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豊かな倍音が脳と心を癒す! 700年前から虚無僧が吹いていた「地無し尺八」の音色

虚無僧は尺八を吹くこと自体を禅の修行にしてきた

700年前から伝わるとされ、禅の修行として吹かれてきた音楽を紹介しましょう。

深い編笠で顔を隠したまま、尺八を吹いている僧を見たことはありませんか?
実際に見たことがなくても、時代劇などで見たことがあるかもしれませんね。

これは虚無僧(こむそう)といって、禅宗の一派である普化宗(ふけしゅう)の僧です。
虚無僧は、尺八を吹くことを「吹禅(すいぜん)」と言い、それ自体を禅の修行にしてきました。

そして、吹いている曲は、けっして気の向くまま適当に吹いているのではなく、多くの場合、700年前から伝わるとされる「古伝三曲(こでんさんきょく)」のうちのどれかか、それをアレンジした曲なのです。

700年前と言えば、室町幕府の時代です。
その頃から、伝承で、つまり聞き覚えで曲を習得し、綿々と伝わってきたといいます。
そう考えると、虚無僧が吹く尺八の音色も、ありがたく感じられますよね。

古来の「地無し尺八」は不規則な倍音成分を豊かに含んでいる

また、尺八ですが、楽器としては、明治時代に西洋の音階に合わせるように均一の音が出るように改良されているのですが、虚無僧が吹く尺八は、それ以前の、手づくりの、音階も竹の節の長さに合わせた、つまり自然に寄り添ったものです。

明治以降の尺八を、竹の空洞(「地」と言います)を処理した「地有り尺八」というのに対して、虚無僧の手作りの尺八は、竹の空洞を処理していない「地無し尺八」と言います。

虚無僧が吹く「地無し尺八」は、音が安定しにくいぶん、独特のうねりや揺らぎがあり、そして不規則な倍音成分を多く含みます。

「倍音」とは、吹いている音程の音に共鳴して鳴る音の成分のことで、倍音がそれぞれの楽器の音色、つまり個性を形作っています。
そして、倍音が豊かであればあるほど、自然の中にいるかのようなリラックス効果を生み出し、疲れた脳や心を癒やす効果があると言われています。

つまり、虚無僧が吹く「地無し尺八」の音色に耳を傾けていると、それだけで脳や心の疲れが取れるかもしれないのです。


『ゆほびか』2022年8月号では、「瞑想状態になる〈聴く禅〉虚無僧尺八『倍音ヒーリングCD』」と題して、10ページの特集を掲載しています。
倍音音楽家・地無し尺八奏者の青山雅明さんによる46分の地無し尺八CDが付録です。

↓試聴はこちら↓


700年前から伝わるとされる「古伝三曲」の3曲に加え、やはり古くから名曲とされる『手向(たむけ)』『瀧落(たきおち)』の計5曲を新規収録しました。

精神科医で、がん患者の疼痛治療に音楽療法を行っている、イーハトーヴクリニック院長の萩原優先生に聞いていただいたところ、「潜在意識につながり脳が休まる幽玄な音」と絶賛!

水晶画家・青山京古さんが竹林を描いた作品「虚空(こくう)」も掲載しています。

CDが導く「ぽっかりと空いた時間」で、脳と心の疲れを癒やしてください。