『病気が治る人の予祝思考! 前祝いの健康術』(マキノ出版刊)。
この本では、毎月、100人以上のがんや難病の患者さんが全国から訪れる人気クリニックの予祝ドクター三浦直樹さんと作家ひすいこたろうさんが、「病気が治る人の考え方」を語っています。
ここでは、病気になった人が陥りがちな思考のワナと、さらに幸せになるための考え方を2人が語った対談をお届けします。
「予祝」=日本古来の引き寄せの法則(前祝い)
すべての人の命の時間は限られている
三浦 特にがんの場合ですが、亡くなるかどうかは別にしても、やっぱり、がんになると、死を意識せざるを得なくなる。まあ、それは、いい換えれば多くのかたが、「自分だけは死なない」ようなつもりで生きていることにもなりますが。
ひすい でも、真実は「あした死ぬかもよ?」なんですよね。すべての人の命の時間は限られている。
三浦 そうです。とはいえ、がんは、交通事故や心臓疾患などと違って、突然死することはほとんどありません。
患者さんは、自らの死を意識しながら、ある程度以上の時間を与えられることになる。そして、その時間を使って、自分自身と向き合わなければならなくなります。
だからこそ、病気をきっかけにして、生きていく意味をしっかり感じていただくことが大切だと思うのです。本来は、病気であろうがなかろうが、なんのために生きるのか、私たちは考えるべきではないでしょうか。
ひすい そうした思いが根底にあるからこそ、どうしてこの病気を治したいのか、という問いも出てくる。
三浦 たとえ、がんが治ったとしても、命には限りがあるので、いつか肉体を卒業する日がきます。患者さんの前では医者として偉そうにしている私だって、必ずいつか死にます。
「いつか、死を迎えることがわかっているのに、あなたはなんのためにがんを治して生きたいのですか?」。そう問いかけることもあります。
私たちが生きている目的は幸せになることです。病気になっても、その目的が変わることはないはずです。ですから、「この病気さえ治れば、幸せだ」と話されるかたには、次のようにお話しすることもあります。
「今後のあなたの人生は、病気治しのためにあるんですか。病気があっても、楽しかったらそれでいいし、現に病気があっても、幸せな人もいます。一方、病気がなくても、楽しくなくて自殺する人もいる。どちらを選ぶかは、あなたしだいですよ」
ひすい ある程度の年齢になれば、誰だってどこかが悪くなってしまいますしね。
三浦 ええ。加齢による痛みや不調とも上手につきあっていかないといけない。僕ら医者が、ある程度の医学的知識があったとしても、200歳までは生きられない。
「肉体を卒業する日まで、好きなことするしかないよね、好きな人と好きな場所に行って幸せになるしかないよね。病気になったからこそ、それをきっかけに、もっと幸せになる人だっているんです。あなたは、どんな生き方を選びますか」
ひすい 先生は、病気は罰ゲームじゃなくて、人生の重要なイベントだとおっしゃっているのも、こうした意味合いがあるからなんですね。
三浦 けっきょく、楽しく生きようとするのが一番なんです。病気を治して何をしたいのか。これをちょっとワクワクするぐらいのイメージを持ってもらう。
世界平和に貢献したいとか、そんな大きな夢じゃなくてもいいんですよ。病気を治して、おいしい物を毎日食べたいとか、そんなのでOKです。
治ったら、誰に電話して、どこでパーティーして、それから、それから、といったぐあいに、明るい未来を思い浮かべてもらう。
ひすい まさに、それが予祝思考ですね。
三浦 患者さんには、「『がんはあっても、幸せです』。あなたがそういう前例を作ったら、どうですか?」といっているんです。
ひすい わーー、それ、すごく素敵です。病気を一つのきっかけとして、自分の体がどういうことを望んでいるか、ちゃんと感じてあげる。それだけでも、病気になった価値がありますね。病気が、どんな高額セミナーよりもその人の人生を変えるチャンスになるんですね。
予祝ドクター三浦直樹の「病気が治る人の予祝思考!」語録
病気は罰ゲームではありません。
いままでの生き方が間違っていたわけじゃないし、
これからも間違いなんてありません。
これから必ず症状が悪くなるって、誰が決めたんですか?
医者は預言者じゃないですよ。
誰が何といおうとも、治っちゃっていいんです!
がん患者がみんなつらく悲しく死んでいくというのは、
テレビや映画の影響です。その症状を
アカデミー症っていうんですよ!(笑)
病人の役をしているうちは、なかなかよくなりません。
「健康になる」という言葉もいいのですが、
その裏側には「いまは健康じゃない」という前提が含まれてしまうので、
「いまよりもっと健康になる」という言葉遣いが大切です。
この「いまよりもっと」という言葉を遣うことで、
結果が大きく変わるのです。
「病気が悪くなったらどうしよう」
「そんなん起こってから考えたらええやん」
と自分でツッコむようにするんです。「1人ノリツッコミ」です。
私は、患者さんには、「無邪気に、ちょっと顔がニヤけるような
夢を持ってください」といっています。
真剣にならないといけないときもありますが、
深刻になってはダメですよ。
薬が必要なときもあります。
そういうときは、「このお薬が最小限の副作用で最大限に
効きますようにと願いながら飲んでください」といいます。
病気を治しに行くときは、いまのご自身の病気は
治ると思っている先生を探したほうがいい。
「一生治りません」とかいう先生とは、
あまりおつきあいしないほうがいいですよ。
たいへんなときは、歌いましょう。ピチピチチャプチャプの替え歌で
ピンチピンチ、チャンスチャンスランランラーン♪
私は、「喜怒哀楽」という言葉は、
「喜び」「怒り」「哀しみ」を「楽しむ」
(=体験し味わう)ことだと考えています。
私の夢は、失業すること……。
(おわり)