「がんばる」「あきらめない」は心身に最も悪い習慣だった
現代の生活の中では、
「それがあたりまえ」
「美徳だ」
「みんな、そうしている」
と思われているおかげで、どうしても自分に合わないのに「やめる」ことができない習慣が多々あると思います。そうしたことをスパッとやめて、ストレスから解放され、心身を健康に導きませんか?
例えば、「がんばる」「あきらめない」。これらは日常生活の中では「美徳」とされがちです。でも、実は心身に最も悪い習慣なのです。自律神経の研究の第一人者である順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生は、こう語ります。
「心身の健康維持に最もたいせつなのは、自律神経のバランスを保つこと。しかし、一生懸命がんばればがんばるほど、あきらめなければあきらめないほど、不安や緊張が長期間続き、自律神経のバランスが崩れていきます。つまり、『がんばる』や『あきらめない』は、大きなストレスとなり、心身にさまざまな不調が現れてくるのです」(小林先生)
でも、小林先生……。やっぱり、がんばるのをやめたり、あきらめたりすることはみっともなくないでしょうか……?
「私も自律神経の研究を始めるまでは、『あきらめる』ことは敗北で、『がんばる』ことが美徳だと思っていました。しかし、あきらめること、がんばるのをやめることは、決して『負け』を意味しません。今、固執している何かをやめることで、新たな発見があるかもしれません。やめることは『進歩』なのです」(同)
コロナ禍は「やめる」の好機である
何かを「やめる」、そして新しいことを考えたり、始めたりするには、コロナ禍の今が好機だと小林先生は続けます。
「コロナ禍において、一つよかったのは、仕事や生活、人間関係など、『やめる』べきもの、やめても特に問題がないものが可視化されたことだと思います。新しいことを考える時間も取りやすいですし、迷っていたものを思い切ってやめるきっかけを作りやすいと思います」(同)
そうは言っても、これまでがんばってきたこと、我慢してきたことを、スパッとやめるのは難しいかもしれません。無理せず、やめられる範囲で、少しずつ離れてみましょう。
以下では、小林先生がお勧めの「やめる」のうちの3つをご紹介します。ピンときたなら、ぜひ試してみてくださいね。
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まずここからやめてみよう!
自律神経が整う「やめる」習慣
1
「人に好かれたい」をやめる
人に好かれるのはすばらしいことですが、実はこの願望は、何よりのストレスの原因です。「2・6・2」の法則と言うのですが、あなたとソリの合う人は2割程度。合うとも合わないとも言えない人が6割。そして、合わない人間も2割程度は必ずいるのです。合わない人たちに気を遣うのは、重荷でしかありません。そんなことで人生を台無しにしてしまうのはもったいないことです。
2
「ケンカを買う」をやめる
売られたケンカを買うと、100%自律神経が乱れるそうです。交感神経が跳ね上がり、副交感神経がダウンして、血流が悪くなり、内臓の働きも低下します。脳にじゅうぶんなブドウ糖が運ばれなくなるので、仕事の効率は落ち、イライラして、おまけに睡眠の質も下がります。ここまであなたが大損して、買って価値あるケンカがありますか?「売られたケンカは放っておく」のがいちばんです。
3
「朝食抜き」をやめる
朝食には、栄養素を補給するという以上に、「体にスイッチを入れる」という目的があります。小林先生は、仕事が忙しく、調子が悪いと感じたときは、あえて牛丼屋へ行って朝定食を食べるそうです。調子が悪いからと朝食を抜くと、パワーがどんどん落ちて、さらに調子が悪くなる、という悪循環が続きます。しっかり朝食を食べると、悪い流れを自然と断ち切るきっかけができるのです。
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「あきらめずにがんばっていること」「我慢して続けていること」「悩んでいること」―――ぜひ『ゆほびか』を読んで、思い切ってやめてみませんか? その瞬間、あなたの心身は健康になり、新しい道が見えてくるのではないでしょうか。詳しくは、『ゆほびか』2021年8月号の大特集「やめる生き方」にて。