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【小林正観】仕事のむなしさと縁を切る方法

2020/02/18

あなたは、自分のことが好きですか?

人生相談を多く受けていると、その内容は大別して、「仕事」、「人間関係」(恋愛を含む)、「健康」の3つのジャンルに分かれました。

 その内の「仕事」に関しては、「毎日がむなしい」「同じことの繰り返しで楽しくない」「辞めようと思う」との内容が多いんですが、私はそういうとき、この質問をしてきました。

「あなたは、自分のことが好きですか?」

 多くの人は、まずびっくりします。生まれてこのかた、そんな質問は受けたことがないと言うんです。そして多くの場合、「私は私が嫌いです」と答えます。

「自分で、自分のことを好きになったらどうでしょう」
と話はあらぬ方向へ行き、たいていの人は自分の質問を忘れてこちらの話に熱中します。
「どうしたら、自分を好きになるんでしょうか?」
 実はそこにこそ、日常生活の中のむなしさと縁を切る方法があるのです。

一生懸命、バカをやってみてください

 結論的には、バカなことをたくさんすること。バカなこととは、金銭的にまったくプラスにならないことです。

 例えば、会社に30分早く行く。途中で、自分のお金でバラを1本買って、会社に着いたら自分の机に飾る。人の机でなく、自分の机ですよ。あるいは、廊下に落ちている紙くずを、歩くついでに拾い、くずかごに捨てる。トイレ掃除をする。
 私がこう提案すると、必ずこんな言葉が返ってきます。
「花は会社の費用で買うことになっていて、私が買わなくてもちゃんと飾られています」
「廊下やトイレの掃除は、掃除のおばさんがやってくれます」
 そう答えているうちは、自分を好きになることは、まずないでしょう。
一銭にもならないこと、誰からも評価されないことをどれだけできるかが、自分を好きになるポイント。一生懸命、バカをやってみてください。
 そういうバカなことをしている自分が、いつの間にか、かわいく、いとおしく思えてきます。「バカなやつ」と思いながら、でも自分の心に温かいものを感じるはず。

 がまんして、その会社の仕事を続けるべきだと言っているのではありません。ただ、辞める前にまず、「自分で自分を好きか」と問いかけてみてください。自分で自分を嫌いなら、仕事がむなしいのは、「仕事」の問題でなく、「あなたの生き方」の問題です。
 嫌いな自分をどこに勤めさせても、どんな職業を選んでも、けっきょくむなしいだけです。仕事や待遇の問題ではありません。

退職の前に振り返るべき、3つの「さ」

どんな会社に勤めていても、必ず何度かは「辞めたい」と思うものです。そのときに、ケンカ別れをするのはやめたほうがいいでしょう。
 ケンカ別れをして辞めた人は、次の会社でも必ず、ケンカ別れをします。永久にケンカ別れを続け、何カ所も会社を変わっていきます。

仮に、ある人が3つの会社を経てきたとします。それらの会社の社員仲間や役員から信用され、今もつきあいが続いているとしたら、その人は「応援団」を3つ持っているのと同じことになります。

ここで、3つの「さ」を考えてみてください。
3つの「さ」とは、「ひたむきさ・誠実さ・奥深さ」です。ひたむきで誠実な仕事ぶりであったなら、会社を辞めても、その人の評価が残る。さらに奥深さがあったなら、あなたは「奥深い人」「魅力的な人」「ありがたい人」として、生涯ずっとつきあっていきたいと思われる存在になります。

「辞めたら、この会社には二度と来ないだろう。同僚とも上司ともつきあいがなくなるだろう」という状態なら、辞めるのを数カ月延ばし、いい関係になってから辞めるべきです。自分が勤めた会社は、すべて自分の味方にすべきで、敵にしてはいけない。
 ひたむきで誠実で奥深い人なら、みんな味方になるはずなんです。

 辞めたいと思ったら、会社での自分は3つの「さ」を満たしているか、確認してください。もし満たしていなければ、どこの会社に移っても同じことの繰り返し。辞めた会社は味方にならないでしょう。

 めんどうでも、辞めるのを数カ月延ばして、「さ」を充実させてください。「退社してもずっとつきあいたい人」になって、会社の人たちを味方にしてから辞めることです。

 退職後も、笑顔で「こんにちは」と訪れ、「やあ」と笑顔で迎えてもらえる、そういう退職はすてきではありませんか。
もし退職するなら、「ひたむきさ・誠実さ・奥深さ」のある働き方をしてからがいいようです。

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