「仲間」は、人生を実り多きものにしてくれる、福の神のような存在です。
ときに、あなたの運を高め、ときに、あなたの孤独を癒し、ときに、あなたの窮地を助けてくれます。
あなたの長所も短所も受け入れて、いっしょに時間をすごしてくれます。
この記事では、すてきな「仲間」を見つけ、友情をはぐくむための、楽しい知恵を作家・本田健さんがご紹介します。
その①仲間の存在が人生の幸福感を左右する
その②「緊張感があるグループ」と「安心感があるグループ」
その③仲間は条件つきの関係ではない
その④「やりたかったこと」をすると楽しい仲間と出会える
その⑤仲間に好かれるいちばん手軽な方法
その⑥「悪い仲間」と縁を切るコツ
その⑦木や草花を育てるように、友情もじっくりと
その⑧立場の違う仲間との友情は人生に深みをもたらす
その⑨人間関係の力学を理解し、活用する
●本記事は『ゆほびかGOLD』vol.22の記事を再編集したものです。
①仲間の存在が人生の幸福感を左右する
幸せな人生を送るために、いちばんたいせつなものは何でしょうか。
長年、幸せの研究を続ける中で、それは、お金でも、社会的地位でもなく、「人間関係」だということがわかってきました。
特に、身近な家族との関係が、人生の幸福度を大きく左右することに気づいてからは、「家族の和解」というテーマに取り組んできました。
その取り組みの中で、わかったことがあります。
幸せに生きるためには、家族と同様、友人や仲間の存在が欠かせない、ということです。
試しに、「今いちばん楽しいのはどんなとき?」と尋ねてみると、「家族と過ごす時間」を挙げる人と同じくらい、「友だちと盛り上がっているとき」という回答が多いものです。
20代の初めごろ、私は、アメリカの老人ホームに、長期間滞在したことがあります。そのときも、人生の大先輩たちに「いちばん楽しかったこと、苦しかったことは何ですか」と尋ねてみました。
すると、仲間と旅行したことやワイワイ騒いだことのほうが、仕事で何かを達成したことよりも楽しい、という人がほとんどでした。
利害関係がない仲間との楽しい時間が、実はすごくかけがえのないものだということに気づきました。
70代、80代のかたが、目を輝かせて、少年・少女時代のことや、部活の思い出を話す様子が印象に残っています。
野球が楽しかったとか、かくれんぼが楽しかったとか……みんなで何かをやるのが、人は楽しいと感じるのかもしれません。
人間は、群れを作る動物なので、「グループの中で楽しい」ということは、不思議なほど、人生の幸せにつながるようです。
ところが、実際には、人間関係では、楽しいことがたくさんある一方で、残酷なことも起こります。「学生時代なんて、二度と思い出したくない」という人だっているでしょう。
人間関係で苦労した経験は誰でもあると思います。それは、たいせつなことであるにもかかわらず、人間関係の知恵を体系的に教わる機会が、家庭でも学校でも職場でも、ほとんどないからです。
本連載では、楽しい仲間を作るにはどうしたらいいか。そのヒントをご紹介していきましょう。
(次回その②に続きます)