母にトントンされるようなハンドパンのリズム
『ゆほびか』2021年9月号の「よく眠れる焚き火音楽」企画で、焚き火の音とハンドパンの音を合わせたダウンロード音源をご紹介しました。そのときにハンドパンの音色を聴いて以来、私はハンドパンのファンになり、たまに聴くようになりました。今回の付録「焚き火の癒し音楽CD」も、産業医の立場からも見てもぜひお勧めしたい、すばらしいアイテムです。
ハンドパンの音は、テンポがゆったりで落ち着きますし、打楽器特有の振動が体に響くのも心地よく、心身がリラックスできます。
幼い頃、お母さんにトントンしてもらいながら寝ついた記憶はありませんか? ハンドパンの優しい響きには、それに似た雰囲気があり、心地よく入眠できると思います。私も聴きながら眠くなりました。
ハンドパンの音色を聴きながら、目を閉じてボーッとしているだけでも、脳波や自律神経をリラックス状態に導き、脳を休める効果が得られます。聴いた後は、頭がスッキリするのを感じられるでしょう。
焚き火のはぜる音が自律神経を整える
そして、焚き火の音。焚き火というと、誰もが火が燃えている情景を思い浮かべると思います。この寒い冬に、パチパチッと燃える焚き火の様子を思い浮かべるだけでも、なんとなくホッと暖まるような気持ちになるのではないでしょうか。
また、焚き火のパチパチッと火がはぜる音には、「1/fゆらぎ」効果があると言われています。これは簡単に言うと、規則性と不規則性が適度に組み合わさっているということです。
例えば、私たちの心臓の拍動などの生体リズムも、ある程度の範囲で規則的ですが、常に揺らいでいます。そのため、1/fゆらぎの含まれる音に、人体はシンクロして、心地よさと安らぎを覚えるのです。
人は、仕事や日々の生活の中でストレスを受け、知らず知らずのうちに心身が緊張しています。これは自律神経のうち、交感神経が優位になっている状態です。
1/fゆらぎの周波数を浴びると、副交感神経が優位になり、緊張がほぐれ、心身がリラックスしてきます。自律神経が整うことで、血流がよくなり、心が安定して、免疫力向上にもつながります。
焚き火の暖かなイメージと1/fゆらぎの効果、さらにハンドパンの音色が合わされば、不安やイライラ、うつな気分なども解消し、心身をリフレッシュできるでしょう。
CDを流すだけで自然の中にいるように
日本人は昔から、自然と調和する文化の中で暮らしてきました。現代のように人工的な環境にいればいるほど、人間の脳は本来の自然に戻りたい、自然との触れ合いを求めたいという欲求が強くなります。この欲求が叶えられないと、やがて心身に不調が現れるのです。
体が欲することをやるのが健康の秘訣。自然音が心身によいと言われるのは、ここにも理由があります。
本来であれば、たまには大自然のあるところに気分転換に行ければよいのですが、忙しい現代では頻繁にそんな時間を作れません。
そんなとき、「焚き火の癒し音楽CD」を流すだけで、自然の中にいるのと同等の効果が得られます。
ちなみに、私は浴室で電気を消し、キャンドルを立てて、少しぬるめの湯につかりながら聴きます。脱衣所にプレーヤーを置き、CDをリフレインにセットして流すのです。キャンドルの炎のゆらぎが焚き火のイメージと重なり、焚き火の音がよりリアルに感じられ、心身が最高にリフレッシュできます。
皆さんも時間があるときは、ぜひこの方法を試してみてください。