12㎏やせた人や脂肪肝がなくなった人も
毎日みそ汁を飲む、よく噛んで食べるなどといった手軽な方法で、体は変わります。
私はこれらのことを取り入れた、「21日間の体質改善プログラム」を考案して、モニター調査を行っています。その結果、40代男性は運動せずに、1カ月で12㎏やせられました。また、中性脂肪値が半減した、エコーで調べたら脂肪肝がなくなっていたという報告も受けています。
これほどの効果が得られた理由として、みそ汁による抗酸化作用と腸内環境の改善が挙げられます。
最近の研究で、私たちの健康の根幹が腸にあるとわかってきました。
例えば、病原体などから体を守る「免疫」では、腸が重要な働きをしています。また、神経系などで脳と腸は互いに影響し合っていることから、「腸は第二の脳」と呼ばれています。
こうした腸の働きの中で私が最も重視しているのは、「消化力」です。
たんぱく質から分解されたアミノ酸やビタミン、ミネラルなど、私たちの体に必要な栄養素の消化吸収は、腸で行われます。消化力が衰えると、どんなにすばらしい食事を取っても体の栄養にはならず、エネルギーとしても使われません。
さらに、消化力が衰えた状態では免疫機能も低下し、脳にも悪影響が及ぶのです。
私は内科医として、糖尿病など生活習慣病の患者さんを診察するとともに、食生活の問題点を見つけて食事指導も行ってきました。
そしてわかったのは、今の日本では多くの人が食に重きを置いていないこと。時間に追われ、仕事をしながら食事をしたり、早食いになったりします。そのために、消化力が低下しているのです。
知らずに栄養不足に陥っている可能性がある
また、食事内容の80%が精製された炭水化物という人も珍しくありません。すると、アミノ酸やビタミン、ミネラルなどの栄養が不足します。その悪影響は一気に訪れるのではなく、「なんだか疲れやすい」などのようにジワジワと現れるので、栄養不足が見落とされるのです。
知らないうちに食事が偏っていないかどうか、次の3点をチェックしてみましょう。
□チェック1
食事をしてから1~2時間後に、強い空腹感やめまい、しびれ、頭痛が起こりませんか。
□チェック2
じんましんや肌荒れ、鼻炎に頻繁に悩まされていませんか。
□チェック3
気持ちのよい排便がありますか。下痢や便秘になっていませんか。
チェック1に心当たりがある人は、精製された炭水化物を取り過ぎで血糖値が激しく上下している、糖尿病予備群といえます。
チェック2・3については、腸に炎症などが起こり、消化力が低下している可能性があります。
今は症状がなくても、以上にあてはまるような「未病」の人にも、私はみそ汁をお勧めしてきました。みそ汁の材料であるみそが、アミノ酸やビタミン、ミネラルを含む完全栄養食だからです。
食事の最初に飲めば血糖値も上がりにくい
みその原料は、大豆などの豆類、麹、塩です。私が留学していたニューヨークでは、玄米麹やアズキ、ヒヨコマメを使ったみそがスーパーで売られていたので、とても新鮮でした。みそのすばらしさは世界に知られているのです。
大豆を発酵させて作るみそには、腸内環境を改善する乳酸菌が含まれています。そして、体内では作られない「必須アミノ酸」がバランスよく含まれるうえ、低糖質。ですから、理想的なたんぱく源なのです。
さらに、新陳代謝を促進させるビタミンB群や、抗酸化物質のメラノイジンも含まれています。
メラノイジンとは、みそが発酵・熟成するときにアミノ酸や糖類が反応してできた褐色の色素成分です。
このメラノイジンに、体内で増え過ぎると細胞を傷つけ、老化の一因となるなど、毒性の強い「活性酸素」を取り除く「抗酸化作用」があるのです。
みそ汁のメリットは、だしにみそを溶き入れるだけでできること。料理が苦手な人や時間のない人でも簡単に作れます。
そして、食事の最初にみそ汁を飲むことで満腹感が得られるだけでなく、血糖値の急上昇も抑えられます。こうした効果は、みそ汁の具をよく噛んで食べることでさらにアップします。
上に、みそ汁の健康効果をさらに高めるための10カ条がありますので、参考にしてください。
私は「みそドクター」として、全国のみそ蔵を周ったり、みそを使った料理教室を開いたり、さまざまな活動をしています。みそは全国各地で味も色も違う郷土食。そしてみそ汁は、私たち日本人のソウルフードです。
健康のためだけでなく、食の楽しみとして、ぜひみそ汁を毎日の生活に取り入れてほしいと思います。
●デトックスみそ汁の作り方はこちら