睡眠障害の根本原因は「寝る姿勢が悪いから」

「よく眠れない」
「眠りが浅い」
「睡眠時間が短い」……
こうした睡眠障害の根本原因は「寝る姿勢が悪いから」と話すのは、宮城歯科クリニック院長の宮城旺照(まーてる)先生です。
「首がそり返る姿勢で寝ていると、首の筋肉が硬直し、首がこります。この首こりが諸悪の根源なのです。
なぜ首がそり返るのかというと、ほとんどの人が就寝中にしている”歯ぎしり”が原因。人から指摘される人もいるでしょうが、自覚症状のない場合も多いです。
歯ぎしりをするときには、物を食べるときの何倍もの強さで歯を食いしばります。就寝中ですから、長時間食いしばることになりますよね。食いしばるとあごや首の筋肉に大きな負担がかかり、苦しくなるので、首がそり返る姿勢で寝るようになるのです。
ところで、夜中にトイレに起きることがあるじゃないですか。あれはトイレに行きたくて起きているのではありません。首がこって、脳が苦しくなるから、体を起こしている現象です。
首の両サイドには、脳に流れ込んだ血液を心臓に送り返す『内頸静脈』という太い血管が走っています。首がこると、この太い血管が首の筋肉に圧迫されるので、脳の血流が悪くなります。また、脳と背中の中を流れている脳脊髄液の循環も悪くなるので、脳が出す老廃物を排出する作用も悪くなります。いわば脳の便秘状態ですね(笑)。
そうして『苦しい!』と脳が命令するため、私たちは夜中に起きてトイレに行くのです」(まーてる先生)
睡眠の質が上がるばかりか、パーキンソン病や認知症、うつまで改善
夜中にトイレに起きることと、睡眠の質がそんなに深い関係にあったとは驚きです。。ではどうすれば改善できるのでしょうか。
「首がそり返った悪い姿勢で眠らないようにすることです。それをとても簡単に解消できるのが『重ね枕』。枕を少し高くして寝ることで、自然とあごを引いた姿勢になって、首がそらなくなります。たったこれだけのことですが、睡眠の質がグンと上がりますよ。枕が1つしかない場合は、巻いたバスタオルを枕の上に置いてもいいですね」(まーてる先生)
たったこれだけのことで快眠が得られるなら最高ですね。また、まーてる先生によると、顎関節症のほか、睡眠時無呼吸症候群やいびき、脳動脈瘤、パーキンソン病や認知症、うつまで改善するのだそうです。
『ゆほびか』2021年9月号では、「重ね枕」の詳しいやり方のほか、首のこりを効果的に取るストレッチなど、盛りだくさんの内容でご紹介しています。ご興味のあるかたは、チェックしてみてくださいね。