
食後血糖値の上昇を緩やかにしてくれる
これまでの研究で、酢には健康と美容にうれしい効果がたくさんあることがわかっています。主な効果を以下に紹介しましょう。
●唾液の分泌を促し、食欲を増進
酢の酸味と香りが脳に働きかけ、唾液を出して食欲をよみがえらせてくれます。胃液の分泌も促し、食物の消化・吸収をサポートします。
唾液にはリゾチームや免疫グロブリンなど多くの抗菌・抗ウイルス物質が含まれており、細菌やウイルスが体内に侵入するのを阻む最初の防壁。唾液の分泌がよくなると、免疫力も高まります。
●疲労回復
体を動かすエネルギー源は、肝臓や筋肉に蓄えられている糖の一種であるグリコーゲンです。
体を動かして疲れたとき、甘いものが欲しくなりますが、糖と一緒に酢を取ると、グリコーゲンの再補給がアップし、速やかに疲労が回復します。
●高血圧を改善
酢の主成分・酢酸には、血圧の上昇に関わる「レニン・アンジオテンシン系」という、ホルモンを調節する働きを穏やかに抑制する作用があります。
これは、高血圧の人にのみ働き、正常な血圧の人が酢を毎日とっても、血圧を下げる心配はありません。また、体内で酢酸が代謝される過程で生成されるアデノシンという物質には、血管を拡張させ、血圧を降下させる作用があります。
●食後血糖値を抑える
食後に急激な血糖値の上昇が繰り返されると、糖尿病につながる恐れがありますが、酢には、糖の吸収を緩やかにし、食後血糖値の上昇を抑える働きがあります。
これは、酢の酢酸の働きによって、胃の消化物が腸に届くスピードが緩やかになり、その結果、糖分がゆっくり吸収されるからだと考えられています。
●がん予防
培養実験や動物実験の段階ですが、がん予防も期待されています。
培養実験では、ヒトのがん細胞(大腸がん、乳がん、肺がん、膀胱がん、前立腺がん)に黒酢エキスを加えると、がん細胞の増殖が抑制されることが判明。
ラットを使った動物実験では、大腸がんの発症が抑えられました。
●老化予防
酢には、病気や老化の元凶といわれる活性酸素を消去する「抗酸化作用」があり、老化を遅らせて病気を予防する力もあります。
1日大さじ1杯の酢で内臓脂肪や中性脂肪が減る
ダイエットと酢の関係については、ミツカンが注目すべき研究成果を発表しています。
肥満ぎみの成人男女に毎日、大さじ1杯(15㎖)の酢を含むドリンクを朝晩2回に分けて12週間飲んでもらったところ、体重が平均1.17㎏減少。
ウエストは平均で1.43㎝減、内臓脂肪は平均でマイナス4.9%、BMI(肥満指数)も0.43㎏/㎥減少し、酢を継続的に摂取すると内臓脂肪が優位に低下することが、臨床試験で初めて実証されたのです。
同時に、酢には、血中の中性脂肪を有意に下げる作用があることも確認されました。これは、酢酸の働きで体内における脂肪の合成が抑制され、脂肪の燃焼が促されるためと考えられます。
こうした研究から見ても、食事の始めにもずく酢を摂取する「もずく酢ファースト」は、とても効果的なダイエット法だと思います。
一方、もずくには、ぬめり成分である「フコイダン」という食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維は満腹中枢を刺激するので、食事の最初にもずく酢を食べると、満腹感が増して食べ過ぎが防止できると同時に、おなかが減りにくいので、これもダイエットには最適です。

もずくは、100gあたりのカロリーが4~6㎉しかないので、ダイエットには効果的な食材です。脂質や炭水化物も少なく、食物繊維には整腸作用があるので、便秘の解消も期待できます。
もずくを食べるときは、酢と一緒にとることで、前述した酢の健康作用やダイエット効果がプラスされ、効果が倍増するでしょう。
酢の健康効果を得るには、1日大さじ1杯(15㎖)の酢を毎日とり続けることが大切です。小さじ1杯(5㎖)の酢が入ったもずく酢を朝昼晩の食事の最初に食べれば、この量はクリアできます。
酢には、穀物酢、米酢、黒酢、リンゴ酢、ブドウ酢、バルサミコ酢、モルトビネガーなど多くの種類がありますが、健康効果をもたらす酢酸は、どの酢にも、もれなく含まれています。
うまみ成分のアミノ酸は酢の種類によって含有量が大きく違いますが、酢酸の含有量はほとんど変わりません。ですから、自分の好みや料理に合わせて好きな酢を選べばOKです。
栄養バランスのよい食事を適量、規則正しくとるのがダイエットの鉄則であることは言うまでもありませんが、そのうえで、食事にもずく酢を添えると、より効果的にダイエットができるでしょう。
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