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【開運のキホン】【お稲荷さんとは?】豊かさと幸せをもたらす「三大稲荷神社」のご神徳

2021/04/03

五穀豊穣をもたらす庶民にとって最も身近な神

 稲荷神社は、全国におよそ3万 2000社あるとされる、私たち日本人にとって最も身近な神社の一つといわれます。このほか規模の小さな祠や企業や一般家庭に祀られているものまで含めると、4万社に上るともいわれています。

 稲荷は、大きく二つの種類に分けられます。

 一つは、宇迦之御魂神をご祭神とする神道系の稲荷、もう一つは、仏教の神である荼枳尼天を祀る仏教系の稲荷です。前者の代表が、京都の伏見稲荷大社であり、後者の代表は愛知県の豊川稲荷です。

 豊川稲荷は、曹洞宗の寺院であり、正式には円福山豊川閣妙厳寺といいます。お寺ではありますが、境内の参道には鳥居があります。

 多くの稲荷神社でご祭神として祀られている宇迦之御魂神は、五穀をつかさどる神様です。八百万の神の中でも代表的な食物の神です。

 宇迦之御魂神は『古事記』での表記であり、『日本書紀』では、倉稲魂命と表記されます。

 また、稲荷という言葉は、稲生りから派生したものという考え方があります。

 稲荷神は、奈良時代の和銅年間に、稲荷山三ヶ峰(現在の伏見稲荷大社)に、鎮座したとされ、これが稲荷信仰の始まりと考えられています。

 当時多くの庶民は農耕によって生計を立てていたと考えられます。人々にとっての切実な現世利益は農作物をはじめとした食べ物であり、五穀豊穣をもたらす稲荷信仰は、人々に広く浸透していったと推測することができます。

 その後、時代の変化とともに、稲荷信仰は形を変えていきます。仏教と習合したり、民間信仰を巻き込んだりしながら、その時代に合った「お稲荷さん」として信仰を集め、今日に至っていると考えられます。

現在の稲荷神社は金運アップ祈願が主流に

 現在のお稲荷さんが強く期待されている現世利益は、商売繁盛・金運隆盛ではないでしょうか。各地の稲荷神社には、お金に関する願いを叶えたいと、たくさんの人がお参りに訪れています。なかでも、稲荷神社の総本社である伏見稲荷大社は、初詣の参拝者だけでも280万人余りに上ります。

 この記事では、伏見稲荷大社をはじめ、三大稲荷神社(*)に数えられている佐賀県の祐徳稲荷神社、茨城県の笠間稲荷神社の三社をご紹介します。

*三大稲荷神社については、これ以外にも諸説があります。

 日本でも有数の稲荷神社に思いを馳せて、ご神徳をいただき金運アップのご利益を実現しましょう。

伏見稲荷大社


〇社格
 式内社(名神大社)、二十二社(上七社)、旧官幣大社
〇創建
 和銅年間(708年-715年)
〇ご祭神
 稲荷大神(宇迦之御魂神)
〇ご神徳
 商売繁盛・家内安全・五穀豊穣・
 万病平癒・学業成就 ほか
〇鎮座地
 住所 京都市伏見区深草藪之内町68

広大な敷地を誇る全国稲荷神社の総本社

 全国4万社余りの稲荷神社の総本社に当たるのが、京都の伏見稲荷大社です。

 伏見稲荷大社は、京都市の南、東山三十六峰の36番目の峰である稲荷山を背後に鎮座しています。その全景は広大で、入り口の熊野社から奥社まで参拝すると、ゆうに2時間はかかるといわれるほどです。

 熊野社から参道を進み、大鳥居をくぐると、朱色の柱と青空とのコントラストがすばらしい楼門が見えてきます。

 楼門の前には、左右に神様の眷属である狛狐の像が鎮座しています。狐は稲荷大神のお使いで、人々の願いを神様に伝えてくれると信じられてきました。

 楼門の前に立つ狛狐は、向かって左の狐は「鍵」、右の狐は「玉(宝珠)」を咥えていらっしゃいます。

 鍵は、稲荷大神のご神徳を身につけようとする願望の象徴、玉は稲荷大神が持つ霊徳の象徴という説があります。

「お塚」と呼ばれる無数の鳥居や祠、石碑群

 本殿の左手に鎮座している狛狐は、黄金の稲穂を咥えています。稲荷神が農耕の神として信仰されることから、五穀豊穣の象徴と考えられます。

 本殿の奥には、有名な千本鳥居が続いています。その先には「お塚」と呼ばれる無数の鳥居や祠、石碑群が現れます。お塚とは、稲荷大神を信仰する人が、ご神徳にちなんだ神名を稲荷山で祀るために奉納したものです。

このお塚を拝して巡礼するのが「お山巡り」です。薬力社、眼力社などは稲荷山でも著名な、大規模なお塚です。伏見稲荷大社を訪れたら、お塚巡りをして祈願することをお勧めします。

祐徳稲荷神社


〇社格
 旧県社・別表神社
〇創建
 貞亨4年(1687年)
〇ご祭神
 倉稲魂大神・大宮売大神・猿田彦大神
〇ご神徳
 商売繁盛・家運繁栄・大漁満足・交通安全・
 五穀豊穣・病気平癒・厄除け開運 ほか
〇鎮座地
 住所 佐賀県鹿島市古枝乙1855

 九州を代表する霊験と称されるのが祐徳稲荷神社です。京都の清水寺に似た舞台を持つ本殿が有名です。

 後陽成天皇の孫で左大臣花山院定好の娘の萬子媛が、1662年、京都から鹿島藩主の鍋島直朝に輿入れしました。その後、朝廷の勅願所であった稲荷大神の御分霊を勧請したことが祐徳稲荷神社の始まりとされます。

 広い境内には、清々しい日本庭園があり、朱色の鳥居が連なる参道も見どころの一つです。
 商売繁盛をはじめとするご神徳をいただくため、年間300万人以上の参拝者が訪れます。

笠間稲荷神社


〇社格
 旧村社・別表神社
創建
 白雉2年(651年)
〇ご祭神
 宇迦之御魂神
〇ご神徳
 家内安全・商売繁盛・五穀豊穣・
 酒造繁栄・養蚕繁栄・火難除け ほか
〇鎮座地
 住所 茨城県笠間市笠間1番地

 毎年10月から11月にかけて神社を中心に行われる笠間の菊まつりで知られているのが笠間稲荷神社です。

 創建は古く、社伝によると、孝徳天皇の御代である651年とされています。

 別名を胡桃下稲荷といいます。これは、この辺りにくるみの木が生い茂り、その中に神社が祀られていたことによるものです。

 この由来から、参道周辺ではくるみ入りのいなり寿司が名物となり、斎藤一人さんも好物だと著書に記しています。

 商売繁盛のほか、さまざまなご神徳で広く信仰を集めています。