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【桜井識子】さんが伏見稲荷の神様に伺ったお稲荷さんのお話~前編~

2021/05/04

※こちらの記事は『京都でひっそりスピリチュアル』(宝島社)より抜粋の上、一部編集を施したものです。

清々しい波動を放つ神様

 伏見稲荷の神様はお名前が「稲荷」ですが、かなりの進化をされていて、とても神格が高い、ということが特徴です。山岳系神様(※注1)に近い清々しい光りを放つ波動であり、狐姿の眷属から相当な修行を積まれてここまで進化をされています。それは100年や200年程度の修行ではなく、古代から長い長い年月がかかっているようです。

 格上の神様になっていますので、性質はほんわかと優しくて穏やか、キツイ部分は一切ありません。

 伏見のお稲荷さんは(神様とお呼びするのが正しいのですが、普段から伏見のお稲荷さん、と呼ばせてもらっているのでこの呼び方で統一したいと思います)、全国の稲荷社の親分であり、年に一度日本のすべてのお稲荷さんがここに集まって会議をします。その関係で国内のどんな小さなお社のお稲荷さんもご存知です。

 もしもどこかのお稲荷さんに失礼を働いて叱られた、謝っても許してもらえない、なんとなく障りがあるように感じるという場合は、伏見稲荷に行って〝稲荷山に登り〟おとりなしをお願いするといいです。快く引き受けてくれます。

 私の初めての著書(※注2)で軽くご紹介しましたが、参拝したのはもうずいぶん前になります。その頃に比べ私のわかる能力も上がっているので、より深いお話が聞けるかもしれないと思い、再び訪れてみました。

神域へと切り替わる変化を感じて

 久しぶりに参拝して驚いたのは、8割が外国人なのでは? というくらい中国の人が多かったことです。着いたのは朝の8時をまわった頃でした。まだそんなに参拝客はいなくて、本殿でゆっくり手を合わせてご挨拶ができました。それから稲荷山へと向かいます。

イメージ画像

 千本鳥居の右側を通り、四ツ辻を目指しました。途中、右手にトイレがあって、そのトイレの次の鳥居の集団をくぐり抜けたら、左側が川になっています。そこから先が稲荷山の神域です。空気が神聖なものへと変化していますので、わかりやすいと思います。

 四ツ辻に到着して、そこにある手書きっぽい地図を見ていたら、そばのベンチで休憩していたおじさんが「よっこらしょ」と立ち上がりました。年齢は75歳、というところでしょうか。80歳まではいっていませんが、70歳以下ではないと思います。

 このおじさんが右回りとなる細い道を登って行くので、私も後ろからついて行くことにしました。しかし、このおじさんは平均的な75歳のおじさんではありませんでした。私との距離が縮まるどころか徐々に開いていくのです。

 おじさんが立ち止まって少し息を整えているので、じゃあ私も、と立ち止まって休みます。「ふぅ〜」と顔を上げたら、おじさんはすでに歩き始めていて、いや〜、待って〜、おじさ〜ん、と慌てて私も歩きます。おじさん休む、私も休む、おじさん歩く、私も歩くというふうにあとを追っていくと、おじさんはいくつかの場所で、声に出して祝詞を奏上していました。信仰心のあつい方なのだな、と思いました。

 おじさんにはたくさんの眷属がついて守っているようで、多くのご加護をいただいているみたいでした。あの年齢で面倒くさがらずに稲荷山に登り、せっせとあちこちで祝詞も奏上しているという、神様に対する心が純粋な方です、面倒見がいいお稲荷さんが大事にしないはずがありません。

 高齢になっても元気で、足腰も弱っていなくて、山にも登れるのです。しかも私より軽やかに登っていました。神様のご加護はすごいと改めて思いました。

心地よい山頂・一ノ峯で神様にご挨拶

 さて、その山頂ですが、新しく手書きの案内が出ていました。「山頂 再確認は不要」です。

一ノ峯の看板

 確認する人が多いんだろうな〜、と思っていたら、60代の女性3人組がワイワイと登ってきました。そしてそこにあった「一ノ峯」の案内を見て、「山頂 再確認は不要」の表示も見て、お社の向かいのお店の人に、「ここが山頂ですか〜?」と思いっきり確認していました。

 ひ〜え〜! わざわざ再確認不要と書いてあるということは、聞いてくれるな! という意味なのでは? と小心者の私はそこで静かにしていました。

 お店の人は声をかけられたのでわざわざ出て来られ、ここが山頂である、こっちの地図は分かりにくいからこちらの地図を見るように、こっちの地図は正確だからね、今ここ! 山頂! と最後は苛立ちを隠せなかったのか、語気が荒くなっていました。何か大事な用事をしていて中断されたのかもしれません。

 女性3人はシュンとなって「すみません」と謝っていました。と、そこに今度は若いお姉ちゃんが2人やって来て、「奥の院、ここですかぁ〜?」とあっけらかんと聞きました。

「違う」

「えーっ!」

「奥の院は下、ここは山頂!」

「は?」と、訳がわからない、という顔をしていたお姉ちゃんたちは、どうやら山頂が奥の院だと思っていたようです。

「ここはね、神さんやから!」という言葉を残して、お店の人は中に入っていきました。 

 うわぁ、ここのお店の人大変やな、と思いました。1日に20回も30回も聞かれるのでしょう。それが、昨日も今日も明日も明後日も……なのです。聞くほうは1回きりですが、お店の人はそれで仕事が中断するわけですから、困るのだと思います。

 皆様、「一ノ峯」の案内板があるところが山頂です。派手な造りではありませんし、コンクリートでできているエリアなので、ホンマに山頂なん? と、確認したくなると思いますが、そこが間違いなく山頂であり、神様にご挨拶をする場所です。

一ノ峯 末広大神

 そのやり取りの間、私の前を登っていたおじさんはお稲荷さんにお供え物をして、祝詞をあげていました。私もそのあとで参拝をしました。

10月には全国のお稲荷さんが伏見稲荷に大集合!

 神様には、まず全国のお稲荷さんが伏見稲荷に集まる質問からしました。

「それは10月(※注3)なのですか?」とお聞きしたところ、10月の末は伏見のお稲荷さんご自身が忙しいので、月の半ばに会議をしていると言っていました。14、15日あたりから、19、20日くらいまでのようです。

 本当にすべてのお稲荷さんが全国から来るそうです。私が過去にご紹介したところでは、奈良の源九郎お稲荷(※注4)さんも、群馬の於菊稲荷(※注5)のお稲荷さんも(於菊さんは元が人間なので来られません)将門さん(※注6)の終焉の地である北山稲荷大明神(※注7)のお稲荷さんも来るそうです。

信仰する人が減るとお稲荷さんの力は落ちてしまう

 北山稲荷大明神の参道は草ボーボーで、鳥居の手前は深い藪になっており、近づくことができませんでした。もう誰も参拝していないと思われる神社です。

 このようなお稲荷さんが来たら、力が落ちたなぁ(※注8)という話はするそうですが、いくら伏見のお稲荷さんが助けてあげたくても、どうしようもできないらしいです。

 例えば、もしもこれが出張している伏見稲荷の眷属だったら、稲荷山に戻って1年間修行をすれば、力はマックスにまで回復します。神社を離れて仕事をしている眷属はこうして力を時々回復させに戻ります。なぜなら眷属は、所属する神社を離れていると徐々に力が落ちていくからです。

 このような充電も伏見稲荷の〝眷属〟だからできるのであって、北山稲荷のお稲荷さんの場合はご祭神として祀られているために、それができないそうです。ご祭神は自分の神社を留守にしてはいけないという、何かそういうルールがあるのだと思います。

 ですから、参拝客が来なくなれば力は落ちていくしかない、というわけです。北山稲荷の眷属にしても、親分を捨てて伏見稲荷の眷属に鞍替えするわけにはいかず、落ちていく一方です。それはもう仕方がないことのようでした。

(後編に続きます)

※注1…山の中腹やふもとに社殿がある、もしくは山頂に奥宮がある神社の神様。古くから信仰されていて、高い神格と強い力を備えている

※注2…『新装版 ひっそりとスピリチュアルしています』(ハート出版)

※注3…神無月。全国の神々が、年に一度出雲大社へ出かけて会議をする。お稲荷さんは伏見稲荷大社へ出かける

※注4…『神社仏閣パワースポットで神さまとコンタクトしてきました ひっそりとスピリチュアルしていますPart2』(ハート出版)に掲載。所在地は奈良県大和郡山市洞泉寺町15

※注5…『神さまと繋がる神社仏閣めぐり 神仏がくれるさりげないサイン』(ハート出版)に掲載。所在地は群馬県高崎市新町247

※注6…平将門。平安時代中期の関東の豪族。現在は、神田明神で神として人々の願いを叶えている

※注7…注4に同じ

※注8…神格が高くないお稲荷さんは、人間の「お稲荷さんを信仰する念」をエネルギーにしているため、参拝する人間が減ると力が落ちてしまう