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うつ、不眠、統合失調症、ADHDに著効!医師推奨の脳の栄養【ナイアシン】

薬で治らなかった精神疾患の完治が続出

 私は、ここ数年の臨床結果より、うつなど精神疾患の大半は、「栄養不足」に原因があるとみて間違いないと思っています。

 栄養面から精神疾患に働きかける医師は、ほとんどいません。両者の関係を正しく理解している医師が、少ないからです。

 かつて、私の治療は投薬中心でした。しかし、薬で症状を改善できても、完治に至ることは、ほとんどなく、葛藤を抱えていました。

 2011年、私の治療を大きく変える出合いがありました。それが「糖質制限」や「栄養療法」「分子栄養学」の考え方でした。

 これらを勉強し、実践する中で、病気を治すには、適切な栄養素を取り、細胞の働きをよくすることが必要と確信しました。精神疾患の治療でも、糖質制限、たんぱく質・鉄・ビタミン不足の改善が、どれだけ重要か、よくわかりました。

 まず私が始めたのは、患者さんの「フェリチン値」を測ることでした。フェリチンは鉄を貯えるタンパク質で、「体にどれだけ鉄の在庫があるか」を示します。鉄は、心の安定はもちろん、生命維持に欠かせないミネラルです。

 予想通り、精神疾患に悩む患者さんのフェリチン値は、とても低いものでした。そこで、フェリチン値の低い患者さんに「高たんぱく・低糖質食+鉄剤」の摂取を指導したところ、症状が劇的に改善していったのです。

 手応えを得た私は、「高タンパク・低糖質+鉄剤」を基本に、ビタミンやミネラルの処方を開始。以来、うつ、パニック障害、統合失調症、摂食障害などの完治が続いています。

抗不安薬や睡眠薬を手放せた

 精神疾患の改善には、たんぱく不足と鉄不足の解消が必須ですが、重要なビタミンの摂取も欠かせません。中でも、精神疾患に大きく関わるビタミンがあります。それが「ナイアシン(ビタミンB3)」です。

 次に挙げるのは、当院の臨床で、ナイアシンの効果が確認された精神疾患です。

うつ/統合失調症/双極性障害/睡眠障害/強迫性障害/ADHD/学習障害/行動障害

 「仕事に復帰できた」「抗不安薬や睡眠薬を手放せた」というかたもいます。多動症の6歳の男の子は、集中して授業が聞けるようになり、テストの点数が大幅に上がったと、お母さんが喜んでいました。

 上の図をご覧ください。アミノ酸の一種であるLトリプトファンから、セロトニンやメラトニンが作られます。セロトニン不足はうつ、メラトニン不足は睡眠障害を招くと考えられています。

 ナイアシンも、Lトリプトファンから作られます。ナイアシンが不足すると、Lトリプトファンはナイアシン生成を優先するため、セロトニンやメラトニンが不足します。こうして、うつや睡眠障害が起こるというわけです。

 ナイアシンがじゅうぶんにあれば、セロトニンやメラトニンの不足は起きません。では、なぜナイアシンが不足するのでしょうか。その原因が、「糖質の過剰摂取」です。

 私たちは、糖質(ブドウ糖)と脂肪(脂肪酸)から、エネルギーを得ていますが、糖質からエネルギーを得るには、ナイアシンが欠かせません。

 糖質を過剰摂取すると、エネルギーを作る過程で、ナイアシンも大量に使われます。そのため、糖質過剰はナイアシン不足を招くのです。

 さらに、ナイアシンが不足すると、糖質からのエネルギー生産率が大幅に下がり、疲れやくなったり、頭が働かなくなったりします。手っ取り早くエネルギーを得るために、さらに糖質がほしくなるという悪循環に陥ります。

 また、エネルギーの生産率が下がると、ガンの原因にもなる「乳酸」も発生しやすくなります。

確実な効果を得るにはサプリで摂取する

 ナイアシンは、サプリメント(以下、サプリ)による摂取が確実です。理由は2つあります。

①食材での摂取は非現実的

 ナイアシンを多く含む食材に「まいたけ」があります。まいたけ100g中、ナイアシンは約64㎎含まれます。精神疾患の改善には、1日1000㎎のナイアシンを摂取すべきですが、これをまいたけに換算すると、約1.5kg分にあたります。とても現実的ではありません。

 また、現代の農作物は、品種改良や農薬などにより、ビタミン含有量が大幅に減っています。オーガニックな農作物を除けば、じゅうぶんなビタミンの摂取は期待できません。

②ビタミンの必要量は人により違う

 同量のビタミンを摂取しても、それを吸収利用できる量は、人によって異なります。高容量のビタミンを摂取すれば、遺伝的に利用効率が悪い人でも、確実にビタミンを利用できます。ナイアシンは水溶性のビタミンで、3時間ほどで体外に排出されるため、過剰摂取の心配もありません。

 また、何年もビタミン欠乏が続いていた人は、通常より、より多くのビタミンを必要とする傾向があります(ビタミン欠乏症)。

 サプリに抵抗がある人は、サプリを医薬品と思っているのではないでしょうか。

 しかし、ビタミンやミネラルのサプリは、薬ではありません。医薬品は、本来自然界に存在しない化学物質ですが、ビタミンは体にとって不可欠なものです。ビタミンやミネラルの、サプリによる摂取が進んでいる米国では、過去数十年で、ビタミン摂取による死亡例は一度もありません。

フラッシュが起こるが重篤な副作用はひとつもない

 ナイアシンのサプリは、米国メーカー製を「iHerb」や「Ama zon」など通販サイトで購入することをお勧めします。サプリが浸透している米国では、企業同士の競争があるため価格が安く、含有量も多く、国による検査もしっかり行われています。

 一方、国内のサプリは、それに比べて高く、含有量も少なく、国による品質の保証もありません。

 クリニックでは「now社」「Sou rce Naturals社」「Sola ray社」といった米国メーカー制のサプリを購入し、患者さんに処方しています。メーカーによって品質差はほとんどなく、価格や飲みやすさで判断すればよいでしょう。

 ナイアシンをサプリで摂取する場合の手引きを、上に記しました。初めてナイアシンを摂取すると、肌が紅潮したりピリピリと痒くなったりする「フラッシュ」に驚かれることでしょう。

 フラッシュは、ナイアシンの作用で末梢血管が拡張し、細胞内のヒスタミンが放出されることで起こります。重篤な副作用はひとつもないので安心してしてください。

 手引きには、フラッシュが心配なかたへの導入法も紹介しました。くれぐれも、こちらを読み、納得した上で、摂取を始めてください。

 最後に、ナイアシンによる精神疾患の改善効果を高めるなら、次の3つは欠かせません。

①低糖質

ナイアシンなどビタミンの消耗につながる糖質を少なめにする

②高タンパク

酵素や神経伝達物質の原料となるタンパク質を増やす。1日の摂取目標は、卵2~3個に、肉や魚を200g。少しずつ増やしていく

③鉄分

 多くの代謝に関わり生命を支える。ナイアシンと同様、サプリによる摂取を推奨。「フェロケル」というタイプの鉄サプリを選ぶ(下)