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【麹の摂り方】少量で健康力アップ!女性だけでなく男性の「更年期障害」も改善

幼少からのぜんそくもいつの間にか快癒

麴のよさは、大量の酵素が含まれていて、その酵素が食べ物をおいしくしたり、健康効果を発揮したりしてくれるところにあります。

さまざまな研究から、麹をとることによって、下のような健康効果が得られることがわかっています。

これらはものすごいことですが、私自身が感じている麹のいちばんの長所は、「健康のベースが一段階上がる」ということです。

私は子どもの頃からぜんそく持ちで、20代の半ばにも発作を起こしたことがありました。

それが医師になり、外科医として勤務していましたが、麹の魅力に気づき、麹の世界に戻ってきてから、いろいろな形で麹をとっていたところ、いつの間にかまったく症状が出なくなったのです。

それから今年の初めのことになりますが、遠方から来客があり、10人ほどで集まって会議をした後、コロナの陽性者が出たことがありました。毎日抗原検査を受けたのですが、10人中9人が次々とコロナの陽性反応が出る中、私だけは何度やっても陰性。もちろんPCR検査も陰性でした。

これはおそらく、毎日、麹室に入って麹にまみれているからだと思いました。室から出てくると、耳の穴からゴッソリ麹が出てくるほど、麹にどっぷり浸かった毎日を送っているので(笑)。

さすがに普通に暮らしていて、ここまで麹にまみれることは不可能ですが、冒頭の健康効果を得るには、麹を食事量の0・05%とればよいことがわかっています。

それをどうとるかですが、麹のよさの一つである酵素は、熱に弱く、65℃以上では壊れてしまいます。市販の塩麴や甘酒は殺菌処理をされているものがほとんどです。麹の恩恵にあずかるには、麹を買ってきて、塩麴や甘酒、麹水を手作りするのがいちばんです。

これは、1日の食事量を1~2㎏と換算すると、麹単品として5~10gという計算になります。
甘酒なら50㎖(大さじ3杯強)も飲めばじゅうぶんです。塩麴なら、ドレッシングとして使うか、小さじ2分の1くらいの量をペロッとなめてもよいでしょう。
手っ取り早く、もっと大量の麹を摂取したいという人には、「麹水」がお勧めです。

麹水の場合は、500㎖の水に対し、米麹を100g入れ、8時間ほど冷蔵庫で置いてから飲みます。抽出液なので、麹のよさがそのまま摂取できます。ちなみに、麹マニアのかたでしたら、倍量の麹を入れるのもお勧めです。

麹水にする場合は、黄麹よりも、白麹がお勧めです。臭くなりませんし、何より、白麹にはクエン酸が入っているので夏の疲労感やだるさの解消に非常に役立ちます。ダイエットにも有効ですし、利尿作用があるので、むくみも解消します。

ちなみに、たくさんおしっこが出たら、その分、きちんと水分をとるようにしてください。その際、塩分も排出されるので、塩麴で塩分を補うとよいでしょう。

ビタミンB群が豊富な甘酒は「飲む点滴」

ところで、甘酒は糖分が多いので、「太らないか?」「糖尿病の人が飲んでもだいじょうぶか?」というご質問をいただくことがあります。

これについては、「飲んでもだいじょうぶですが、飲みすぎたらいけません」とお答えしています。糖分なので、飲めば血糖値は上がりますし、飲みすぎれば太るでしょう。

しかし、甘酒の甘みは、オリゴ糖による自然な甘さです。オリゴ糖は腸内細菌の中でも善玉菌のエサとなるので、腸内環境をよくする働きがあります。飲み始めて数日で、便の状態が劇的によくなるのを実感できるはずです。

また、甘酒は「飲む点滴」と言われることがあります。これは、熱中症や脱水症状のとき、または元気がないときに点滴に入れるビタミンがビタミンB群であること、そして麹菌が産生するビタミンは、ビタミンB1、B2、B6などのビタミンB群が多いことからと考えられます。
ビタミンB群は豚肉などにも多く含まれますが、甘酒の優れている点は、胃腸に負担をかけずに体力を回復できる点です。

どの栄養もそうですが、口からとって胃や腸で吸収するほうが圧倒的に高効率です。実は点滴よりも、口からとるほうが、栄養吸収効果は高いのです。日頃から、適量の甘酒を飲んでいれば、腸内環境が整い、熱中症や脱水症、夏バテなどの対策になります。

自律神経を整え更年期障害にも役立つ

前項で、麹がストレスの抑制に有効とありましたが、このプロセスは、更年期障害などの症状の改善にも役立ちます。

更年期障害は、加齢によって女性ホルモンの分泌量が減ることで、体や精神面に不調を及ぼす症状のことです。ホルモンを出すように指令を出しているのは、脳の視床下部という部位で、自律神経(※)の指令を出す場所でもあります。

※血管や内臓などの働きを調整する神経

ホルモンと自律神経は、お互いに影響し合っていて、ホルモンの分泌が乱れると、自律神経もバランスを崩しやすくなります。そして、自律神経のバランスを崩す大きな原因の一つに、ストレスがあります。

そんなときに麹をとると、ストレスホルモンの分泌が減り、その影響で更年期障害も改善するのです。
今は男性にも、更年期障害があることがわかっています。手軽な麹で解決していただきたいと思います。

更年期症状も大改善して夫婦円満にも役立つ

イラスト/正田えりこ


次の記事からは、塩麴や甘酒の作り方と、それらを使ったレシピを、麹が大好きという料理研究家・澤田美奈先生がご紹介しています。ぜひご活用ください。

この記事は『ゆほびか』2022年8月号に掲載されています。

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