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【怒り・イライラが消える】女性僧侶が教える成熟した魂の作り方(その①)

予期せぬ変化が起きると人は怒りを覚えるもの

私は、現役の看護師であり、高野山真言宗の僧侶です。そして、二児の母であり、在宅で療養中の人、またはそのご家族の心のケア(スピリチュアルケア)をする非営利団体「大慈学苑」の代表も務めています。

こうした「ひとり4役」を続けているうちに、多くの人から、多種多様な相談を受けるようになりました。

最近では、「怒り」に関しての質問をよく受けます。

今年の4月以降、私たちの生活は大きく変わりました。新型コロナウイルスの感染を避けるため、自宅で過ごすことが多くなり、そのストレスから、「怒りっぽくなった」「常にイライラして、自分でもどうしていいのかわからない」と、怒りの感情で悩んでいる人が増えたようです。

仏教を開いたお釈迦様は、怒りについて真っ向から反対します。

なぜなら、他者にぶつけたはずの怒りは、ブーメランのように戻ってきて結局は自分自身を傷つける刃になるからです。

そのことを悟ったお釈迦様は、智慧を持ち怒りをコントロールすることこそがほんとうの幸せにつながると説いたのです。

怒りの根本にあるのはとてもシンプルで、「物事が自分の思いどおりになっていない」ということ。

現実が自分の思い描くものから外れたときに、怒りの感情が湧いてくるのです。

このコロナ禍で言えば、2020年のお正月には、「今年も1年、平穏でよい年になるだろう」と、みんなが思っていたのに、そうはならなかった。オリンピックも夏休みも消えてしまった。

今の状況が自分が思い描いていたものと違うから、怒りの感情に悩まされる人が増えているのでしょう。同じ変化でも、自分が望んでいた変化なら喜んで受け入れます。
 しかし、そうでないものだと受け入れられない。どうやらそれが私たち人間のようです。成熟していない私たちの魂は、怒りの感情に振り回されてしまうのです。

柔軟さが不確かな時代に生きるための策

ほとんどの人が、なんの確証もないのに、無意識のうちにこうなるだろうと思い込んだうえに、多くのことを積み上げています。

私たちは、目標を掲げることをよしとし、掲げた目標は達成しなければいけないと、思い込んでいないでしょうか。

この計画や目標を立てて、そのとおりに運ぶように動く習慣は、受けてきた教育のたまものです。

たとえば、あなたの小学生時代を思い出してください。

新学期の初めには、学期の目標があり、1カ月後の目標があり、さらに1週間後の目標がありと、それに沿って計画を立てて動くのがあたりまえになっていました。

ところが、いくら綿密な計画を立てても、現実はそれほどうまくいかないのが実情でしょう。

ですから、頭の半分くらいでは、「目標を持っても、実際にはどうなるかわからないよね」と、変化に対応する心づもりや柔軟性を持っておくことが大事だと思います。

それは、怒りをコントロールするだけでなく、これからの不確かな時代を生きていくための一つの予防策になるでしょう。

「何が来てもいい」と思えない人へ

もっと言えば、何も期待しないこと。1秒後には、何が起こるかわからないと考えておくほうが、現実に即しているのです。

これは、仏教で言うところの「諸行無常」です。

すべてのものは流動的で、なんでも起きるし、固まった形は一切ありません。自分で思い描いたイメージも、本来、存在しないのです。

本来は、未来に対して、何が来てもだいじょうぶ、「なんでもござれ」の心持ちがあればいいのです。 

しかし、多くの人は、計画グセ、目標グセ、思い込みグセがついているため、そんな心持ちを持つのは難しいでしょう。

そこで、次回からは、実践編として、私流無理のない怒りの鎮め方をご紹介します。
少しでも穏やかな日々を手に入れるため、できる範囲で実践していきましょう。