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【髪・頭皮の若返り】発毛力がアップする「塩シャンプー」のやり方

高校生時代からあだ名は「ハゲ課長」

私の父は、私が物心つく頃には、すでに髪が薄くなっていました。そんな父の頭を見て育った私は、子どもの頃から「父親のような頭にだけはなりたくない」と強く思いながら過ごしていました。

しかし、現実は残酷です。私の高校生時代のあだ名は「ハゲ課長」。10代にして、すでに髪の毛が薄かったのです。しかも、そのあだ名をつけた友人が「お前、シャレにならない」と気の毒がるほど、年を追うごとにどんどん私の髪は薄くなっていきました。

そこから、私の長い闘いは始まりました。はげたくない一心で、髪にいいと言われるありとあらゆる食べ物を食べました。シャンプーや育毛剤、ヘアケア法などもすべて試しました。高額の医薬品を使ったり、薬草を頭に塗ったりもしました。

しかし、いずれも思ったような効果はなく、額はますます広くなり、頭頂部も薄くなる一方だったのです。そんな髪へのこだわりが高じて、気づけばヘアスタイリストになっていたほどでした。

40代を目前にして「薄毛はもうしかたないのか……」と諦め始めた頃、突然、私は原因不明の体調不良に襲われました。倦怠感、不眠、むくみ、肥満などの症状が一気にやってきたのです。病院で検査を受けましたが、理由はわかりませんでした。

そして、体調不良と同時に、抜け毛はますます増えていきました。残っている髪も、どんどん弱々しくなっていったのです。

そんな私を見て、ある友人がこう言いました。「体調不良には、塩を溶かした風呂『塩風呂』がいいよ」

バスソルトの存在は、私も耳にしたことがあります。でも、ほんとうにそんな単純なことが体にいいのだろうか……と半信半疑ながらも、わらにもすがる気持ちで塩風呂を始めてみました。

すると、その効果はてきめんでした。常に重だるかった体はみるみる軽くなり、肌ツヤもよくなり、よく眠れるようになって、体調は劇的に回復していったのです。

そして2カ月経った頃、体にある変化が現れていることに気がつきました。全身の体毛が明らかに濃くなったのです。腕や足だけでなく、塩風呂に入る前はまったく生えていなかった指にまで、チョンチョンと黒い毛が出ていました。

このことを友人に話すと、「それなら、髪の毛にもいいんじゃない」と言うのです。

確かに、頭も体も同じ皮膚ですから、体毛が生えたのなら髪の毛が生えたっておかしくありません。私は思い切って市販のシャンプーの回数を減らして、代わりに塩で髪を洗う「塩シャンプー」を始めてみました。これが運命的とも言える、私と塩シャンプーとの出会いでした。

1カ月で明らかに髪の毛が増えた!

塩シャンプーの効果は、かなり早くから現れました。塩シャンプーを始めて3日目、手のひらで髪の毛をつぶすように軽く押さえると、以前はまったくなかった抵抗感があったのです。ボリュームが増えたというのは少し大げさですが、髪にじっくり触ってみると、以前より明らかにこしがあり、根元の立ち方が強くなっているように思いました。

ただ、この時点では、これが塩シャンプーの効果なのか、単に体調が回復したから髪の質がよくなったのか、どちらとも言えませんでした。そこで私は、普通のシャンプーをやめ、塩シャンプーのみに切り替えました。

すると、髪はさらに元気になっていったのです。塩シャンプーを始める前は、髪の根元が少し浮いたようになっていて、いかにも抜けそうでした。それが頭皮と髪が硬く結びつき、頭皮からしっかり生えている髪になりました。額には、細かい産毛まで生えてきたようです。「これは塩シャンプーの効果だ」。私は確信しました。

1カ月後には、家族や友人たちから「えっ、髪の毛増えたよね?」と言われるほど、私の頭は変わりました。そして1年も経つ前に、薄かった私の頭頂部は完全に髪で覆われ、透けていた地肌も見えなくなりました。

ずっと薄毛で悩んでいた私のことを知っている友人たちは、口を揃えて「よかったなぁ」と喜んでくれました。なかには、あまりの変貌ぶりに「ついにカツラにしたの?」と聞く人もいました。自毛だと答えると、皆、とても驚いていました。

最初のうちは、塩シャンプーにも困った点がありました。市販のシャンプーに比べ、「スッキリ洗った!」という快感が減り、フケやかゆみが出ることです。

しかし、実はこれは塩シャンプーが理由ではありません。市販のシャンプーは、合成の界面活性剤が使用されているため、そもそも洗浄力が強すぎるのです。そのため、市販のシャンプーを使い続けると、頭皮の皮脂膜が破壊され、頭皮が乾燥し、皮脂が過剰に分泌されるようになります。

これがやがて、薄毛、白髪、髪のこしやボリュームがなくなるなど、髪のトラブルにつながっていきます。

フケやかゆみが出るのは、塩シャンプーのせいではなく、合成シャンプーを使っていたときの名残で、皮脂が過剰に出続けているのが原因なのです。

そこで私は、塩シャンプーの前に、皮脂を優しく落とすイメージで丁寧にブラッシングを行いました。「薄毛なのにブラッシングして平気なの?」と思うかもしれませんが、ブラッシングで抜ける髪は、抜けるべき髪なのだと私は思っています。やせ細った毛が抜けても、太くしっかりした毛が、抜けた毛よりも多く生えてくるから問題ないのです。

また、洗髪中のマッサージも、いっそう丁寧に行いました。塩でマッサージすると、毛穴がしっかり洗浄され、血行もよくなるような感じがしました。何より塩マッサージは気持ちがいいので、塩シャンプーをする楽しみでもありました。

ブラッシングとマッサージを続けるうちに、数日から数週間でフケは減り、かゆみも治まりました。

塩シャンプーの基本的なやり方

▪用意するもの

海塩 大さじ1杯程度

▪塩シャンプーを行う前に…

髪をよくブラッシングし、落とせる汚れは落としておく

①髪と頭皮をぬるま湯でよくすすぎ、汚れを落とす

②塩を頭頂部に置く。濡れた髪の水分で塩を溶かしながら、頭全体に塩水を広げていく

③塩水を頭皮に優しくすりこむ感覚で、指の腹で頭皮をマッサージする。頭皮全体をまんべんなくもみ、気持ちいいと感じるところは念入りにもむ

④マッサージを終えたら、5分ほど放置する

⑤多めのお湯でよくすすぐ

※パサつき、ゴワつき、フケが気になる人は、いきなり塩シャンプーに完全移行せず、3日おき、1週間おきなど、少しずつ移行してもよい

塩の洗浄力が髪と頭皮にはベスト

塩シャンプーで育毛できると確信した私は「薄毛に悩む人の役に立つかもしれない」と、さらに塩の研究を始めました。

塩は、西洋医学的なエビデンスは少ないものの、日本では昔から身近な健康アイテムとして使われてきました。現代でも「タラソテラピー」が、海塩を用いた治療法として知られています。

タラソテラピーは、対症療法的に薬に頼るのではなく、海塩という自然なもので体調を管理する治療法です。つまり、塩には落ち込んだ体調を底上げする力があるのです。

さらに、塩には洗浄力があります。その洗浄力は合成洗剤のシャンプーほどではありませんが、実はこれこそが、髪にとってはいいのです。

合成洗剤シャンプーは、角質と皮脂を根こそぎ洗い落としますが、塩はそれらを適度に残します。残った角質はフケの原因となりますが、これはシャンプー前にブラッシングすることで解決できるのは、前述の通りです。

今では美容院でお客様から薄毛の相談をされるたび、自信を持って塩シャンプーを勧めています。実践されたお客様からは、「明らかに髪が増えた」「髪のボリューム感が増した」「透けていた頭皮が見えなくなった」など、多くの声をいただいています。

なお、塩シャンプーに使う塩は、できるだけ天然に近い海塩をお勧めします。食卓用の精製塩や岩塩はあまり適しません。海塩に含まれる豊富なミネラルが、髪や頭皮にプラス効果を与えるようです。皆さんもぜひ、海の持つ力を実感してください。

この記事は『ゆほびか』2022年8月号に掲載されています。