ゆほびか ゆほびか
  • 文字サイズの変更
  • 大
  • 中
  • 小
  • SNS
  • twitter
  • facebook
  • instagram

【麹の効果】 ストレスや湿気や暑さによる不調も一掃!夏に摂取するメリットを解説

WHOも認める安全性!日本にだけ存在する麹菌

私・山元正博と息子の医師・文晴は、鹿児島県で100年以上続く麹屋の三代目、四代目として、麹の研究をしています。

創始者の河内源一郎は、黒麹の一つと、白麹(河内菌)を発見し、香りがよく、まろやかで甘口のおいしい焼酎造りに貢献したこともあって「麹の神様」と呼ばれていました。

現在、私たちは麹を多方面に活用しようとさまざまな研究をしています。その過程で、麹のすごい力を日日、見せつけられています。

麹菌とはまさに、日本の奇跡、神様が日本にくださった贈り物なのです。今回、その魅力を、皆さんにお伝えしたいと思います。

そもそも、麹とは何かご存じでしょうか。
麹は、「麹菌」という微生物で、カビの仲間です。蒸した米に麹菌を生やせば「米麹」になります。

「カビなんて食べてだいじょうぶなの?」と思うかもしれませんが、麹菌を遺伝子解析したところ、カビ毒を出す遺伝子そのものがない、ということが判明しています。

通常、カビは人間の体に悪影響を及ぼす毒性を持っているものが多いのです。ところが麹菌は、まるで遺伝子操作をされたかのように、毒を出す遺伝子そのものがないのです。

余談ですが、麹菌の一つ、白麹は学名を「アスペルギルス リュウキュウエンシス ヴァルカワチ」と言います。

ところが海外では「アスペルギルス」と名の付くカビは、すべて病原菌の代表のようなものばかりで、中には致死性の強い毒を持つカビもあります。
麹を海外で培養しようとしても、毒性のアスぺルギルスが紛れ込んでしまい、その麹を使ってみそを作って食べたら、おなかをこわしたという実話もあります。

アメリカの厚生労働省に当たるFDA(食品医薬品局)や、国際連合のWHO(世界保健機構)でも、麹菌の安全性はお墨付き(※1)。日本にのみ存在する麹菌は、今や「国菌」に指定されています。

※1 白麹と黄麹のみ

うだるような暑さやストレスに麹が効く

私の住んでいる鹿児島県は、夏になると、それこそ、うだるような暑さになります。

私も若いときは現場で麹づくりをやっていましたが、当時は現在のように機械化されていません。湿度が100%、温度32℃の麹室(外気から隔てて内部の温度を一定に保てる構造にしたところ)が六室あって、一室に500枚ある麹箱をほとんど一人で管理していました。

当然、滝のように汗をかきますが、室の入り口に生の焼酎を置いておくんです。そして休憩のときに、おちょこ一杯をくいっと飲む。すると汗がピタッと止まる。

お酒が弱い人は無理ですが、ガブガブ飲むわけじゃないし、こうしてちょっとひっかけるだけで、汗が止まるということを、昔から知っていたんでしょうね。農家の人も、休憩時にはこうやっている風景が、以前はよく見られたものです。

お酒を飲むと脱水症状になると言われていますが、そんなことにはならない。理由はわかりませんが、焼酎に含まれる「麹」が間違いなく、その一助になっていると、私は考えています。

また、私の研究所では、家畜の飼料に麹を入れてさまざまな実験や観察を行っています。例えば、牛は夏の暑さに弱い動物で、真夏にはオスの牛が水場を独占していたり、ストレスでモーモー鳴いていたりする姿が見られます。

牛が最もリラックスしているのは、ゴローンと寝て、起きているか寝ているのか判別がつかないような状態のときです。

麹入りのエサを牛に与えると、夏場のいちばん暑いときでもゴローンと寝そべって、日がな一日、ダラダラ過ごすようになります。つまり、ストレスがない状態になります。

麹の作用で動物たちもストレスが消え、肉質もグンとアップ

イラスト/正田えりこ

ストレスホルモンが麹で抑制される

このような、暑さと湿気がもたらす疲労感やだるさに加えて、精神的なストレスにも、麹が役立つことが研究で判明しています。

鹿児島大学の林國興教授とブロイラー(※2)を使って行った共同研究では、麹菌が入ったブロイラーの腸では、「ブトキシブチルアルコール(以下BBA)」が産生され、このBBAが脳下垂体に作用して、ストレスホルモンの分泌を抑制することがわかりました。

※2 短期間で急速に成長するよう品種改変された食用のトリ

さらに、ストレスホルモンの分泌が抑制された結果、筋肉の分解が抑制され、同じ量のエサを食べても、麹菌入りのブロイラーは筋肉が大きくなったのです。なお、エサに混ぜる麹の量は、わずか0・05%です。

豚も同様に、飼料に麹を混ぜると、ストレスが激減します。

豚は密飼いをするとストレスがたまって、一緒にいる豚の尻尾を噛んでしまいます。尻尾を噛まれた豚はたまったもんじゃありませんから、当然、大騒ぎをします。そのため、通常の養豚場では、生まれたときに豚の尻尾を切り落としてしまうのです。

しかし、飼料に麹を混ぜて飼っている豚は、ストレスがないため尻尾噛みをしません。そのため、尻尾を切り落とす必要がないのです。

地球上の生き物で、いちばんストレスがたまっているのは人間じゃないでしょうか。肉体的な健康もたいせつですが、精神的に健康というのは、自分はもちろん、周りの人にとっても重要です。

私の研究では、食事量の0・05%という微量の麹で、ストレスホルモンの分泌を抑制するという結果が出ています。麹を毎日、ほんのちょっと食べるだけでいいのです。

それでは次の記事で、どのように麹を摂取するとよいかを、文晴からご説明いたします。

この記事は『ゆほびか』2022年8月号に掲載されています。

関連記事