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べストセラー精神科医が指南!60歳・70歳から人生が楽しくなる7つの習慣その③「テレビにつきあわない」

珍事の報道や底の浅い情報は観る価値なし

高齢者の交通事故もコロナの死者数も多くない

NHK放送文化研究所の調べによると、高齢者は平日でも1日5時間半もテレビを見て過ごしているそうです。「テレビを見続けるとバカになる」というのが私の持論。高齢者にとって、家に引きこもり、テレビを1日中見続けるという生活は、思考力の低下を促し、脳の劣化を早め、確実に心身の老化を加速させます。

ニュースやワイドショーは1日中同じニュースを何度も繰り返しますが、世の中であたりまえに起きていることはニュースになりません。世間の耳目を惹く、珍しいことだけが取り上げられるのです。

テレビを見ていると、高齢ドライバーばかりが交通事故を起こし、コロナでどんどん人が死んでいるように思えますが、事実は違います。高齢者よりも若者の交通事故のほうが多いし、コロナの死者数よりも肺炎やインフルエンザで亡くなる人のほうが、実は多かったのです。

世間感覚も、かえっておかしくなってしまいます。テレビの情報ワイド番組は人々の不安をあおるような報道をするので、ずっと見ていると精神的にもよくありません。

しかも、テレビは受け身のメディアで、視聴者は、テレビから垂れ流される情報を受け取るだけ。「これは本当なのか」「別の見方や考え方があるのではないか」などと、自分の頭で考えることをしなくなります。脳の活性化には、全くと言っていいほど役に立たないのです。

上質な笑いは寄席や演芸場にあり

テレビは、娯楽として、楽しい時間を提供してくれるわけでもありません。視聴率至上主義に毒されたテレビ番組の、質の低下はひどいものです。どのチャンネルを回しても、同じような番組で、芸とも言えない楽屋オチの話ばかりのお笑い番組や、どうでもいい底の浅い情報ばかりを垂れ流すバラエティ番組やワイドショーが大半です。こうした番組は、はっきり言って、何の役にも立たず、観る価値もありません。

ごく一部に優れたドラマやドキュメンタリー番組はあるものの、テレビは総じて芸のレベルが低く、心の底から感動できる上質なエンターテインメントは期待できません。

思い切り笑いたければ、寄席や演芸場に行くことをお勧めします。落語家や漫才師がプロの名人芸を披露してくれて、客席は子どもからお年寄りまでみんな大笑いしています。人生経験を積んだ高齢者は、ちょっとやそっとのことでは笑えません。若者にも受け、目の肥えた高齢者をも笑わせるのが、本物のお笑い芸というものです。

舞台やコンサート、映画館などに足を運ぶのもいいでしょう。演技や演奏を目の前でライブで楽しんだり、時間と制作費をかけてしっかり作り込まれた映画を鑑賞することは、上質なエンターテインメント体験をもたらしてくれます。心と脳を活性化させるには、テレビにつきあわず、本物を体験することです。

この記事は『ゆほびか』2022年11月号に掲載されています。

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