オーロラの龍 カナダ(イエローナイフ)2018年3月
東西から昇っていったオーロラが、天頂で交わって大きく揺れ動き、少しの間、龍のような形になった。自然はときに、予想もできないものを見せてくれる。
マイナス30°Cを下回るカナダのある極寒の真夜中、自分の真上の天空でオーロラが刻一刻と姿を変え、気づけば龍の姿になっていました。
自然のいたずらにあっけに取られながら、シャッターを押し続けたことを覚えています。オーロラが龍に見えるなんて、誰だって絶句する体験でしょう。自然の見せる不思議に感動しながら、ぼくは寒さをまったく忘れていました。
【ナイトレインボー】ハワイ(マウイ島)2000年7月
雨に満月の光が当たって、ナイトレインボーが現れた。ハワイでは古来、「夜の虹は最高の祝福」と言われているという。その後、ナイトレインボーには何度か出合っているが、いつ見ても神聖な気持ちになる。
【夜明けのイーグル】カナダ(バンクーバー)2016年2月
満月の夜明け前、撮影に出かけると、ハクトウワシが木に止まっているのを見かけた。うっすらと白み始めた東の空にほんのりと照らされ、満月をバックにその凛々しい姿を見せた。先住民たちにあがめられているのがわかる気がした。
【真夜中のフクロウ】 北海道(標津町)2015年1月
フクロウの目は、暗い中でも遠くを見通す眼力を持っているようにも見える。撮影していて、こちらの心の中も見通されているような気がした。「森の神さま」と、あがめられるのもわかるようだった。
【ハワイ島の火山】ハワイ(ハワイ島)2016年8月
これまで何度も噴火を続けてきたハワイ島の火山。見るたび、地球が生きていることを実感する。これまでいくつもの家々を飲み込んできたが、地元の人たちは、火山の神「ペレ」の御心ならばしょうがない、と口を揃える。
【ウユニ塩湖】ボリビア(ウユニ塩湖)2016年3月
「天空の鏡」と呼ばれるウユニ塩湖。風も雲もない夜には、湖面に満天の星々がそのまま映り込む。足もとから遠くまで、どっちを見ても星ばかりで、宇宙に投げ出されたような感覚になった。
出合いには必ず意味がある!ハワイで見た「夜の虹」が私の運命を変えた!
そもそもの始まりは、「夜の虹」(ナイトレインボー)なのかもしれません。虹がよく出るハワイでは、昔からまれではあるけれど、夜に虹が出る。
古来、ハワイアンたちは、「夜の虹は最高の祝福」であり、「見た人にとって、大きな変化の前触れ」であると言い伝えてきたといいます。
あるとき、ぼくはハワイに通うようになり、偶然、夜の虹に出合った。その一つが、上から2番目の写真です。
ナイトレインボーがその後の人生を変えた
ナイトレインボーに出合ったその辺りから、ぼくの周りには次から次へと絶妙なタイミングで、さまざまな興味深い人が登場し、虹にまつわる不思議なことや、おもしろいことが起こるようになりました。
これが、夜の虹に出合ったからなのか、たまたまそんなタイミングでぼくの人生が変化し始めたのかはわかりません。でも、いろいろな経験を経るうちに、この世の中は、どうやら自分が考えている以上に、はるかにダイナミックなものであることに気づかされました。
そもそも、ぼくが写真家としてここまで続けてこられたのも、「もっとおもしろいことがあるよ。次に、これを撮ってみれば?」と、目に見えない誰かによって誘われてきた気もします。
ここに掲載された写真は、そんな不思議な縁が生み出した代表例と言えるでしょう。これらの風景と出合い、ぼくの人生は確実に変化しました。
しかし、それは見たから、というよりは、そのときの自分に必要な出合いだったから、という気もします。自然だけでなく、「生活の中でのさまざまな出合いには意味がある」と言います。
その意味をいつも考えながら進んでいくことで、人は変化し、成長するのかもしれません。自然との出合いは、ぼくに多くのことを教えてくれました。
これらの写真から、そんな出合いの意味や自然からの愛情などを感じていただけたなら、自然写真家としてこれ以上うれしいことはありません。
奇跡のような絶妙なバランスの上に成り立っているこの地球の上で、食べ物を与えられ、美しい自然をでることができ、毎日いろいろな出合いが用意されている。
その事実こそが、実は、いつも誰にも奇跡が起き、また祝福されているということではないかと思います。そんなことを、ぼくの写真から少しでも感じていただければ幸いです。