市販のシャンプーは不要な化学物質の塊
20年ほど前に化粧品を使うのをやめて以降、私はずっと〝すっぴん〟で過ごしています。ファンデーションやアイブロウなどのメイクアップ化粧品はもちろんのこと、化粧水やクリームなどの基礎化粧品も一切使っていません。
さらに12年前からは、シャンプーやヘアトリートメントもやめて、髪を湯で洗い流すだけの「湯シャン」を始めました。
理由は、化粧品もシャンプーも、人体には不要な化学物質の塊だからです。どれだけ自然を謳うものでも、必ず肌や髪、頭皮の健康に悪影響を及ぼす物質が入っています。
化粧品は比較的やめやすいと思います。化粧品を使用しなくなると、すぐに化粧品で傷んでいた肌が回復するため、効果が実感できます。
ただ、私もシャンプーをやめるのはたいへんでした。とりわけ最初の半年間は苦戦しました。どうしても頭皮や髪がベタつく感じがあるのです。これは、それまで使用していたシャンプーの合成界面活性剤で洗い流されていた皮脂や汚れがたまるのが原因です。流しきれない頭皮の角質がたまり、フケが出ることもありました。
当初はなかなか我慢できず、2〜3週間に1回の頻度でシャンプーを使用していました。しかし、4カ月も経つ頃にはかなり落ち着いてきて、ベタつきもフケもあまり気にならなくなりました。
その後は、シャンプーで洗髪する間隔をさらに空けて頻度を減らし、最終的には湯シャンだけで満足できる髪になりました。ここまで来るのに、私でも5年かかりました。
「5年も⁉」と思われるかもしれませんが、頭髪の場合、毛が生まれ変わるサイクル「毛周期」は5年といわれています。ですから、私の場合、5年で頭髪全体の髪質が変わったと考えられるわけです。
私の患者さんに湯シャン歴8年というかたがいますが、そのかたも湯シャンのほんとうのよさがわかるのに5年かかったと話されていました。個人差はあると思いますが、長くシャンプーに慣らされた髪が本来の質を取り戻すためには、そのくらいかかるのかもしれません。
塩は髪や頭皮の健康を損なわずに洗える
それでも、シャンプーはほんとうにやめてよかったと感じています。やめる以前も髪のトラブルは抱えていなかったのですが、やめてからはかなり髪質が変わりました。
「これまでは何だったの?」と思うほど髪に張りが出て、年齢の割りには白髪が少ないと思います。何より、以前より髪が太くなったのには驚きました。あまりに太いので、感動してとってあるほどです(笑)。

この1年は、湯シャンに加え、頭皮の血行をよくする食べ物をとったところ、わずかにあった白髪も黒くなってきました。発見した4本の白髪すべてが、根元から5㎝ほど黒くなっていたのです。今の私の髪は黒々として太く、髪全体のボリュームも若い頃のままです。
湯シャンに抵抗がある、なかなか継続できないというかたにお勧めなのが「塩シャンプー」です。
塩シャンプーは、湯シャンよりも頭皮がさっぱりして爽快感があります。これは、塩に汚れを吸着する作用があるからです。
汚れを取るといっても、合成界面活性剤のように、肌の皮脂、皮脂膜、角質層にあるセラミドなどの保湿成分まで全部落とすわけではありません。塩は、髪の汚れや無駄な脂質、たんぱく質だけを取り除きます。
ですので、合成シャンプーをやめて塩シャンプーにすると、湯シャンと同様、最初は皮脂のベタつきを感じると思います。これは続けていくうちに解消してくるでしょう。
また、合成シャンプーに慣れている人は、髪に何もつけずに湯だけで洗い流すことに大きな抵抗があると思います。塩を髪につけるという行為が、その抵抗感をやわらげてくれるのではないでしょうか。
精製されていない天然に近い塩は、ナトリウム以外にもさまざまなミネラルをたくさん含んでいます。私は、「天然塩はミネラルである」と認識しています。
ミネラルは、私たちの体に必要な成分です。タラソテラピーという自然療法もあるように、ミネラルが皮膚の健康を取り戻すのに役立つことは明らかです。塩シャンプーで「髪が生えた」「髪のボリュームが増した」という声があるのは、それによって本来の発毛力が発揮されているからではないでしょうか。
塩シャンプーにしても湯シャンにしても、長年合成シャンプーを使ってきた人は、スッパリやめるのは難しいと思います。その場合は、少しずつ頻度を減らしていくのがお勧めです。髪や頭皮が健康を取り戻せば、塩シャンプーでじゅうぶんになるはずです。髪もやっぱり“すっぴん”がいちばん理想なのです。

◆塩シャンプーのやり方の記事はコチラ