頭蓋骨に触れるだけで、全身の病にアプローチできるわけ
「頭をさするだけでほんとうに不調が治るの?」こう思ったかたも多いでしょう。
その問いに対して、看護師でリフレクソロジスト(足裏や手のひらなどの「反射区 ※以下本文参照」を刺激して全身の調子を整える民間療法の専門家)でもある市野さおり先生は、こう話します。
「足裏や手のひら、顔、耳などの特定の部位に刺激を与えると、その部位に対応する筋肉や臓器に働きかけて、病気や不調を改善することができます。この部位のことを【反射区】といいます。実は頭蓋骨にも、全身に対応する【反射区】があるのです」(市野先生)
どういうことなのでしょうか。
「例えば、前頭骨なら、臓器は肝臓に対応し、筋肉は大胸筋や菱形筋(背中の肩甲骨の間)に対応。側頭骨なら、臓器は腎臓に対応し、筋肉は大腰筋と腸腰筋(腰、下腹部、骨盤周囲)に対応するなど、頭蓋骨はまるで全身を写す鏡のように、各筋肉、臓器と関連しているのです。
頭蓋骨を刺激すると、全身のさまざまな臓器や筋肉に働きかけ、多様な病気や不調を自分で改善できます。刺激すると言っても、頭を強く押したり、もんだりする必要はありません。あまり強くもむと、かえって逆効果になります。触れているか触れていないかわからないくらいソッとさするくらいでだいじょうぶです。
頭をさすることで、脳から、対応する臓器や筋肉に信号が行き届くと、臓器や筋肉が整って、症状がよくなります」(市野先生)
足の上がらなかった80代女性も、背筋が伸びてスタスタ歩けるように
こんな例があります。
あるがん患者さんが、市野先生の頭皮さすりの施術を受けたときのこと。家族は「そんなに優しい触れ方で、効果があるんでしょうか?」と半信半疑だったのですが、施術を受けた患者さん本人は「全身が楽になった」と喜んだそうです。
また、ある80代の女性は、足の動きが悪く、浴槽をまたげないほどでした。しっかり歩くこともできず、少し認知症の症状もあったそうです。しかし頭皮さすりを行ったら、背筋がシャンと伸び、足を上げてスタスタ歩けるようになったのです。認知症の症状もよくなり、友人と連日、宝塚歌劇団のステージを観に行けるほど、体力も気力も戻ったそうです。
側頭部をさすると、腰痛・股関節痛・下半身の冷えに効く
そんな驚くべき効果のある頭皮さすりを、『ゆほびか』2021年6月号では、頭のゾーン別で全7種類、市野先生に教えていただきました。ここでは、そのうちの1つをご紹介しましょう。
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【側頭骨さすりのやり方】
さするゾーン:側頭骨
不調がよくなる臓器:腎臓
不調がよくなる筋肉:大腰筋と腸腰筋
効果のある症状:腰痛、股関節痛、足の冷えや倦怠感
<1>
耳の上に4指を置く。チョウが止まるようにソッとフワッと(上写真参照)
<2>
息を吸いながら、顔の方向へ指を滑らせる
<3>
息を吐きながら、後頭部の方へ指を滑らせる
<2~3>は、呼吸に合わせて何度か繰り返す。強く押さないのがコツ
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『ゆほびか』2021年6月号の誌面では、全7種の頭皮さすりのやり方を写真付きで詳しく紹介しています。とても簡単で、効果の高い頭皮さすり。ぜひ実践してみてくださいね。