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最新医学データに基づく【最強の食べ方】その①~現代人は糖質中毒!まずは摂取量を減らそう

ハイになった後疲労感に襲われる

「疲労感が抜けない」「すぐ眠くなる」「いつも体がだるい」「集中力が続かない」「イライラする」

あなたはこんな不調を抱えていませんか? じゅうぶんに休養や睡眠をとったときでもこれらの症状が続いている場合、まず疑ってほしいのが「糖質のとり過ぎ」です。

「糖質といえば甘いもの。そんなに自分はとっていない」と思うかもしれません。しかし、そこには意外なカラクリがあるのです。

 糖質は、甘いものだけに含まれているわけではありません。もちろん甘い清涼飲料水や缶コーヒー、ケーキ、和菓子などには糖質がたっぷり入っていますが、ご飯やパン、麺類といった主食、果物、シリアルなどにも多く含まれます。

 なお、糖質は炭水化物とも呼ばれます(厳密には、炭水化物は「糖質+食物繊維」を意味します)。

 その糖質(炭水化物)をとると、血糖値が上がります。血糖値とは、文字通り血液中の糖(ブドウ糖)の濃度のこと。血糖値は糖質をとったときだけ上がるのです。たんぱく質や脂肪など、糖質以外の栄養素をとっても、まったく上がりません。

 そして、糖質をとったときの血糖値の上がり方は、食品によって違います。ご飯など固形の食品は、清涼飲料水などの液体に比べ、血糖値の上がり方がゆるやかです。胃で消化するのに時間がかかるからです。

 健康な人の血糖値は、空腹時で80~90㎎/㎗(以下単位略)程度です。ご飯やパンを含んだ食事をとると、通常は1時間後に120程度まで上がった後、ゆっくり下がっていきます。

糖質別・血糖値の上がり方

糖質別・血糖値の上がり方

 ところが、清涼飲料水や缶コーヒーなどの液体でとった糖質は、すぐ胃を通り抜けて小腸から吸収されるので、急激に血糖値が上がります(上のグラフ参照)。

 このグラフでもわかるように、液体の糖質は、飲むとすぐに血糖値が上がり始め、30分後にはピークに達します。140程度か、それ以上に急上昇するのです。これを「血糖値スパイク」と呼びます。

 血糖値スパイクが生じると、ドーパミンという脳内物質が分泌されます。これは幸福物質とも呼ばれ、私たちをハイな気分にしてくれます。だからこそ、「甘い物を食べると元気になる」と感じるのです。この糖質の摂取によるハイな気分のピークを「至福点」といいます。

 問題は次です。血糖値が急激に上がったことを察知した体は、急いで下げるために多くのインスリンを出します。

インスリンは血糖値を下げるホルモンで、膵臓から分泌されます。その結果、血糖値は急激に下がります。まるでジェットコースターのように、上がった血糖値が一気に下がるのです。

 すると、ハイな気分から一転して、イライラしたり、疲労感やだるさ、眠気に襲われたりします。これが、多くの現代人を悩ませている不調の正体です。

こうした不快症状に襲われると、「またあのハイな気分になりたい」と、無意識のうちに血糖値を上げる糖質が欲しくなり、同じことを繰り返してしまいます。

 特に甘い飲料などで糖質を取り続けていると、膵臓が弱ってインスリンの分泌が遅れがちになります。

すると、その間に血糖値がどんどん上がるため、体は慌ててより大量のインスリンを放出し、そのため血糖値が下がり過ぎてしまいます。これを「反応性低血糖」と呼びます。

 反応性低血糖では、前述のような不調が強くなるほか、めまい、吐き気、、頭痛、目がチカチカするなどの症状も起こります。

 過剰な糖質摂取がこうした症状を起こし、さらに深刻なリスク(後述)を招くと知っても、糖質をとる誘惑に勝てずにとり続ける人がたくさんいます。それは、「糖質中毒」という状態に陥っているからです。

■低血糖の症状

正常な判断ができずひたすら糖分を欲する

 糖質中毒とは、脳がひたすら糖質によるハイな気分、そのピークである至福点を欲している状態です。正常な判断ができなくなった脳は、危険性などおかまいなしに、体が糖質をとるように仕向けます。

 実は、清涼飲料水などのメーカーは、糖質をどう配合すれば至福点に到達するか、計算し尽くして商品を設計しています。いわば、糖質中毒の人を増やすことで、利益の増大と継続を図っているのです。

 糖質中毒に陥っている本人には、その自覚はありません。甘い物が好きだから、あるいは元気ややる気を出すために、自発的に食べているつもりですが、実際は糖質を「食べさせられて」いるのです。

 もともと人類は、エネルギー源である糖質を、簡単には得られない環境の中で生きてきました。そのため、飢餓対策として、「糖質が得られるときはしっかり摂取せよ」というプログラムが組み込まれ、糖質をとると報酬として快感を得られるようになっています。

 あなたがすでに糖質中毒に陥っているかどうかは、下のチェックリストでわかります。その結果が、たとえ軽度であっても中毒が疑われる場合は要注意です。

肥満と老化が促進され「万病の元」状態に

「血糖値が急激に上がったり下がったりするのが危険」と聞いて、「でも自分は糖尿病じゃないから」と思った人、それは大間違いです。

 血糖値が一定の基準(空腹時110未満、食後2時間で140未満)を超えると、確かに糖尿病が疑われます。しかし、このとき、リスクが高まるのは糖尿病やその合併症だけではありません。

 高血糖状態が続くと、まず肥満を招きます。糖質でとったエネルギーの過剰分が、脂肪(中性脂肪)に変わって蓄えられるからです。肥満は動脈硬化や高血圧などの生活習慣病とともに、最近ではがんのリスクを高めることが知られています。

 次に、体内にAGE(終末糖化産物)という老化促進物質が増えます。この物質は全身の細胞に悪さをして動脈硬化を進め、脳梗塞や心筋梗塞(※1)などのリスクを高め、心身のさまざまな老化を促します。

※1 脳や心臓の血管が詰まって起こる病気

 高血糖が続くと、肥満とAGEのダブルパンチで、まさに「万病の元」という状態になってしまうのです。

 では、糖質中毒から抜け出すには、どうすればいいのでしょうか。

 まずは、自分が糖質中毒だと自覚することです。例えば、禁煙は、ジワジワとタバコの本数を減らしたりしないで、多少、禁断症状が出てつらくても、「えいやっ」とやめるほうが成功します。

糖質中毒も同じで、身の回りに甘い飲料やお菓子を置かないようにしましょう。最初はちょっとつらいかもしれませんが、そのうち不調がとれて頭もスッキリしてきます。

 ご飯やパンなどは極端にやめなくてもよいのですが、できれば一日の糖質の摂取量を120g程度(やせたい人は60g程度)まで減らすのがベストです。

現在、日本人の成人は、平均的には1日に男性約400g、女性で約300gの糖質をとっているので、少なくとも3分の1~半分くらいにする必要があります。

 健康法や食事法については、さまざまな説があって皆さんを惑わせているのが現状だと思いますが、私のもともとの専門である「生化学(※2)」、さらに世界の最先端の研究結果から見て、糖質の過剰摂取が現在の多くの病気や不調の根源であることは疑いがありません。


※2 体内のさまざまな物質についての合成や分解、代謝のメカニズムについて、化学構造式により解明する学問

糖質を適正な量に抑えることは、何をおいても最初にやるべきことです。それによって、あなたの健康度は間違いなく高まります。ぜひ、今日から行動に移しましょう。

(次回その②に続きます)