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【納豆の健康効果】世界一の健康食品!血栓を強力に溶かし骨粗鬆症を防ぎ美容にもいい

納豆には血栓溶解作用があることを発見

私は1980年代にシカゴで血栓症と酵素の研究を行っていました。

アメリカでも納豆を食べていた私は、ある日、「たんぱく質の多い納豆で血栓溶解のテストをしてみよう」と思いつき、シャーレ内の人工血栓の上に納豆を置いてみました。

すると、2時間後には血栓が2㎝以上溶けていたのには驚きました。

この実験で、納豆には血栓を溶かす酵素が含まれていることが判明し、この酵素を「ナットウキナーゼ」と命名したのです。

その後、実際に人に納豆を食べてもらって実験したところ、納豆が血栓を溶かし減少させていくこともわかりました(下グラフ参照)。

医療現場では、ウロキナーゼという血栓溶解剤を使用しますが、このウロキナーゼよりナットウキナーゼのほうが強力に長時間にわたって血栓を溶かすことも判明しています。

副作用がなく、手ごろな価格で手に入る納豆は、恐るべき健康食材と言えるでしょう。

また、ナットウキナーゼを摂取すると、脳に詰まった血栓を溶かすt‐PAという物質が多く産出されます。いわゆる〝血液サラサラ〟の作用で、脳卒中や心筋梗塞の予防に役立つでしょう。

さらに、納豆の香気成分であるビラジン化合物が、血液中の血小板を固まりにくくすることも、血液サラサラ作用を高めてくれます。

最近では、ナットウキナーゼが新型コロナウイルス表面のスパイクたんぱくを分解するという研究発表がなされ、抗ウイルス作用、抗菌作用も期待されています。

ナットウキナーゼの一定摂取で、ナチュラルキラー細胞の活性化による免疫力向上も確認されており、がんを予防する効果も考えられます。

さらに、ナットウキナーゼはアルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβ繊維の分解も行うなど、納豆の健康効果は計り知れません。

納豆は骨を丈夫にする

納豆は、骨を丈夫にするビタミンK2が世界一豊富に含まれる食品。研究室の学生に納豆100gを食べてもらい、血漿中のビタミンK2の量を調べた。
(左上グラフ)納豆を食べた人だけ、18分後、ビタミンK2が著しく増加する反応を示した。
(左下グラフ)薬剤としてのビタミンK2は脂溶性だが、納豆に含まれるビタミンK2は水溶性。そのため、納豆を食べた日は、薬剤(純粋のビタミンK2)でとるより多くの量が検出された。

納豆のビタミンK2が骨粗鬆症を予防

女性は閉経後、女性ホルモンの減少によりカルシウムが不足し、骨粗鬆症のリスクが高くなります。

また、高齢になるとビタミンK2が不足し、骨が弱くなることもわかっています。ビタミンK2は、カルシウムを骨に定着させる働きがあり、不足すると骨がもろくなるのです。そのため、ビタミンK2は骨粗鬆症の治療薬としても認められています。

このビタミンK2が豊富に含まれる唯一の食材が、納豆です。実際、骨粗鬆症の女性が週に1回納豆を食べることで、骨量が増えたという結果も報告されています。

このように、納豆は週1回の摂取でも、長時間にわたってビタミンK2を持続し続けることができます。

また、納豆には女性ホルモンのエストロゲンと同じ働きをするイソフラボンが多く含まれています。

閉経後の女性や高齢者のかたは、週1回でもいいので、納豆を食べていただきたいと思います。

夏見さんの血圧の低さは納豆パワーの可能性がある

夏見奈央子さんは1日5パックの納豆を食べられるそうですが、40g×5パックと計算すると200gです。納豆は1日1〜2パックの摂取が目安ですが、多量摂取しても副作用の報告はありません。
一方、多量に食べたからといって、納豆の健康効果がアップするわけではないです。

また、夏見さんは血圧が低いそうですが、ナットウキナーゼは血圧を下げる作用もあるため、高血圧予防になっている可能性もあります。

納豆には美肌作用もあります。ナットウキナーゼは、シミの原因となるメラニンを作るチロシナーゼを阻害する働きがあるため、シミ予防が期待できるのです。

夏見さんが美肌をキープされているのは、こうした納豆の作用かもしれません。

今回ご紹介されている「なっ豚そぼろ」は、豚ひき肉を炒めたあと、粗熱を取ってから納豆と合わせているのがポイントです。

ナットウキナーゼは、70℃を超えると働かなくなるので、納豆を加熱するとせっかくの健康作用を享受できなくなります。そのため粗熱を取って混ぜるという工程はとても重要になってきます。

一方、凍らせるなど0℃以下になっても、ナットウキナーゼの作用に影響はありません。

外国人は、納豆が苦手な人が多いですが、匂いがない納豆が開発されたり、納豆の進化は続いています。

まだまだ納豆の効能についてはわかっていないことも多く、新しい発見も今後出てくるかもしれません。

この記事は『ゆほびか』9月号に掲載されています。

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