お清めとお祈りは子孫の繁栄を願うご先祖様のパワーとつながる究極の開運法
今、日本の社会には「何か不安」「何か足りない」と感じているかたが多いようです。これだけ豊かで平和に暮らせる社会に生きていて、なぜそう感じるのでしょうか?
それは私たちが自らの「ルーツ」と分断されているからです。拠って立つところ、大事にすべきものが、何かわからない……。そんな根無し草のような状態だからです。
昔はどこの家にも、数代前までの先祖の写真が並んでいました。今はそんな家はほとんどありません。先祖のことを気にかける人がいなくなってしまいました。
ライフスタイルが変わって核家族が当たり前になり、多くの人が先祖代々の土地を離れて暮らすようになりました。そうした物理的な隔たりのみならず、家族や親族間の精神的な隔たりも大きくなり、「絆」を感じにくくなっています。
実はそこには、戦後の米国による占領政策によって日本人に刷り込まれた思想も関わっています。
日本の歴史を否定し、戦争への罪悪感を植え付けるプログラムがあった事実が近年、明らかにされました。
戦後の焼け野原から日本人は必死に働いて復興し、物質的な豊かさを手にしましたが、その一方で強制的に過去とのつながりを断ち切られ、大事なものを失ってしまったのです。
ご先祖様への祈りは究極の開運法になる
現代の日本人は信仰心が薄くなり、多くの人にとって「神様」は身近に感じられない存在になってしまいました。初詣やお墓まいりくらいしか、神様やご先祖様にお祈りする機会もないかもしれません。
けれど、誰にでも両親や先祖はいます。私たちの命を運んでくれたのは、両親。両親の命を運んでくれたのは、祖父母です。
そんなふうに、はるか昔から命が次々とバトンタッチされてきました。そのうちの誰か一人でも欠けていたら、私たちはこの世に存在していません。
私たちが今ここにあるのは、何万年も何十万年もかけて、命が途切れることなく受け継がれてきたおかげです。
この途方もない命の連なりをたどると、その根源に、人間が「神様」と呼んできた、宇宙の大元となる存在があることが感じられてきます。
人が本当に幸せに生きるためには、そのつながりを実感できることが欠かせないのです。日本人の心から失われた、このつながりを取り戻さない限り、日本の社会はこれ以上よくならないと私は考えています。
お祈りを通じて、ご先祖様への感謝の気持ちを向けると、しだいに神様とのつながりも深めていくことができます。すると、幸せに生きるうえでとても重要な「気づき」がもたらされます。
ここが重要な点なのですが、私たちは自分の意思で勝手に人生を生きていると思っています。でも実は、命のバトンタッチを経て運ばれてきた「運命」や「使命」と呼ぶべきものがあるのです。
例えば、生まれついての身体的・精神的特徴などは、一人ひとり異なり、自分では決められません。髪の毛から爪の先にいたるまで、先祖の運んでくれたDNAによって私たちの大部分が決定されています。
そこには、先祖からの「どんな生き方をしてほしいか」という思いとエネルギーも託されているのです。
ご先祖様の共通の願いは、子孫の繁栄と幸せです。ただ、ご先祖様が「こう生きてほしい」と願っている方向性と、私たちが「こう生きるのが幸せ」と思っていることがズレている場合があります。
すると運気が悪くなったり、表面的にはうまくいっているようでも、なぜか幸せを感じられなくなったりするのです。
ご先祖様としっかりつながることで、私たちは生きるエネルギーを受け取り、より本来の自分に即した人生を生きることができます。
ご先祖様、さらにはその根源にいらっしゃる神様に祈りを捧げることは「究極の開運法」です。次項に、古神道の「お祈り」と「お清め」のやり方を紹介します。難しいことではないので、ぜひ実践してみてください。
ご先祖様の助けを得ると仕事や人間関係が良好に
私は、ご先祖様の霊をまつる儀式「祖霊祭」もお勧めしています。一般的な神道の祖霊祭は、仏式の法要と同じように神社でお祈りしてもらうだけですが、私は独特の方法で執り行っています。
まず事前に、直系の先祖をできる限りさかのぼって調べ、家系図にまとめていただきます。両親、祖父母、曾祖父母、高祖祖父母とたどっていくと、名前すら知らなかった多くのご先祖様が自分とつながっていることがわかります。
たくさんの祖先から命をプレゼントされている恩恵が理解できると、感謝の気持ち、生かされている実感が自然に湧いてきます。ご先祖様も子孫から思い出してもらうとうれしく、「よし、助けてあげよう!」と思ってくれます。
祖霊祭をすると、絆のたいせつさが理解でき、家族仲がよくなるかたが多いものです。家族以外の人間関係の見直しにもつながります。祖霊祭を行ったら良縁に恵まれ、結婚できたというかたもいます。
さらに、ご先祖様とのつながりが強化され、その想いを受け取ることができるようになり、直感力や判断力が上がり、生き方に大きな変化が起こることもあります。仕事の業績が上がったり、ライフワークに出合えたりしたかたもいます。
今回の特集を通じて、皆さんもぜひ、ご先祖様からの命の連なりに思いをはせてみてください。
古神道神主が指南!心身と場を浄化して願いをかなえるお清めとお祈りのやり方
お祈りは「感謝」と「願い事」がセットになっているものです。
人がお祈りを始めたのは、地震や火山の噴火などに対する恐怖がきっかけと言われます。人間の力ではどうにもならない自然のから「お守りください」という願いが、お祈りの始まりだったわけです。
次に、災難を避けられたり、作物がたくさんできたりすると、「ありがとうございました」という感謝のお祈りが行われるようになります。
あるとき、私のところに小さなお子さんを連れた夫婦がお見えになりました。お菓子を出すと、お子さんが黙って持っていこうとしたので、両親が「ちゃんと『ありがとう』を言いなさい!」としかりました。
それを見て、ふと気づきました。「感謝」は本能的な感情にはなく、教えられて身につくものです。
人間は、集団を作り、共同生活をすることで生き残り、進化してきました。共同生活を営む上での潤滑油として「感謝」が必要だと、誰かが気づいたのでしょう。そして、この感謝の念を、自分たちを生かしてくれる「自然」や「神様」に向けるようになりました。
日本古来の古神道は基本的に先祖崇拝ですが、ご先祖様からの命の連なりの中で生かされている実感を持っていたからでしょう。そこに、お祈りの本質があるとも言えます。
ですから、お祈りの際は、まず感謝。それから願い事。これが正しい順序です。
家庭でお祈りする際の大切なポイント
ご家庭では、神様やご先祖様の霊が降りてこられる場所を定めたほうが、お祈りの効果が高くなります。
今は神棚がない家庭が大半でしょうから、代わりの物でかまいません。「ヒモロギ」といい、神道の儀式では榊の枝を用いますが、ご家庭では神社のお札や丸鏡、丸水晶(透明の物)などが場所も取らず、いいでしょう。
ヒモロギはできれば家の北側(南向き)に置きます。南側(北向き)は避けてください。昔の人は北極星が神様のいる御蔵と考えました。南側に置くと、神様のいる北を背にお祈りすることになってしまいます。
一般に、神棚へのお参りは神社でするのと同じく「二拝二拍手一拝」とされます。でも実は拍手の打ち方はいろいろあり、古神道では四拍手が基本です。神棚やヒモロギに向かって二拝(拝は深くおじぎすること)、四拍手してお祈り、最後に一拝という形にされてもいいと思います。
ただ、形式的なことをあまり難しく考えると、続かないでしょう。重要なのは日々の感謝の気持ちを込めてお祈りすることですから、次のことを心がけてみてください。
まず、心の中で必ず「日々ご守護いただきまして、ありがとうございます」と唱えます。次に「○○○○です」と、ご自分の名前を名乗ってください。ご先祖様や神様にお願い事のある人は、手を左のイラストのように組み替えてから述べてください。この手の組み方は「鈴」の形を模したもので、願い事をお伝えするのに適しています。
お願い事をしたら、「顕彰大神通力」と唱え言葉をしましょう。「明らかに神様のお力が私に通ってくださいますように」という意味の言葉です。時間がないときは8回、時間があるときは24回、または48回繰り返し唱えます。キリスト教のかたが「ジーザス!」と言うように、何かあったら自然と「顕彰大神通力」と口から出るくらいになると、神様とのつながりが強まります。
なお、お祈りは、なるべく身をきれいにしてから行ってください。私たちは重大な神事の前には滝や川、海に入り、身を洗い清めます。ご家庭ではそうはいかないでしょうが、少なくともご先祖様や神様の前で失礼のないように。朝起きて顔も洗わず、寝間着のままでお祈りするようなことは避けましょう。
空間の「お清め」には、鈴を使うのがお勧めです。どんな物でもかまいませんが、よく神社で売っていますから、買われてもいいでしょう。
シャンシャンと鳴らしながら、家の各部屋を回り、お清めをします。鈴の清らかな音色は邪気を払い、神様をお招きします。鈴は、空洞の中に一つだけ小さな(玉)が入った構造です。神様とつながるには、自分の中心に「真心」だけがあればいいという観念と通じるのです。
外出時、特に人の多い繁華街などに出かけたときは、悪い「気」が身にくっついてくることが多いですから、自分の回りで鈴を鳴らし、お清めされるといいでしょう。
最後に、ときどきでかまわないので、世の中全体の安泰や平和もお祈りしてください。特に、日本は地震が多いですから、「地震が起こりませんように」と多くのかたに祈っていただけると、うれしく思います。これはお祈りの原点でもあります。
私は長年にわたり、「地鎮祭」をさまざまな土地で行ってきました。通常は建築や工事の前に、土地の神様を祝い鎮めるために行う儀式ですが、私はときおり自然の中へおもむいて、地震を鎮める祈願を捧げています。
すると、あたかも自然が応えてくれたかのような、不思議な現象が起こることがあります。あるときはお祈りを終えたら、虹が三重にかかったことがありました。地元のかたも「こんなのは見たことがない」とおどろかれていました。
大きな祈りを捧げることで神様とのつながりもさらに強まり、結果的に、ご自身の願い事もかないやすくなるでしょう。
神社にお参りするときは? どの神様に祈ればいい?「お祈り」のツボがわかるQ&A
Q【どの神様にお祈りすればいいのですか?】
A
「八百万の神」というように、神道では万物に神が宿ると考え、数多くの神様がいらっしゃるのが特徴です。ただ私は、それぞれの神様は「部分」として現れたもので、大元のところでは同じものと考えています。私たちが自分の命を生ききるためには、宇宙の根源のエネルギー(神様)につながる感覚でお祈りすることがたいせつです。ご自宅で習慣としてお祈りする際は、まずご自分のご先祖様に向かって祈りましょう。ご先祖様からの命の連なりに思いをはせることが、宇宙の根源につながることになります。
Q【お祈りは「ご利益」を求めてもいいの?】
「お祈りは自分の願望や欲を離れて純粋な心ですべきもの」という考えの人もいるでしょう。けれど、ご先祖様からすれば、子孫の繁栄こそが願いなのです。自分自身が幸せな人しか、幸せな世界を作っていくことはできません。ですから、私はまず「自分自身のために祈ってください」とお伝えしています。ただし、お祈りの際の順序としては、ご先祖様や神様への感謝を忘れずに、先にすることです。
Q【神社にお参りするときはどうすればいい?】
参拝の際は一般に「二拝二拍手一拝」が基本とされています。ただ、実はこれは比較的最近、明治時代に一般化したもので、それ以前は神社ごとに作法は異なっていました。ことに拍手は本来、「魔よけ」の意味もあり、行う儀式によって回数や音の鳴らし方が異なるもので、古神道では「四拍手」を基本とすることが多いのです。現在でも出雲大社などは四拍手を参拝時の正式な作法としていますし、三拍手や五拍手の神社もあります。いずれにせよ、参拝は一種の儀礼として、「礼を尽くす」ことが大事ですから、その神社の作法に従われるのがいいでしょう。たいていの神社は「二拝二拍手一拝」でよいはずです。