即興演奏には、聴き手の心を解放する力がある
馬場存(ばばあきら)医師は、精神科医で、音楽で患者さんの病を癒やす音楽療法士で、心理学や音楽療法を教える大学教授です。そしてなんと、大手レコード会社からピアノのソロアルバムを多数リリースしているプロの音楽家・演奏家でもあります。
そんな馬場医師と編集部が知り合ったのは、今年1月のこと。そのときは馬場先生に、『ゆほびか』2021年4月号「神々の楽園音楽CD」特集内で、「音楽に人を癒やす効果があるか」という難問を、医学的な視点から解説していただきました。
その原稿をやりとりしているなかで、馬場医師がキース・ジャレットのピアノ即興演奏が音楽を志す原点の一つになったことや、いつかそんな演奏をしてみたいという思いなどを知りました。
即興演奏(インプロビゼーション)とは、楽譜のない、その場で創作する演奏形態です。1音1音、演奏者は探るように弾き、聴く側もその1音1音を注意深く聴き、心を預けていく。聴き手と音楽は、次第に一体化する。すると、いつしか違う物の見方や考え方ができるようになり、心が解放されていくことがあると、馬場医師は語ります。
そこで、「コロナ禍でストレスが溜まっている人々の心を和らげる付録CDを、先生のピアノ即興演奏で作りませんか?」とお願いしました。
馬場医師はご快諾され、それから、なんと40日間もピアノに向かい、即興演奏を録音してくださったのです。1テイクで完成した曲もあれば、30テイク以上録った曲もあるといいます。
そうしてできあがったのが、『ゆほびか』2021年7月号の付録CD「人生に光が満ちるピアノCD」です。全11曲、収録時間は61分55秒!! まさに渾身のフルアルバムです。
「グッスリ眠れて、5年ぶりに朝食を食べた」との声も
「即興演奏は、聴き手と演奏者が深いところで触れ合うことができ、人生のリアルな時間を共有できる音楽です。聴き手は、リアルな音の世界に引き込まれ、いつしか演奏者と心を同じくしていきます。
そして、音楽と一体となり、何らかの超越した世界を共有したり、苦しみを乗り越えたりして、新たな心の在り方がもたらされるようになり、周りの世界や人生に対する新たな感覚を得る――そんな過程を辿ることができるのです。
音楽を聴きながら、これまで忘れていたことを思い出したり、空想の世界で遊んだりすると、心の奥に眠っていたエネルギーが引き出されることがあると思います。
すると、見える世界が変わり、生まれ変わったように感じ、『何か新しいことをやってみよう』『人生においてもっと大切なことに目を向けよう』と前向きな気持ちが生まれることもあります」(馬場存医師)。
実際に、CDに収録した音源で行った2週間の試聴モニターでは、86%の人が楽曲を気に入り、77%の人の気持ちがラクになりました。中には、
「コロナ禍で蓄積したストレスが光のシャワーを浴びているように癒やされた」
「うつがちだったのが回復した」
「恐怖のブロックが外れ、前に進もうと思えるようになった」
「心地よく聴けてイライラや焦りが消失」
「首や肩などの体の痛みが和らいだ」
「聴くと〈考えないモード〉に入る。寝つきもよくぐっすり眠れた」
「日に日にグッスリ眠れるように。しかも朝には食欲が湧いて、5年ぶりに朝食を食べた」
という効果を実感されたかたもいらっしゃいました。
『ゆほびか』2021年7月号の誌面では、馬場医師の解説とともに、お勧めの聴き方や、試聴されたかたがたの体験談も掲載しています。興味のあるかたは、ぜひお手に取ってみてくださいね。