣に取り入れないのは、もったいないことなのです。 

半熟卵がお勧めの食べ方!

卵の調理法ですが、ゆで卵、目玉焼き、スクランブルエッグなどとバラエティに富んでいます。

その中で、最も消化されやすく、栄養素が損なわれない調理法は、黄身がトロトロの半熟卵です。

私の場合は、耐熱容器に生卵を割り入れ、電子レンジで30~40秒加熱し、温泉卵にしてから食べます。

スクランブルエッグや卵焼きは確かにおいしいのですが、調理の際、黄身の成分が酸化しやすく、せっかくの栄養素が破壊される可能性があります。また、高温での調理は、栄養素を変性させてしまうので、お勧めしません。

食べるタイミングについては、いつでもかまいません。

卵を朝食に食べると、昼食の摂取カロリーが減少して、1日の摂取カロリーが少なくなるという研究結果もあるので、どうしてもダイエットが必要なかたは朝に食べるのもいいでしょう。

年齢を重ねると消化・吸収力が落ちて、食が細くなり、たんぱく質やビタミン・ミネラルの摂取量が不足する傾向にあります。

ですから、最低でも卵を1日1個食べて、必要な栄養素を効率よく取り入れて、老いない体づくりに役立ていただきたいと思います。 

卵の栄養素を理想的にとる!「温泉卵」の作り方

①耐熱容器に卵を割り入れる
②600Wの電子レンジで30~40秒加熱する
できあがり!

※温泉卵を作る際、卵の大きさや状態によって加熱時間の調整が必要です。加熱時間を調整しながら調理してください

この記事は『ゆほびか』2022年11月号に掲載されています。

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