アブラナ科の野菜は抗がん作用が強い
不調や病気を防ぎ、若々しい体を保つ基本は、ここまでのページでも述べた通り、「糖質をとり過ぎないこと」です。
理想は糖質の摂取量を1日120gまでに抑えることで、これは白米のご飯なら2膳強、6枚切りの食パンなら4枚半に当たります(下の表参照)。
朝昼晩に分けると1回分が少なくなるので、こうした主食は朝昼にとり、夜は主食をなしにして、おかず中心にすることを私は推奨しています。
おかずにする食品は、肉、魚、卵、大豆製品、野菜、海藻、キノコ、豆類などです。これらに含まれる糖質はわずかなので、たっぷり食べられます(ただし、イモ類、根菜、カボチャ、甘いトマトは控えめに)。
中でも多くとっていただきたいのが、野菜、海藻、豆類などの植物性食品です。野菜は1日350gを目安にとりましょう。
こうした食生活をベースにしながら、さらに病気予防効果と健康度のアップを目指すために、お勧めしたいのが以下の10品目です。
1~5番はアブラナ科の野菜です。最近の研究では、キャベツ、大根、ブロッコリーといったアブラナ科の野菜に注目が集まっています。
その大きな理由は、抗がん作用をもたらすといわれる「イソチオシアネート」という成分が多く含まれ、特にその一種である「スルフォラファン」が豊富だとわかったためです。
スルフォラファンは抗酸化作用や解毒作用があることが知られていましたが、それらに加えて血糖値を下げる優れた働きがあることを、スウェーデンのルンド大学の研究チームがつきとめました。血糖値を下げるということは、ダイエットにも役立つことを意味します。
これらは、もちろん調理しやすい方法で取り入れればよいのですが、キャベツなど生でも食べられるものは生食すると、イソチオシアネート活性がより高く保たれます。
生のキャベツは、肺がん予防に役立つという報告も出ています。キャベツはサラダなどで、大根はおろして食べる機会をふやすとよいでしょう。
魚は青いものを。肉は鶏肉がよい
6番以降は、たんぱく質源になる食品を挙げました。
マグロの仲間や青魚には、動脈硬化を抑制するEPA(エイコサペンタエン酸)という脂肪酸が多く含まれます。ここでは、特にEPAが多いクロマグロ、サンマ、イワシを挙げました。
肉類の中で、いちばんお勧めなのが鶏肉です。糖質制限食では、原則的に肉や魚の制限はありません。しかし、一点、注意が必要なのが牛肉を食べ過ぎると、大腸がんのリスクが高まる恐れがあることです。
鶏肉にはそうしたリスクがないので、安心して食べられます。また、10番の豚肉は、大腸がんのリスクを上げる心配はほとんどないうえ、現代人に不足しやすいビタミンB1の供給源として優れています。
これまでの研究結果を総合すると、肉と魚については、
「魚と肉を交互に食べる」「鶏肉を頻繁に、豚肉はほどほどに、牛肉はたまに(月1~2回)食べる」というのが、健康的に食を楽しめるペースです。
なお、ハムやウインナー、ベーコンなどの加工肉は、添加物が多く、発がんリスクも高めるので、極力避けましょう。
まず肉や魚を食べ食後は運動を!
食品選びのポイントがわかったところで、「食べ方のコツ」についてもあげておきましょう。
●「ミートファースト」がお勧め
以前、「ベジファースト」という食事法が話題になりました。食事の最初に野菜を食べるもので、最初に糖質をとるのに比べ、血糖値の上がり方がかなりゆるやかになります。
しかし、それよりさらによいのが「ミートファースト」です。
ここでいうミートは肉類に限らず、魚も含みます。そうした脂肪も含むたんぱく質源を最初に食べると、ベジファースト以上に血糖値の上昇が抑えられ、健康法としてもダイエット法としても効果が高まるのです。
最初に肉や魚、次に野菜、最後に糖質(主食)という順で食べるのがベストです。
もちろん、それぞれを完全に食べてしまってからでなく、おかずを残しておいて主食とともに食べるのでかまいません。
いずれにしても、空きっ腹に最初に糖質を入れるのは、血糖値の急上昇を招く最悪の食べ方なので避けましょう。
●同じ量なら食べる回数を多く。食事(特に朝食)は抜かない
回じ量・内容なら、まとめて食べるより、ちょこちょこ食べたほうが太りにくくなります。「空腹時のドカ食い」になるリスクが減り、血糖値が急上昇しにくくなるからです。
1日3食が基本のように言われますが、実は4食・5食・6食に分けるほうがもっとよいのです。
食事を抜くと、逆に血糖値の急上昇を招きます。朝食を抜く人がふえていますが、これはお勧めできません。前日の夕食後から翌日の昼食までの長時間、何も食べないことになり、空腹の度合いが増すので避けてください。
●ゆっくり食べる
よくかんでゆっくり食べることは消化吸収によいだけでなく、血糖値の上昇を抑制するにも非常に効果的です。逆に、早食いをすると血糖値は急上昇します。
1人で食事をするよりも、誰かとおしゃべりしながら食べる、今までランチを20分で済ませていた人は30分かけるなど、工夫をしましょう。
食後すぐの運動は血糖値の上昇を抑制する
●運動は食直後がベスト
「食後は消化のためにゆっくり休め」「空腹時の運動で脂肪が燃える」
これらは昔の常識で、最近の研究結果からいうと、運動は何といっても「食直後」がお勧めです。
というのも、食後の血糖値は、食事開始から15分で上昇します。そのため、食後はできるだけ早く運動することで、血糖値の上昇が抑えられるからです。
特に、「ちょっと糖質をとり過ぎたかな」と思うときは、食事後すぐに運動をして血糖値の上昇を抑えるとよいでしょう。
ウォーキングなどもよいのですが、外に出るのが億劫なら、室内でスクワットや踏み台昇降などをするだけでも効果があります。ぜひ実践なさってください。