自分では気づいていないかもしれませんが、私たちは誰でも、すごーくがんばって生きています。
「きちんとしなくちゃ」「家族のために」「しっかりしないと」……そんなふうに、自分にプレッシャーをかけているうちに、体は緊張でガチガチになってしまうのです。
肩こりや頭痛、腰痛、ひざ痛から、ネコ背やO脚などの不良姿勢、高血圧やめまいなどの病気も、そういった緊張から起こっていることも少なくありません。
そこで今回は、唱えるだけで緊張をふわっと緩める「魔法のフレーズ」をご紹介します。
緊張が緩んで体がふわっとすると、姿勢は自然と美しくなり、楽に維持できます。ぜひお試しください!
姿勢がよくなる!さまざまな症状に効く!お勧め「魔法のフレーズ」5選
5つの魔法のフレーズをご紹介します。何の努力も必要とせず、ただ唱えるだけなので、ぜひやってみてください。
いつでも、どこでも、何をしているときでもOK。思い出すたび、何度も唱えることをお勧めします。
ダンスのレッスンと同じで、体は学習します。魔法のフレーズを繰り返し唱えて姿勢を立て直すことで、よい状態を保てるようになっていくのです。
心得ておいてほしいことは、頭で考えすぎないこと。現代は情報があふれすぎていて、それが思い込みを作り、体をがんじがらめにする要因にもなっています。
頭の中で吹き荒れる嵐を静けさに変えて、体の声に従えば、本当にラクな状態を手に入れることができます。
魔法のフレーズを唱えることで、自由な体を取り戻し、楽しく快適に過ごせることを願っています。
■魔法のフレーズ①
頭の中で小舟が静かにゆれています。
魔法のフレーズのいちばんのねらいは、思い込みを外して体の緊張を解くことです。それには、頭で考えないことが大事。頭で考えたことは体を縛り、筋肉を緊張させるからです。
特に、大人はいろんな情報で頭がいっぱいいっぱいになり、ささいなことでも「なぜ?」「どうして?」と理屈で考えがち。悩みごとや嫌な出来事があるときも、そのことを四六時中考えていると、頭そのものが緊張して固くなります。
ですから、まずは余計なことを極力考えず、頭自体を軽く、柔らかくしていきましょう。
そのために役立つのが、このフレーズです。頭蓋骨の中心あたりに水面が広がり、そこに小舟が浮かんでいると想定して、「頭の中で小舟が静かにゆれています」と唱えます。
すると、頭の中で小舟をゆらすために、体は自由になろうとロックを外します。余計なことを考えず頭が軽くなると、首や背中への負担が減り、姿勢も自然と整っていくのです。
■魔法のフレーズ②
背骨が鎖のようにゆれています。
このフレーズは、できれば上の図にある「頭の中で小舟が静かにゆれています」とセットで行うことをお勧めします。頭の中で小舟を浮かべた場所から、まっすぐ下に向かって鎖が垂れ下がっていることをイメージし、「背骨が鎖のようにゆれています」と唱えてください。
実際、背骨は棒のように固定されたものではなく、鎖のようにしなやかに動くものです。そのしなやかさがないと、周辺の筋肉が固くなり、 こりやネコ背を招くのです。
背骨は本来、体の中心より背中寄りにありますが、鎖は体の中心ラインを通っているイメージでかまいません。実際には背骨のない場所で、鎖を背骨に見立ててゆらすことで、体の縛りが外れ、解放の方向へと誘導する作用が働くからです。
魔法のフレーズを唱えながら、気持ちよく体をゆらしてもOK。もちろん、ゆらさなくても効果は得られます。頭が軽くなり、背骨がしなやかになれば、体はずいぶん楽になるはずです。
■魔法のフレーズ③
春、アルプスの雪がとけるように、両肩がゆっくり離れていきます。
魔法のフレーズのなかでも特に人気なのが、首まわりの緊張を緩めるこのフレーズです。
首まわりの緊張は、「脱力しよう」「緊張を解こう」と思ってできるものではありません。逆に、がんばってそうしようと思えば思うほど、体は緊張していきます。
そこで、春になって雪解けが進み、ゆっくりと緑の面積が増えていくアルプスの山を想像しながら、「春、アルプスの雪がとけるように、両肩がゆっくり離れていきます」と唱えるのです。
冷たい雪のかたまりが溶けるように、首まわりがゆっくりと広がっていくのがわかるはずです。
両肩は、左右だけでなく四方八方(背中やお尻のほうまで)に広がっていくことを意識すると、より効果的です。まさに、山すそに向かって雪の溶けた場所が広がっていくイメージです。
首まわりの緊張が緩めば、肩こり、首こりはもちろん、自律神経のバランスも整っていきます。
■魔法のフレーズ④
体の中を落ちる滝を、鯉が下から上へエネルギッシュに昇っていきます。
姿勢をよくしようとして、背すじを上に上に伸ばそうすると、体はどんどん緊張していきます。それは、重力に逆らっているからです。人は重力に身を任せたほうが、体の力が抜けます。とはいえ、緩めるだけでは支えられないので、体の芯はしっかりさせる必要があります。
そこで唱えてほしいのが、「体の中を落ちる滝を、鯉が下から上へエネルギッシュに昇っていきます」というフレーズです。
まず、滝の水が流れ落ちるように、下へ下へと向かう重力に身を任せて、体の力を抜きます。そして体の中心で「鯉が滝を昇っている様子」をイメージして、上へ上へと昇る力強いエネルギーを感じることで、体の軸を整えます。体の軸がしっかりすれば、安心して重力に身を任せられるようになっていきます。
このフレーズは、緊張によって体を伸ばすのではなく、体を緩めて自由にした上で軸を整えるので、無駄な負担をかけずに体を起こすことができるようになるのです。
■魔法のフレーズ⑤
吐く息で体が緩み、吸う息で背骨が立ち上がっていきます。
私たちは呼吸をしながら、息を吐くときに筋肉を緩め、息を吸うときに背骨をしっかり立たせる、ということを無意識のうちにやっています。この呼吸のゆらぎに身を任せてさえいれば、基本的に姿勢がくずれることはありません。
ネコ背など姿勢のくずれが気になるかたは、「吐く息で体が緩み、吸う息で背骨が立ち上がっていきます」と唱えながら、数回呼吸をして、その呼吸に身を任せてみてください。自然に姿勢が整うはずです。
余裕のあるかたは、目線・背骨・重心を呼吸に合わせる「おじぎ呼吸」も行うとよいでしょう。
まず、息を吐いて下を見て、吸って前を見ます。次に、息を吐いて背中を丸め、吸って体を起こします。最後は、息を吐いて前に重心をかけ、吸って重心を元に戻します。
おじぎ呼吸は、立って行っても、イスに座って行ってもかまいません。心地よさとゆらぎを感じることができたら、大成功です!