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【コロナ後遺症】味覚・嗅覚障害に有効なセルフケア発見「太ももトントン」

消化機能への負担とコロナの関連性

胃腸がパンパンに張っている人は、新型コロナウイルス感染症にかかりやすい。これまでの経験から、私はそう考えています。

これに最初に気がついたのは、2020年4月。コロナ禍が始まって間もない頃でした。気づくきっかけとなったのは、コロナにかかった知人からの相談です。

その時点で彼は入院しており、「酸素飽和度(酸素を体内に取り込めているかを示す数値。正常値は96~99%)が、91%まで低下した」とのこと。「90%以下になったら人工呼吸器になるけど、それはいやだから何とかできないか」と言うのです。

入院中ですから、施術することはもちろん不可能です。そこで、私が提案したのが、断食でした。
なぜなら、彼は体重100㎏越えの大食漢で、いつも胃腸はパンパンに張っていました。施術でその状態を改善するだけで、体調がよくなるのをこれまで何度も見てきたので、今回も効果があるのでは、と思ったのです。

この推測は大当たりで、断食によって酸素飽和度は94~96%まで改善。その後も、食べると酸素飽和度が低下し、断食すると改善することを何度か繰り返していましたが、それ以上、悪化することなく、無事に退院できたのです。

その様子を見て、私は消化機能への負担と、コロナ感染およびその悪化には関連性があるのでは、と考えるようになりました。
これ以降も、コロナウイルスに感染したことのある人が多数来院され、体の状態を観察した結果、「この推測は正しい」と確信したのです。

脂っこい物の食べ過ぎは胆のうが腫れる原因に

コロナ感染後の後遺症として、よく知られているのが、味覚障害と嗅覚障害です。これもやはり消化機能への負担と関連があります。

感染後に味覚や嗅覚に異常が現れる人の体には、ある共通点があります。それは胆のうが腫れていること。 

胆のうとは肝臓の近くにある小さな臓器で、脂肪を分解する胆汁を溜める役割をしています。
ちなみに、脂っこいものや辛いものを食べたときは、誰でも胆のうが一時的に張って硬くなります。これは、胆のうに負担がかかるためと考えられます。

この胆のうの腫れを施術でとると、味覚・嗅覚障害はよくなります。実を言うと、コロナ流行前から、このことには気づいていました。

そもそも、舌は胆のうと関連する部位です。例えば、ろれつが回らない人の体を診ると、胆のうが腫れているケースが多いです。そこで、その腫れをとる施術をすると、たちまち滑舌がよくなります。

例えば、来院時に「はまら先生」としか言えなかった人が、施術後、「はまだ先生」とハッキリ発音できるようになるのです。

味覚障害も同じです。
コロナ以前から当院には「水を苦く感じる」など、味覚の異常を訴える患者さんが来られていました。そういう人も胆のうが腫れており、それをとることで、改善していきました。
この経験をコロナ後遺症の味覚・嗅覚障害に試してみたところ、やはり顕著な効果が見られたのです。

骨に響くように叩くのがコツ

今回は、コロナの後遺症による味覚・嗅覚障害がある人にお勧めの、胆のうの腫れをとるセルフケア、「太ももトントン」をご紹介します。

太ももには、大腿骨という大きな骨があります。その骨に響くようにして、太ももの外側からげんこつで叩くだけの非常に簡単な方法です。
太ももの外側には「胆経」という経絡(生命エネルギーの通り道)が通っています。そこを叩いてほぐすと、胆のうもほぐれます。

確実に効かせるコツは、骨に響くように叩くこと。そのためには次の2点を心がけるといいでしょう。

1点目は、叩く手と反対側の手で、太ももの内側を支えることです。外側から叩くと、その衝撃で、若干ですが太ももが内側に倒れます。それによって、叩いた力が逃げてしまうので、それを防ぐために太ももを内側から支えましょう。

2点目は、叩くときにげんこつを後ろに引く動きを意識することです。実際にやるとわかりますが、そうすると反発力を生かして、胆経の筋肉を緩めることができます。
叩く回数は「太ももを4つの部位に分けて、1カ所を10回ずつ」が目安です。なお、太ももトントンを行う前後で、次の2点を行うことをお勧めします。

❶ 早口言葉を言う
 滑舌のよし悪しを比較します。胆のうが軟らかくなれば、舌の動きが軽やかになります。
❷ みぞおちの右下を触り、張りぐあいを確認する

ここを押すと張りを感じるなら要注意

みぞおちの右下は胆のうの状態が反映されるゾーンで、ここが軟らかくなっていれば、胆のうの腫れも取れたと判断できます。

太ももトントンを行うと同時に、カレーや麻婆豆腐などの辛い物、から揚げや天ぷらなどの脂っこい物は控えましょう。

味覚・嗅覚障害が厄介なのは、いったんよくなっても、食事で消化機能に負担がかかるとぶり返しやすい点にあります。これらをしっかり実践すれば、たいていの場合、3週間ほどで完治するようです。
太ももトントンは、脂っこいものや辛いものを食べた後の下痢にも効果的です。またこれらの料理を食べると胃もたれするという人も、食後に実践しておくとよいでしょう。

滑舌がよくなれば効いている証拠!
「太ももトントン」のやり方

始める前後でやってみよう!

「なまむぎ、なまごめ、なまたまご」を3回、
「あおまきがみ、あかまきがみ、きまきがみ」を3回
始める前に、みぞおちの中央から右側の肋骨に沿って、指幅3~4本分下にいったところを押さえる。
その硬さを確認
※このゾーンを触りながら早口言葉を言うと、舌の動きがよくなる
ひざを立てて座る。片方の手はひざの内側を押さえる
ひざから太もものつけ根に向けて、4カ所に分けて10回ずつ叩く
この記事は『ゆほびか』9月号に掲載されています。