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【琉球かれん とは】不安やイライラが聴くだけで消える!脳科学者も沖縄担当大臣も絶賛する弦楽器の音色

2022/10/24

子どもや高齢者でもすぐ弾けるようになる

私が創作した新しい弦楽器「琉球かれん」が『ゆほびか』2020年5月号で紹介されて以降、沖縄を中心に全国的に琉球かれんの輪が広がってきています。

当時は沖縄がメインでしたが、現在では、東京、愛知などに琉球かれんの教室ができました。オンラインによる琉球かれんの指導も受けられるようになりました。琉球かれんは誰でも簡単に演奏できるので、オンラインでも教えられるのです。

沖縄のさまざまなイベントに、琉球かれんを弾く子どもたちが呼ばれることも多くなりました。最近では、ミュージシャンのD-51さんが、沖縄の子どもたちと一緒に作った沖縄ソング『島人の歌』のCD収録に参加しました。

演奏をした子どもたちは、琉球かれんも楽器も初めてでしたが、1回目のワークショップで弾き方を習ってから各自自宅で練習して、2週間で驚くほど上達しました。そして、本番のレコーディングでは、その場にいた人たちが皆驚くほど完璧に弾いたのです。

これは子どもに限ったことではありません。琉球かれんは、誰もが簡単に弾けるように考案してあるので、高齢者や体に障害のある人でも、さほど時間がかからずに美しい音色が出せるようになります。

その理由は、4組の和音弦と1本の旋律弦を弾くだけで曲が演奏できるからです。

琉球かれんは、形はギターに似ていますが、抱えて弾くのではなく、テーブルなどの上に置き、指につけたフィンガーピック(爪)で、弦を弾いて奏でます。ですから、体が小さな子どもや、障害のある人でも弾くことができるのです。

米須先生が考案した「琉球かれん」。①〜④とシールが貼られた和音弦を弾くだけですてきな音が奏でられる
特許第4592561号

弾き方も、「ラ・ド・ミ」「ド・ソ・ミ」「ファ・ラ・ド」「ソ・シ・レ」の和音がすでに和音弦となっているので、片手でこれらを弾くだけで美しい和音が奏でられます。

各和音弦には、①〜④の番号のシールが貼ってあります。琉球かれん用の楽譜も同様のシール名で表記されています。普通の楽譜がまったく読めなくても、この数字の通りに和音弦を奏でるだけで、初心者でも簡単に曲が伴奏できるのです。

同様に、旋律(メロディ)を奏でる旋律弦にもド、レ、ミといった音名のシールが貼られています。少し練習して旋律弦も一緒に弾けるようになると、琉球かれんだけで曲が演奏できます。

琉球かれんの楽譜「メヌエット」。音符ではなく番号「①①②①」の順に弾くだけなので誰でも読めて弾ける

「広める意義がある」と政府も認めた

そもそも琉球かれんは、音楽療育のために考えられた楽器です。

私は40年近く、音楽療法士として、子どもから高齢者、心身に障害を抱える人まで、多くの人に音楽療育を行ってきました。その経験から学んだのが、誰にでも、音楽を通して何かを表現したい気持ちがあるということでした。そして、それが実現したときには、心身に計り知れない回復効果をもたらすのです。

しかし、残念ながら、幼児や高齢者、障害を抱える人などが簡単に演奏できるような楽器は、これまでありませんでした。どんな楽器も、本人が満足するレベルに達するにはかなりの時間と労力が必要なのです。

そこで私は、誰もが分け隔てなく弾ける新しい楽器を作ろうと考えました。そして約10年間にも及ぶ試行錯誤の末に、琉球かれんが完成したのです。
「琉球かれん」という名前は、蓮華(ハス)からきています。「蓮華」の文字を前後に入れ替えて「華蓮」とし、「可憐」とかけています。優しい音色のイメージを表すため、「かれん」とひらがな表記にしました。

昨年3月には、琉球かれんを小中学校の音楽学習に生かせるように、国会でも提案されました。

文化庁の担当者は、「琉球かれんのような、和音を簡単に表現できる楽器はほかにない」と好評価を示し、担当部内でも演奏を試し、「楽器の演奏が多くない人でも、十分楽しむことができた」と語ったということです。

また、当時の沖縄担当大臣も、「おおぜいの人が親しめる楽器で、広めていくのは意義がある」と支援策を検討する考えを示してくださいました。

さらに、昨年9月に脳科学者の茂木健一郎先生をお招きして開催した講演「音楽が脳を育てる」では、実際に琉球かれんの演奏を聴き、またご自分でも演奏を体験した茂木先生から「本人が演奏することで、ただ聴くことよりもずっと脳や体を刺激できる」と評価されました(下記のコラム参照)。

好きな音楽を増やし、楽器を弾くことで脳はさらに活性化する
 
脳にとって「音楽を聴く」ことは、もしかしたら「三度の飯」よりうれしいことかもしれません。
特に、「どんな曲でもいいから、その人が好きな曲を聴く」ことが脳を活性化させることが大学の研究でわかっています。音楽は食わず嫌いをせず、「好きな曲」を増やせば増やすほど、脳を活性化できる機会もどんどん増えるわけです。
 また、「自分で楽器を弾く」というのは「道具的学習」と脳科学では言いますが、「手先を動かす」ことは脳の回路の中ではすごく大きな領域で担われているのがわかっていています。「琉球かれん」を聴くことももちろんですが、さらに自分で弾くことによって、脳は何倍も活性化され、音楽療法や認知症の予防にも大いに役立つと言えるでしょう。
脳科学者 茂木健一郎
(脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京大学大学院物理学専攻課程修了。理学博士。専門は脳科学、認知科学。)
※2021年9月23日「音楽が脳を育てる」茂木健一郎さん講演より
協力/(株)みらい応援・わくわくラボ

収録曲にはピアノと波の音もプラス

現在も、琉球かれんをより多くの人たちに知ってもらい、またその音色を聴いて、体験してもらうために、さまざまな試みを続けています。その一つが、CDの制作です。新たにCDを制作して付録としました(CD付録は『ゆほびか』2022年9月号巻頭に挟み込み)。


収録曲は全5曲。今回新たに「Shida-kaji」「Slumber」の2曲と、前回好評だった「誓い」「ありがとう」「キラ星」の3曲を収録しています。今回の5曲はすべて、琉球かれんの音色とピアノのシンプルアレンジをして一から制作しました。

さらに、すべての曲に波の音が入っています。コロナ禍で旅行に行けないかたもたくさんいらっしゃると思います。沖縄の海辺で、琉球かれんの音色を聴いているイメージで癒されていただければ幸いです。

今回の曲も、人の脈拍に近い1分間60拍のテンポに設定しています。これがさらに心を落ち着かせ、リラックス状態に導いてくれます。

また、日本的な情緒を感じる「ヨナ抜き音階」や、癒しの空気感が漂う「琉球音階」も取り入れています。一般的な西洋音階は「ドレミファソラシド」の7音階に対して、ヨナ抜き音階は「ドレミソラド」、琉球音階は「ドミファソシド」の5音階です。この音階の違いが、心に癒しを与えてくれます。

「自分も弾けた!」がさらなる感動を生む

琉球かれんは、片手でも演奏できる楽器です。脳梗塞などで、半身不随になったかたでも弾くことができますし、指を使うことがリハビリにもなります。

また、弾いているときに耳から入ってくる音色に癒やされて、心身が元気になっていきます。そして、何よりも弾けたときには「自分でもできた!」と大きな感動が生まれるのです。
「おんがく」とは、「音学」ではありません。「音楽」です。音を楽しんでこそ、音楽になる。琉球かれんはそこを目指しています。

音楽療法には、「聴く」という受動的療法と、「奏でる」という能動的療法があります。この2つを同時に行うと、脳への刺激は何倍にもなると、茂木健一郎先生はおっしゃっていました。私も、琉球かれんを弾く多くの人たちの姿を見て、同じように思っています。

今回の付録のCDを聴いて、心が癒されたというかたは、次はぜひ琉球かれんを実際に弾いてみてください。さらなる癒しと安らぎを感じられることでしょう。

イラスト/米田絵理(asterisk-agency)、miko/PIXTA(CD袋)

この記事は『ゆほびか』9月号に掲載されています。