ゆほびか ゆほびか
  • 文字サイズの変更
  • 大
  • 中
  • 小
  • SNS
  • twitter
  • facebook
  • instagram

【水琴の音色の効果】医師もクリニックで愛用!自律神経の活力を高めて体を楽にする

2022/11/15

うつや不眠の原因は〝自然不足〟

私たちの体には、環境や時間の変化に応じて体内の活動を適切に保つしくみが備わっています。その調整を担うのが自律神経で、活動時に優位になる交感神経と、休息時に優位になる副交感神経とが、バランスをとりながら働きます。

この自律神経のバランスが崩れたり、自律神経全体の活力が低下したりすると、いわゆる自律神経失調症やうつ、不眠といった症状が現れます。実は、こうした現代病の背景には、自然環境の欠如があると言われているのです。

日本人は長い間、豊かな自然の中で暮らしてきました。自然の中には予測できないことがたくさんあります。そのため、目で確認し(視覚)、じかに触れ(触覚)、匂いをかぎ(嗅覚)、音を聞き(聴覚)、ときに口に入れ(味覚)と、五感をフル稼働させて全方位に注意を向けることで、自然に対応する神経機能や身体能力を養ってきました。

ところが、現代人はテレビやパソコン、スマホなどからの刺激が増え、電子機器のモーター音に囲まれて暮らしています。

このような人工物からは、人間が作り出した単調なパターンの刺激しか入ってきません。脳への高度な刺激が減り、自律神経のバランスも崩れやすくなっているのです。

私は2014年にクリニックを開業する際、この空間に“自然の癒し”を取り入れたいと考えました。そこで思い当たったのが「水琴」です。

水のしずくが自然のままに奏でる水琴の音には、高周波が多く含まれ、自然独特のゆらぎやリズムも体感できます。患者さんの“自然不足”解消に役立つことを期待し、待合室に導入しました。

私自身も1日の診療が終わり、手足のだるさを感じたときなどに水琴のそばの長イスで横になると、だるさが消え、体が楽になる効果を実感しています。

パニック障害が顕著に改善!

私のクリニックでは、「体だけではなく、その人丸ごとを診る」ことをモットーにしています。うつ病や不眠症、原因のはっきりしない体調不良などを診ることも多いので、そうした患者さんに水琴のCDをお勧めすることもあります。

ある60代の女性Kさんは、パニック障害の患者さんです。「熱い物を口に入れようとする」などのほんの些細なきっかけでも、緊張するとパニック発作が起こってしまうことがありました。

Kさんに、ご自宅で水琴のCDを聴いてもらったところ、パニック発作が起こる頻度が減り、「PDSS―SR」というパニック障害の診断テストの結果も、CDを聴く前は14点(重症に近い中等症)だったのが、1週間聴いてもらった後は6点(軽症)に下がりました。

かなり顕著な改善で、Kさんに関しては、水琴の音がどんな薬よりも効果があったと言ってもよいのではないでしょうか。

ほかの患者さんでも「長年の不眠症が改善した」「うつによる気分の落ち込み、イライラが減った」「慢性的な疲労感が軽減された」などの効果が見られています。

思考でいっぱいの頭が空っぽになる

自律神経失調症とは、「交感神経と副交感神経のバランスが崩れた状態」を指すことが多いですが、バランスの崩れとともに「自律神経全体の活力(TP=トータルパワー)」も低下しているかたが多いです。

自律神経の中枢である脳の「視床下部」は、本能的な働きをつかさどっている部位です。視床下部は、生理的な快・不快の感情をつかさどる「大脳辺縁系」の影響を受け、さらに大脳辺縁系は理性的な判断をする「大脳新皮質」による影響を受けています。

大脳新皮質によって、私たちは高度な知的活動を行えるのですが、理性で考えすぎて喜怒哀楽のような感情を抑え込んでばかりいると、視床下部が混乱し、自律神経をうまくコントロールできなくなります。

また、怒りや恐れ、不安などを伴うネガティブ思考で頭がいっぱいの状態が続くと、視床下部も自律神経も疲れ切り、自律神経全体の活力が下がってしまいます。現代人には、このパターンの人がたいへん多いと考えられます。

水琴のCDを聴くと、この自律神経全体の活力(TP)が1・5〜9倍ほども上がる人が見られました。

多くのかたが、水琴の響きに浸っていると、思考でいっぱいだった頭がいったん空っぽになるような感覚を体験されています。これは「昼寝で疲れがとれて、頭がスッキリと冴えた状態」に似ています。

思考のしすぎや感情の抑圧によって混乱していた視床下部が解放され、本来の自律神経を調整する能力が戻るのではないかと私は考えています。

まさに自然環境の中にあるような高度な情報の刺激がもたらされて、本来の生命力が回復するのです。

この記事は『ゆほびか10月号に掲載されています

関連記事