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【手首のアーチ】を取り戻す簡単体操で頑固な痛み・こり・冷えが解消!①

スマホ、ゲーム、パソコンのやり過ぎで手首が悲鳴

 肩こりにいつも悩まされている、五十肩で腕が上がらない、二の腕がたるんでいる、手先が冷える……。

 こうした症状は、「手首のアーチ」が崩れているために引き起こされています。手首のアーチという言葉は、足裏のアーチとは違ってあまり一般的ではありませんから、初めて耳にしたかたもいると思います。  

 実は手首にある「手根骨」という骨は、本来は丸みを帯びたアーチ状に並んでいるのです。このアーチが手首にあることで指がしなやかに動き、太い木につかまる、小さな豆をつまむなど、手を使ったさまざまな動作が行えます。

 ところが、スマートフォンやゲームの操作、それからパソコンでの作業を長く続けると、指先ばかりが酷使されてしまいます。同時に、指を広げたり閉じたりする動きを行わないために、手のひらが開いたままで固定された状態になります。

 その結果、手首のアーチが崩れて、扁平になっていくのです。さらに、手首という細い部分を通っている血管や神経も、アーチが崩れたことで圧迫されてしまいます。手先の冷えは、これが原因なのです。

手首アーチが崩れると不調になるこれだけの理由

 また、手首のアーチの崩れは、「筋膜」のよじれを発生させます。筋膜とは筋肉を包んでいる膜で、筋肉を構成する筋線維の中まで入り込み、くまなく全身に張り巡らされています。

 手のひら手のひら側については親指から腕、胸、首、顔まで、そして手の甲側は小指から腕、肩、肩甲骨まで、筋膜がつながっています。

 指先ばかりを使うといった偏った筋肉の使い方によって、筋膜はよじれてしまいます。すると、その影響はほかの部分の筋膜にも及びます。

 筋膜のよじれをシャツで説明すると、袖にシワが寄った状態に当たります。シャツの袖口をつまんでギュッとシワを寄せたら、肩の部分が引っ張られて窮屈になりますね。同様に、指先で起こった筋膜のよじれは、肩や首、顔にまで伝わります。こうして腕が上がらなくなったり、肩がこったりするだけでなく、二の腕や顔のたるみまで生じるのです。

 手首のアーチの崩れは、スマートフォン操作などを長時間続けている人のほか、美容師など指先をよく使う職業の人にも多く見られます。

 手首のアーチを復活させて、筋膜のよじれを解消させるために効果的なセルフケアが、10年ほど前に考案した「手のひらもみ体操」と「手つぼみ体操」です。

 手のひらもみでは、硬くなった手のひらにしっかりと圧力を加えて、筋膜のよじれをほぐしていきます。手首にアーチを取り戻すために、手のひらに縦の折り目をつけるようにもみます。こうして手のひらがほぐれたら、手を上下に動かす手つぼみ体操で、手首のアーチをキープするための筋肉を鍛えるのです。

五十肩、冷えなど多くの不調が改善した人が続出!

 私が手首のアーチの重要性に気づいたのは、整形外科で理学療法士としてリハビリテーションを行っているときでした。

 手首を手首を骨折したためにギプスで固定した患者さんに、なぜか肩が上がらなくなるという現象が多く見られたことが原因です。

 また、五十肩で肩が上がらなくなってしまった患者さんに、手首のアーチを取り戻す施術を行うと、回復が早くなることもわかりました。

 患者さんたちに試してしてもらうと、「指先だけでなく上半身もポカポカしてくる」という声が多数寄せられたほか、その場で肩こりや五十肩や冷えが改善した例も少なくありません。加えて、指のつけ根や手首などに痛みが起こる腱鞘炎も軽減しました。 

 肩や首のこりは慢性的に悩まされているかたが多いのですが、こっている部分だけをもんでも、楽になるのは一時的です。根本的な原因は手首にあるからです。

 皆さんも一日も早く手首の重要性に気づいて、手首のアーチを取り戻すように心がけてほしいと思います。

(次回②に続きます)