不安な気持ちを足もみが一掃してくれた
私が足もみを始めてから、25年ほどになります。今でも毎日、私は足をもんでいます。「なんでそんなに続けられるの?」と思うかもしれませんね(笑)。
私にとって足もみは、歯磨きやお風呂のようなものであり、それ以上のものでもあります。もし足もみがなかったら、私はこんなふうに元気ではいられなかったと思うのです。
二十数年前のある晩、私は車で家に帰る途中、信号無視で交差点に進入してきた40tの大型トレーラーに車ごとはじき飛ばされました。
辛うじて命はとりとめたものの、何週間経っても、無気力、倦怠感、首の激痛、重りが乗っているような肩のこり、突然襲ってくる眠気に悩まされるようになりました。頭は霞がかったようにぼんやりし、気圧の変動とともに、体調も激しく変わります。寝ていても座っていても、つらくてたまりません。
ところが、病院でどんな検査を受けても、何も異常は見つかりませんでした。じゃあ、このつらさは何?この先、私はどうなってしまうの?そんな不安に押しつぶされそうな毎日でした。
病院からは、ただただ痛み止めや胃薬が出るだけ。私に薬の知識はないものの、この症状を痛み止めで治すのは違うと思いました。
このピンチをプラスに転換する方法を考えたとき、私は体のことをもっと知ろう、勉強しよう、と思いました。そんな中、出合ったのが「足をもむ」という健康法です。足には全身の臓器につながる「反射区」があり、足をもめば対応する部位がよくなることを知ったのです。
早速、首に当たる足の反射区をもんでみました。すると、首がメリメリメリ……と、ほぐれるような感触があったのです。それを何回か繰り返すうちに、首の痛みが軽くなっていき、私は「これだ! これをすれば治る」とわかったのです。
その時点で、もちろん体はまだ全然治っていなかったのですが、不安は吹き飛び、もう怖くはありませんでした。それから毎日、家で足をもみました。すると、あんなにつらかった症状が2~3カ月で楽になり、半年で、ほぼ元の生活に戻れたのです。
当時は少ない日で1時間、多い日には2時間半、1日も欠かさず足をもみました。もめば明らかに体調がよくなるので、楽しかったのです。
「足をもみさえすればいい」。その思いが、私を元気にし、不安やつらさから解放してくれたのです。
心筋梗塞の母も手術が不要になった
私の母も、足もみで救われました。
私の体が改善した頃、母に心筋梗塞(※)が見つかりました。心臓カテーテル検査で見ると、心臓に血液を送る冠動脈の一部が途切れており、医師には「このまま悪化したら、バイパス手術をするしかない」と言われたのです。
※心臓の血管が詰まって起こる病気
当時、母は60歳を過ぎたばかりでしたが、顔が土気色で、見るからに調子が悪そうでした。話をしていても、「ハア、ハア」と苦しそうに息をし、やっとそこにいる感じです。
私は母の足をもんであげようと思い、母の足を見てびっくりしました。足首はパンパンに腫れて、足は全体にすすがかかったよう。爪はほとんど薄黒く、第4、5指は真っ黒です。また、ふくらはぎは毛細血管が透けて見え、ミミズがはったように静脈瘤が浮き出ていました。
あまりにも汚い足に、「お風呂でちゃんと洗ってる?」と聞くと、「洗っとるよ。年とるとみんなこうなるんや」と母は平然と答えました。
若かった私は、「年をとるとこんな足になるんやなー」と思いながら、母の足に触りました。
母の足はまるで氷のように冷たく、ほんのちょっともんだだけで「ギャーッ、痛いっ」と大騒ぎです。
「もんだら楽になるから」となだめながらもみ終えると、母は開口一番、「はぁ~。指の先に血が流れていくのがわかる」と言って、すっくとベッドから立ち上がりました。そして「体が軽い。体じゅうに血が通っとる。ありがとな」と言ったのです。
それから、母の足を定期的にもむようになり、母はみるみる元気になっていきました。顔色も明るくなり、近所の人からも「あんた、心臓悪かったんやないの?」と驚かれたほどです。
2年後のカテーテル検査を受けたとき、医師は画像と母の顔を交互に見比べ、しきりに首をひねってからこう言いました。「不思議やなぁ、細かった動脈の部分が太くなっている。血が通っているんだね。これなら、手術しなくていいよ」。
母は現在85歳。肉体は年相応に老化していますが、今も元気で趣味の手芸を楽しんでいます。
もし、足もみをしていなかったら、母は今頃寝たきりになっていたかもしれないと思うと、足もみに感謝の念しかありません。
必ず結果がついてくる!「足もみ」の基本
「高かった血糖値が下がった」
「血圧が正常域になった」
「老眼が治ってメガネが不要になった」
「30年来の水虫が完治した」
「めまいが消えた」
私はこれまで、2万5000人以上のかたの足をもんできました。また、私の著書を読んで、足もみを実践してくださるかたもいらっしゃいます。右の声は、そういった人々から寄せられた声の一部です。
そのほか、薬が減った・不要になったという人もいれば、私の母のように、必要だと言われていた手術が不要になった例もあります。
足には全身の臓器や器官と対応する反射区があり、末梢神経でつながっています。また12本の経絡(※1)が足の指先から出入りし、たくさんのツボが足に集中しています。
※1生命エネルギーの通り道
足はまさに全身の鏡なのです。
足をもめば、全身の臓器が活性化され、血流やリンパの流れがよくなります。それとともに、体にたまった老廃物がスムーズに排泄されて、全身が健康になっていきます。
長年、足をもみ続けてきた私が自信を持って言えるのは、「足をもめば必ず結果がついてくる」ということ。そして、結果を出すにはちょっとしたコツがあるのです。
それでは、足もみの効果を最大に高めるもみ方をご紹介しましょう。
硬いところ、痛いところを見つけたら「安定圧」
「手指の使い方」をご覧ください。人さし指を折り曲げて鋭角になった部分を押し当てる「鋭角プッシュ」は、最も鋭く刺激が入るやり方です。
押したりもんだりして痛いところは、悪いところです。例えば、腎臓の反射区をもんで痛ければ、腎臓の機能が落ちているということ。
そういったところを見つけたら、鋭角プッシュでしっかり圧をかけて、数秒間キープします。これを「安定圧」と私は呼んでいます。安定圧をかけることで、その部分の反射区の機能を高めるのです。
また、硬いところ、ゴリゴリするところ、ブヨブヨしているところは、老廃物がたまっています。たまった老廃物を鋭角プッシュをしてから、押し流すようにスライドさせます(鋭角スライド)。こうして足の老廃物を流すと、体の老廃物も排泄されます。
足は、今ある体の不調を、痛みや硬さというかたちで知らせています。また、「今はなんともないけど放っておくと、やがて必ず悪くなるよ」という、未病(※2)を知らせるサインでもあります。ですから痛いところ、硬いところ、ブヨブヨしている部位は念入りにもみましょう。
※2発病には至らないものの健康な状態から離れつつある状態
ふくらはぎが硬い人が多いですが、これも柔らかくほぐしましょう。硬いのは老廃物で、筋肉ではありません。
そして、ふくらはぎの骨(腓骨)の周りに粘土のような、ネトッとしたこびりつきを感じることもあります。あまりに硬くなっていて、骨だと勘違いする人もいますが、それはむくみのしるしです。糖尿病の人には、ほぼ必ず見られます。辛抱強くもみほぐして、ネトネトを取っていくと、むくみも取れて脚がスッキリ細くなります。
足もみをする時間帯ですが、基本的には、いつでもよいです。とはいえ、効果が高いのは入浴後です。血液循環がよくなっているので、効果が倍加します。
むくみは美容と健康の大敵!
夏に多い症状として、「むくみ」が挙げられます。
本来は暑いから汗をたくさんかく季節なのですが、クーラーの利いた室内にいることが多く、あまり外を出歩かない人は、湿度が高いこの時期、汗が出にくくなっています。
体にたまった水分は、老廃物として残ってしまいます。私の患者さんのほとんど全員が、足のすねを押すと、ペコンと指の跡がつき、なかなか戻りません。
水分が停滞すると、冷えの原因になります。体が冷えると、代謝が落ちて太りやすくなります。血流も低下するので、免疫力が落ちて病気になりやすい体になります。また、むくむと体がだるくなります。本来、出すべきものが体にたまっているので、だるくて疲れるのです。
このむくみは放っておくと、老廃物が骨のようにカッチカチに固まって、太りやすくやせにくい体になります。足は太くなり、足首にはくびれもなく、くるぶしもどこにあるかわからない、ゾウのような足になります。
そこで今回は、この季節にピッタリな「むくみを取ってやせやすくする足もみ」、そして「めまいや耳鳴りに有効な足もみ」をご紹介します。
めまいや耳鳴りも水分代謝や血行の悪さが関係している症状です。そこで、目と耳の反射区である足の指の側面を刺激します。
この部位は、もむと誰もが間違いなく悲鳴を上げるほど痛がります。親指プッシュでしごくと、ブチブチした老廃物が見つかるはずです。「痛いところは悪いところ」と思って、しっかりつぶして、押し流してください。
足もみが終わったら、白湯をマグカップ一杯飲みましょう。これも老廃物を流すのにとても有効です。就寝前に行って、夜間頻尿が気になるというかたは、翌朝、起きたときに白湯を飲んでください。
必ず体がよい方向に変わっていきます。ぜひ実践してください。
むくみ、疲れ、冷えを一掃!やせやすくなる
「足もみ」のやり方
①腎臓 ➡ 輸尿管 ➡ 膀胱 の反射区
A
足の裏の中央から少し上にある腎臓の反射区(A)を、人さし指を鋭角にして上下にしごく。痛いところ、硬いところを見つけて、痛気持ちいいと感じるところまで深く押し、3秒間の圧をかける。腎臓の反射区は広いので、広範囲に行う
B
次に、腎臓と膀胱の反射区を斜めにつなぐラインである輸尿管の反射区(B)を、人さし指を鋭角にして圧をかけながら流していく。腎臓から膀胱の反射区に向けて、一方向で流す
C
膀胱の反射区(C)を、人さし指の鋭角で、痛気持ちいいと感じるところまで深く押し、3秒間の安定した圧をかける。広範囲に行う
②尿道の反射区
尿道の反射区である内くるぶしの下の膀胱の反射区からアキレス腱に向かって、老廃物を押し出すように親指の腹をすべらせる。2~3回繰り返す
③大腸・小腸 の反射区
土踏まずとかかとの間にある小腸と大腸の反射区を、広範囲に鋭角スライドでしごく。痛いところ、硬いところを見つけたら、グッと深く押して3秒間圧をかける
④ふくらはぎの内側
内くるぶしの裏側の坐骨神経の反射区を起点にして、骨の際をひざに向かって少しずつ移動させながら押す。老廃物がこびりついて硬くて痛いので、ほぐしながら行う。くるぶしからひざの方向に、2回行う
⑤ふくらはぎの外側
外くるぶしの裏側の坐骨神経の反射区を起点にして、骨の際をひざに向かって少しずつ移動させながら押す。老廃物がこびりついて硬くて痛いので、ほぐしながら行う。くるぶしからひざの方向に、2回行う
⑥ふくらはぎをもむ
両手の親指で、ふくらはぎの中央・足首からひざ裏に向かって、少しずつ指をずらしながら強く押す。ギュッと押しつぶすように。下から上に3回繰り返す
手の親指と残りの指でふくらはぎをつかみ、筋肉をつまんで、押しつぶし、搾り出すように強めにもむ。くるぶしの上からひざ下に向けて少しずつ指をずらしながらもむ