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【怒り・イライラが消える】女性僧侶が教える成熟した魂の作り方(その④)

「食う・寝る・出す」を意識すれば笑って暮らせる人になる

すぐに怒りが爆発してしまう人、常にイライラしている人を注意深くみていると、生きる基本ができていないように感じます。

つまり、「食う・寝る・出す」が滞りがちなのです。

生きる基本であるこの3つがうまく満たされていないと、当然ながら、心にも、体にも、悪影響が出てきます。

たとえば、会社の上司に評価してもらえず頭にきている人は、毎晩、お酒をたくさん飲み、よく眠れないなどといった話をよく聞きます。

また、家事や育児に非協力的な夫にイライラして暴飲暴食に走り、気がついたら1カ月近くまともに便が出ていなかったなどという人もいます。怒りやすい人は、食う・寝る・出すの巡りがうまく回っていないのです。

どんなに落ち込んでいても、どんなにつらい思いを抱えていても、しっかり寝て、ちょうどよく食べて、規則正しく便を出していれば、自分の心も周囲の現実も、すべてがだいじょうぶな状態になっていくものです。日々、笑って暮らせる人になれます。

そのため、どんな状況だとしても、まずこのシンプルな3つの条件だけは満たすようにしましょう。

心のゆとりがなによりもたいせつ

悟りを開いたお釈迦様も、そこにいきつくまでは私たち以上に多くの悩みを抱えていました。

悟りを開くために、断食をしたり、肉体的な苦痛を伴う荒行をしたりと、四苦八苦しながら苦行を続けました。

しかし、どんなに苦しい行をしても悟れないため、最後には、すべての苦行をやめました。

そして、骨と皮だけになった体で菩提樹の下でぼんやりしていたところ、スジャータさんという村娘に乳粥をもらい、食べました。久しぶりの食事で、おなかも気力も満たされたお釈迦様は、そこで悟りを得たのです。

お釈迦様を含めて、どんな人でも余裕のない状態では、思考や視野が狭くなってしまいます。たいせつなのは、心のゆとり、余裕なのです。

しかし、残念なことに現代人の多くにそんな余裕はありません。

その理由の一つには、自分自身の中に軸を持っていないからだと私は思います。他者から認められて自分の自意識を保つ傾向が強く、自分だけの軸がなくなっているのです。自分の軸がないから、他者や周りに依存します。

しかし、どんなに自分が力を尽くしても、周りの反応は自分が思い描いていたとおりにはなりません。そのため、腹が立ち、イライラする……この堂々巡りに陥っているように、私には思えます。

ですが、自分の軸ばかりですべてをやっていくわけにもいきません。それでは、ただのエゴの強い人であり、他人とうまくやっていくのは不可能です。多くの人が集まり、目標や計画を共有しながら、社会は回っているのです。

それでは、どうすればいいのか? ここで、仏教の教えが役立ちます。

悩むもよし! 怒るもよし!

仏教の教えに、「中道」というものがあります。

どちらかに偏るのでなく、ちょうど真ん中辺りをバランスを取りながら、ゆっくり進むことと私は解釈しています。この中道の精神が、怒りのコントロールには重要です。

自分と他人、どちらかに偏ってはいけません。怒った自分にダメ出しをし、反省しすぎるのもよくないことです。怒りやイライラのコントロールに悩む人は、「なんで私は怒ってしまったんだろう。ダメな私」と、自分の怒りに対して、自己否定をしてはいないでしょうか。

これは結局、怒った自分に対して怒っていることですから、いつまで経っても、怒りのスパイラルから抜け出せません。

このスパイラルを断ち切るには、「ああ、怒っちゃった!」程度でスパッと怒りを終わらせること。

「自分は怒ってしまった」という事実を受け止めるだけでじゅうぶん。怒った自分を否定するのでなく、「そういう自分もいるんだ」と、感情をどんどん丸め、小さく包むことがたいせつなのです。

最後に、私からあなたへ、この言葉をプレゼントします。

「悩むもよし、怒るもよし、すべてよし」

私たちは、お釈迦様ではありません。怒りの感情すべてを噴火前に消し去ることは不可能です。

日々の生活で、どうしたらいいかを迷ったら、とりあえず、「食う・寝る・出す」に専念してみてください。

そうしていると、気持ちに少しずつ余裕がもどってきて、道が見えてくるはずです。

その繰り返しの先に、きっとあなたの成熟した魂が待っていることでしょう。