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【くるぶしをサッとなでる】だけで足腰が軽くなる!若返る!(後編)~「骨ストレッチ」メソッドから生まれた奥義

前編から読む

大腰筋が固まっていると足が上がりにくくなる

 「くるぶしほぐし」は、体幹部にある深層筋の一つ、大腰筋を緩めることで、骨に任せて足が楽に上がり、滑らかに歩ける体づくりに役立つメソッドです。

 前項で、昔の人たちは体感で「骨」の重要性に気づいていたのかもしれませんとお話ししましたが、実際、昔の日本人の体の使い方には目を瞠るものがあります。

 例えば、歩くときは西洋人のようにひざ下を前へ振り出して歩くのではなく、でんでん太鼓のように上半身を左右に揺らして、足が自然に前に出る歩き方をしていました。そもそも着物を着て草履を履いた状態では、ひざ下を振り出して歩くのは非効率的でもあります。

 西洋人は、長年、イスを使う生活を続けていたため、お尻や太ももの裏側の筋肉が発達しています。さらに骨盤も日本人と比べて前傾しているため、脚の筋肉に頼った歩き方をしても負担が少ないのです。

 しかし、日本人が同じような歩き方を続けていては、足腰に痛みや故障が生じます。

 骨の動きに連動して、体に負担をかけずに楽に歩くためには、体幹部の深いところにある大腰筋が適度に緩んでいる必要があります。

 大腰筋は、背骨と骨盤をつなぐインナーマッスルです。そして、ほかの筋肉と同様に、使わないと柔軟性を失い、固まってしまいます。

 畳の上で生活していた頃の日本人は、立ち座りや布団の上げ下ろしなどの際に、大腰筋をこまめに使っていました。しかし、生活習慣が欧米化した今は、大腰筋を使う機会が減り、大腰筋は固まりがちです。歩くと足腰の痛みや疲れがつらいというかたは、大腰筋が固まって、骨に任せて歩けなくなっている可能性が高いです。

 くるぶしほぐしは、この固まった大腰筋を緩め、ほぐします。やり方は、骨ストレッチの基本の手のポーズで、足のくるぶしの下をやさしくさするだけです(詳しいやり方は下を参照)。 

 くるぶしの下のあたりと体幹部の大腰筋は連動しています。ごく優しい力でくるぶしの下をなでるだけで、おなかの奥にある深層筋が緩むのです。

 論より証拠。まずはやってみましょう。

くるぶしほぐしのやり方

 実践する前に、軽くその場でもも上げをしてみてください。何も意識せず、いつも通りでよいです。

 実践する前に、軽くもも上げをして、自分がどんな状態かを味わう

 次に、両手の親指を片方の足の内側と外側のくるぶしの真下あたりに置き、小指を足の裏側に添えます。そのままの手の形で、くるぶしの下を上から下方向に、10回ほどさすります(やり方は下の写真を参照)。

 ゴシゴシと強くさする必要はありません。心地よいと感じる程度に、やさしくさすってください。

 終わったら、またその場でもも上げをしてみましょう。どうでしょう? たったこれだけで、ひざが軽く上がるようになっていませんか?

 片足が終わったら、その場でもも上げをしてみる。効果を感じたら、反対の足でも同様にくるぶしほぐしを行う

歩行困難が解消、スタスタ歩けるように!

 では、くるぶしほぐしを実践した人の症例をご紹介しましょう。82歳の女性・Aさんは、若い頃に交通事故に遭い、左足の動きが鈍くなっていました。思うように歩けないため、年齢とともに外出がおっくうになったそうです。そんな状態を見かねた娘さんが、Aさんを私の講座へ連れてきました。

 Aさんは自宅でも、気が向いたときにくるぶしほぐしを行ったそうです。すると、次第に姿勢がよくなり、スタスタと歩けるようになったのだとか。気持ちも前向きになり、肌ツヤまでよくなって、友人たちに「若返った」と驚かれたそうです。

 Aさんは、3~4年たった現在もくるぶしほぐしを続けています。今では旅行を楽しめるまで、行動範囲が広がったそうです。

 くるぶしほぐしは、足が重いな、くるぶしほぐしをしたいなと感じたときに行うとよいでしょう。適当に行うことが、体にとっては「的確に当てる」ことになります。

 また、骨ストレッチの実践者にはAさんのように「若返った」と実感する人が少なくないのですが、次のような理由が考えられます。

 大腰筋などの体幹部のインナーマッスルがゆるむと、体は骨に連動して動くようになります。すると、インナーマッスルや骨への刺激が多くなると考えられます。

 インナーマッスルには、エネルギーを生み出す細胞小器官・ミトコンドリアが多く存在します。ミトコンドリアが活性化すると、若さや長寿のスイッチがONになると言われています。

 さらに、骨へ力が加わると、骨を作る骨芽細胞が活性化して骨ホルモン(オステオカルシン)の分泌が増えます。骨ホルモンは、記憶力や免疫力、精力などを向上させる若返り物質としても知られています。

足腰が軽くなって若返るくるぶしほぐし、ぜひお試しください。


私はアスリートに指導するときも、一般人に指導をするときも、必ず「心地よさを感じますか? それとも違和感を感じますか?」と聞きます。

ぜひ、くるぶしほぐしを実践しながら、体がどんなふうに感じているか、問いかけてみてください。

 「風の時代」は、あなた自身の身体感覚が人生の羅針盤です。故・ブルース・リーの名言を借りれば、「Don’t think Feel! (考えるな。感じろ!)」です。

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