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【酢キノコ】お酢と調味料でさっと煮るだけ!腸を活性化し美肌も促進

料理家 井澤由美子

旬のキノコを数種類、お酢と調味料でさっと煮るだけ!酢キノコの作り方

「酢キノコ」は栄養価が高く、健康・美容効果を期待できます。

 酢には、内臓脂肪を減らし、血糖値の上昇を抑え、腸を刺激して排便を促すなどの作用があります。キノコは、食物繊維が豊富で、腸を活性化し、ビタミンやミネラルが豊富です。私はこれらを組み合わせた酢キノコを、美肌になる「スーパーキノコ」と呼んでいます。

 酢キノコを作る際は、キノコを数種類合わせると、複雑なうまみと食感が生まれて、おいしくなります。

 キクラゲは、食物繊維が特に豊富で、私のお勧めです。黒キクラゲはアンチエイジングに最適。白キクラゲは「貴婦人の美容食」と言われ、美肌成分が多く含まれています。

 キノコは、洗うと風味が逃げてしまうため、汚れが気になるところがあれば、刷毛やペーパータオルで軽く拭く程度にしましょう。また、キノコは手で裂き、包丁で切るのは石づきなどの硬い部分だけにしてください。「キノコは金気を嫌う」と言われ、包丁を使うと風味や味を損ねますし、手で裂いたほうが、キノコに味が染み込みやすくなります。

 そして、調理する前に、20分以上天日干ししましょう。私は天日干ししたキノコを「お日様キノコ」と呼んでいます。キノコは、日光に当たることで、カルシウムの吸収を高めるビタミンDが増加し、骨を強くしてくれる作用が期待できます。

 酢は、お好みで米酢、リンゴ酢、黒酢などをお使いください。甘味は、きび砂糖かハチミツで、トウガラシを加えることで辛みもプラスしています。コンブを加えると、うまみが増すだけでなく、カルシウムを摂取できます。カルシウムは、酢の酢酸と合わせると、体に吸収しやすくなることがわかっています。

「酢キノコ」は、そのまま食べてもおいしいのですが、料理にも大活躍します。キノコのうまみや栄養は、汁に溶け出ているので、どうぞ汁ごとご活用ください。

 酢キノコは、冷蔵庫で保存すれば、3~4日は日持ちします。

「酢キノコ」は肌のシミ・しわ・たるみの原因物質を抑え老けない肌を作る

昭和大学医学部教授 山岸昌一

食材、調理法で糖化を減らし若々しい肌を目指す

 AGE(終末糖化産物)とは、老化と病気に大きく関係している物質です。体の中でたんぱく質に糖がくっつき、体温で温められて、こげついていくことでAGEが作られ、老化が進んでいきます。

 血糖値の上昇もAGEを作り、さまざまな病気の原因になります。

 AGEが皮膚にたまると、肌はハリを失い、たるみやしわが増えます。紫外線よりもAGEの蓄積がシミを作ることもわかっています。

 このAGEは食事にも含まれ、7%くらいが体に吸収されることがわかっています。そのため、食材や調理法で異なるさまざまな料理のAGE値を算出したうえで、1日の食事全体で老化防止につながる摂取目安を策定しています。しかし、現在、日本人の2人に1人はこの数値を超えた食生活をしており、老化が速まることが懸念されます。

 今回紹介されているキノコや酢は、AGEの抑制に役立つ食材です。マイタケなどのキノコには、αグルカン、βグルカン、キチンなどの食物繊維が含まれ、キチンはAGEとくっつき、便として排出する作用があります。血糖値の上昇も抑えてくれる食材です。

 酢にも、血糖値の上昇やAGEを抑える働きがあるので、キノコと酢という組み合わせは、AGEを抑える相乗効果で、肌の老化防止が期待できるのです。

 また、高温で長時間調理するほどAGEは増えます。そのため、揚げ物や焼き物中心の食生活をしていると、老化が進んでしまいます。

 一方、肉を焼いたり揚げたりする前に、酢やレモン、ワインビネガーなどの酸味の強い液体で下ごしらえすると、加熱した際に作られるAGEを抑えられます。酸性の条件下では糖とたんぱく質の反応が抑えられ、AGE化が起こりにくいのです。

 酢キノコを上手に活用して、老けない肌づくりを目指してください。

キノコは病気を遠ざけカゼ・ウイルスで弱った体の回復に効果を発揮する!

玉川大学農学部教授 吉村義隆

臓器に長期間とどまって活性酸素を除去してくれる

 キノコには「エルゴチオネイン」という抗酸化物質のアミノ酸が含まれています。

 エルゴチオネインを摂取すると、肝臓や腎臓、肺といった重要な臓器に長くとどまり、肌の酸化や老化、病気の原因となる活性酸素を除去する作用があります。

 同じ抗酸化物質であるビタミンCやビタミンEとの違いは、臓器に蓄積されて、長期間、解毒をしてくれるという点でしょう。

 さらに活性酸素の中で最も悪玉であるヒドロキシルラジカルを素早く除去することもわかっています。

 エルゴチオネインは、キノコに多く含まれ、種類別では、タモギダケ、特にかさの部分の含有量が格段に多いので、あまり知られていないキノコですが、スーパーで見かけたときにどうぞ使ってみてください。

 1日に7~10㎎程度のエルゴチオネインを摂取することが理想ですが、エリンギだと1・5袋、エノキだと半袋におおよその量が含まれています。

 調理によってエルゴチオネインが減ることはないですが、水分に溶け出すため、今回の酢キノコのようなメニューでは、汁もしっかりいただくことをお勧めします。

 また、今年は新型コロナウイルスがし、これからの季節はカゼやインフルエンザが気になります。

 エルゴチオネインにウイルスを除去する作用はありませんが、ウイルスによって炎症が起き、活性酸素が増えたときに、それらを抑える働きが期待できます。

 抗ガン剤での治療の際に、活性酸素が正常な細胞に与えるダメージを抑えてくれる可能性もあります。

 エルゴチオネインは、キノコのほか、甘酒にも含まれています。

 毎日キノコを食べると、エルゴチオネインの抗酸化力を蓄えられます。肌の老化防止や、病気になりにくい体づくりにお役立てください。

次回は酢キノコレシピをご紹介します。