ストレスに柔軟に対処できるようになる技法として、一大ブームになった「マインドフルネス」。「今この瞬間」の体の感覚や気持ちに気づく方法です。身につけると体調の管理や感情のコントロールができるようになり、さらには、集中力や創造力を高めることもできます。何度か試したけど忘れてしまったあなた、気になってはいたけど…というあなたへ、再入門記事をお届けします。
世界を広げる心のエクササイズを、ぜひお試しください。
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①ストレスに折れない心をつくる「マインドフルネス」7つのメリット
②「マインドフルネス」”今ここ”に集中する呼吸法のやり方(本記事)
③呼吸法と併せて実践したい「今ここ日記」
④心をしなやかにしてストレスに強くなる「マインドフルネス」
②「マインドフルネス」”今ここ”に集中する呼吸法のやり方
私がお伝えしている「今ここ集中呼吸」は、いつでもどこでも、2〜4分でできる、とてもシンプルな心のエクササイズです。
「今、ここ」に集中するというのは、心のモヤモヤがスーッと消えて、晴れ晴れするような爽快感があります。また、ときには、自分で気づいていなかったことを発見し、驚いたりすることもあります。
具体的なやり方は以下をご覧ください。
心が晴れる、集中力が高まる!呼吸のマインドフルネス「今ここ集中呼吸」のやり方




※①〜④を2〜4分ほど毎日繰り返します。
※姿勢は立っても座ってもどちらでもかまいません。体と気持ちに集中できる姿勢で行ってください。
●目的
今の自分に気づくことを目指します。意識を集中するのは「今の体の感覚」と「今ここでの気持ち」です。
●ポイント
◎体の動きは、ゆっくり大きく、体の細部まで意識しながら行う。呼吸は、深くゆっくり行う。
◎「今、体はどんな感じ?」「今、気分はどう?」と今の体と気分に意識を集中する。
◎不快な感覚や気分も、がまんしないで、あるがままに受け入れる。
※無理をしないで、自分のペースで行う。
ここで、「今ここ集中呼吸」を日常生活に取り入れるためのポイントをいくつかご紹介しましょう。
初めのうちは、集中できるように、静かで落ち着ける場所や時間を選び、自分の空間を作って行うとよいでしょう。
集中する感覚がわかると、場所を選ばずに、いつでもどこでもできるようになります。仕事のあいまなどに行うのもいいですね。
不快な気分もがまんせずあるがままを受け止める
「今ここ集中呼吸」は、両手をゆっくり大きく動かしながら呼吸します。その目的は「今の体の感覚と気持ち」に気づくことです。
ゆっくりと手を動かし、深い呼吸をしながら、「体は今、どんな感じ?」、「気分は今、どう?」と、体と心に静かに意識を向けていきます。
「肩がだいぶこっているなあ」「胃が重たい」「うーん、理由はよくわからないけど、イライラする」など、不快な感覚や気分もがまんせず、今の自分のあるがままを受け止めます。
実は、この「がまんしない」ということがとてもたいせつなのです。
最近は、心が疲れてうつうつとしているかたがほんとうにたくさんいます。
うつっぽくなりやすい人は、能力があってがまんする力が強い傾向にあります。それが高じて「マイナスの感覚や感情に気づかないようにしよう」と無意識に心が動く癖があります。すると心はしだいに疲れます。
また、うつっぽくなってしまう人や、不安になってしまう人の多くは、過去へのとらわれや将来への不安に縛られています。過去と未来で心がいっぱいになって、「今ここ」がすっぽり抜けているのです。
「今ここ集中呼吸」で、文字どおり「今、ここの自分」に気づけるようになると、こうした状態が改善され、心が疲れにくくなります。
体の動きはゆっくり大きく、呼吸は深くゆっくり

「今ここ」の感覚や気持ちに気づくためには、呼吸するときの体の動きをできるだけ大きくすることです。
息を吸い込みながら腕を頭上に伸ばすときは、腕が天に向かって伸びていくように、ゆーっくり、しっかりと伸ばしきります。
息を吐きながら両手を広げるときも、ゆーっくり、しっかり伸ばしきります。
このように腕を思いっきり伸ばしたり広げたりすると、どこが痛いとか気持ちがいいとかいうような、体の感覚に気づきやすくなります。
呼吸も、ゆーっくり深く吸って、ゆーっくり吐くのがポイントです。
「今の気持ちに気づく」ことが難しいようでしたら、初めのうちは体に意識を向けて、体の感覚に気づくだけでもじゅうぶんです。
行う時間は、2〜4分くらいが目安。長く続けられるようなら、20分くらいやってもかまいません。たいせつなのは長さではなく、集中できているかどうかということです。
呼吸をするときは、目は開けていても、閉じていてもどちらでもかまいません。体と気持ちに集中できるほうで行ってください。
雑念は無理に抑えない。あるがままでいい
とはいえ、集中しようと思っても、「おなかがすいたなあ」「明日、出かけるのが億劫だなあ」などと雑念がいろいろ浮かんで、感覚や気持ちに集中しにくい場合もあります。
しかし、「余計なことを考えちゃダメ!」「集中しなきゃ!」というように雑念を無理に抑えようとすると、かえって集中できなくなります。
そんなときには、「ああ、私って今、こんなこと考えているんだー」と静かに観察しましょう。
集中しにくいときは、場所を変えてみるのもいい方法です。デスクに向かって作業していたとしたら、ベランダに出てやってみる。立ち仕事が続いたあとは、座って行うなど、気分が変わって集中しやすくなるでしょう。
一度身につけるといつでもどこでもやれる
「今ここ集中呼吸」のベースとなるマインドフルネスは、欧米ではすでに効果について多くの実証的な研究報告があり、ストレス対処法の1つとして、医療や教育現場で実践されています。
自転車に乗るのと同じで、この呼吸法は、一度身につければ、いつでもどこでも使えます。ちょっとストレスだなと感じる場面でぜひ試してみましょう。毎日の習慣にすると、心の疲れがたまりにくくなります。
人間関係でなにか嫌なことがあったらすぐに試してみましょう。「今、私はこの人に腹を立てているんだ」とわかれば、1つの選択肢として、少しの間、その場所から離れるということもできます。少し距離を置くと、「この人には、こういうふうに接すればいいんだ」と対応策を考えることもできます。
また、「この人と話をするの、気が重いなあ」というとき、呼吸法をして気持ちを整えてから話しかけてみると、前よりずっとスムーズに会話できることがあります。
こうしたことの積み重ねが自信となり、ストレスに対していつでも柔軟に対応できる、セルフコントロール力が育まれるのです。試してうまくいかなかったとしても、また練習して試せばいいだけのことです。
「今ここ集中呼吸」をどうぞ日々の生活の中で役立ててください。きっと皆さんの心の支えになることでしょう。
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①ストレスに折れない心をつくる「マインドフルネス」7つのメリット
②「マインドフルネス」”今ここ”に集中する呼吸法のやり方(本記事)
③呼吸法と併せて実践したい「今ここ日記」
④心をしなやかにしてストレスに強くなる「マインドフルネス」