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【怒り・イライラが消える】女性僧侶が教える成熟した魂の作り方(その②)

「怒りノート」をつければ怒る感情を抑え込めるようになる

ここからは、私流の「怒りの対処法」をお伝えしていきましょう。

多くの人は、自分がどんな条件のときにイライラするのか、客観的にわかってはいないと思います。
私の場合、怒ったりイライラするのは、やることがいっぱいで、頭の中がごちゃごちゃしたり、そのやるべきことが明確になっていなかったりするときです。

この「なんだか、このままいくとまずい……」という怒りの前駆状態は、自覚していないだけで、実は自分固有のパターンがあるものです。

そのため、この怒りの前駆パターンを見つけられれば、事前に手を打つこともでき、怒らないようになるのです。

言い替えると、突然、噴火するように怒ってしまうのではなく、噴火の前の小さな振動に気づいて、大噴火の回避を図ろうということです。

精神科の分野では、怒りの感情とうまくつき合うための心理トレーニングとして、「アンガーマネジンメント」というメソッドがあります。

有名なものの1つに、怒りを感じたら、「1、2、3」とまず数を数え、心を落ち着かせるというメソッドがあり、私も試してみました。

結果から言うと、私には合っていませんでした。いったん怒りの感情に火が着いてしまったら、「1、2、3」と数える間もなく、怒りが爆発してしまったのです。

「なんだかイライラしそう」という着火前の状態のパターンを見つけ、その時点で対処するほうが、私には合っているなと思いました。

怒った理由を可視化してみる

あなたの怒りパターンの見つけ方は、いたって簡単です。

怒ってしまったあとに、自分の感情の状態を振り返り、ノートに書き出すだけです。いわば、「怒りノート」を付けるのです。

そのときの記憶を遡り、ときを戻すように、自分の感情を順々に思い出しながら、それをノートに書いていきましょう。

たとえば、「あのとき、パートナーからああ言われて怒った」ということを思い出したら、さらに、それより前の感情はどうだったかなど、順序立てて自分の感情について思い出します。

「あのときは、とっさに怒ってしまったけれど、その前は、おなかが空いて何か食べたいと思っていたな」とか、少しずつときを戻し、感情の一つひとつを確認しながら、思いつくことを書き出して、可視化していきます。

こうしたノートへの書き出しを続け、そこに同じ条件や状態があれば、それがあなたの怒りパターンです。

言い争いをするのがいつも夜だとしたら、眠いときはイライラしやすいんだなとわかります。いつもご飯の前に怒っているのならば、おなかが空いているときは注意しようとなるのです。「怒りノート」を書くことで、自分特有のパターンを発見できることでしょう。
なかには、書くのが苦手という人もいます。そんな人は、口に出してみるのもよい方法です。できれば、何も言わずに、ただ黙々と聞いてくれる人に話すのがベストです。

話すとアドバイスをくれる人や、是が非でも解決しようと口を挟んできそうな人に話すと、かえって整理がつかなくなるので、避けるようにしましょう。

「うん、うん」と、寡黙に話を聞いてくれる人に、怒りの状態を話していくと、だんだん整理されて自分固有の怒るときのパターンが見えてきます。

とはいえ、何も言わずに聞き続けてくれる人は稀です。ぬいぐるみや犬、ネコ、ときには、山や川、海に向かって、話しをしてもいいでしょう。

とにかく、頭だけで考え続けてはいけません。どんな方法でもいいので、いったん外に出すことが重要です。心の中で思っているだけだと、怒りの前駆パターンになかなか気づけません。

ノートに書き出す、ぬいぐるみやペットに話すなど、五感を使って整理していくと、自然と理解が深まり、次第にパターンがあぶり出されていくものです。

パターンを知ることは対処法と自分を知ること

自分の怒りの前駆パターンが明確になれば、その状態が現れた段階で、「イライラしそう」でもいいですし、「来てるよ、来てるよ」でもいいので、口に出して認めます。

その現状を客観的に把握し、自分で自分に軽く注意するのです。

その注意は、猛省や卑下を促すものでなく、あくまで軽い調子で自分をなだめるように、「だいじょうぶ、だいじょうぶ」とか、「平気、平気」とやはり口に出して、自分に声掛けしていきます。

これができるようになると、怒りが爆発することなく、小さなイライラのまま鎮火できるようになります。

また、このあなたなりの怒りのパターンを見つける一連のプロセスにより、自分は怒ったんだという事実を認識できます。

そのため、「こういう自分もいるんだ」と、客観的に自分を知るきっかけにもなるでしょう。